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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第99話 人のお菓子へのこだわり

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 ミカミさん達にお使いを頼んでいる間に作ったあるお菓子にデコレーションを施している最中、借りている部屋の扉がガチャっと音を立てて開いた。それと同時にシアが元気に声をあげた。


「ヒイラギお兄ちゃんただいまっ!!」


「おかえり。ちゃんとお菓子は買ってきたかな?」


「うん!!た~くさん買ってきたよ。」


「そっかそっか、ありがとう。」


 シアの頭を撫でていると、ルカも戻ってきてそれと同じくミカミさんとグレイスも戻ってきた。


「ただいま~っ!!」


「戻ったっす~。」


「お使いからただいま戻りました。」


「みんなおかえり。」


「ご主人様、こちら買ってきた商品です。」


「うん、ありがとう……って、あれ?」


 ルカが手渡してきたのは、意外にも2つの箱だけ。全種類買って来てと頼んでいたから、もっと荷物が多くなるかと思っていたんだが……。


「これだけ?」


「はい、間違いございません。こちらがお釣りです。」


「あ、あぁ。」


 お釣りと余ったお金を受け取るが、まるっきりお金も減っていないように見える。


「柊君、私も一緒に見てきたんだけど~、まぁ一応ちゃんと全種類買ってきたんだ。しかもマイネちゃんにおすすめされたお店でね。」


「あ、マイネさんのところに行ってきたんですか?」


「うん、せっかくなら人気店のお菓子を調査したいと思ったからね。」


「わざわざありがとうございます。すぐこっちのお菓子も完成させちゃいますから、そしたらみんなで食べましょうか。」


 そして俺は再びデコレーション作業に戻ると、その様子が気になったのかシアが目をキラキラと輝かせながらずっと見つめてきた。


「ふわぁぁ……綺麗。ヒイラギお兄ちゃん、それなぁに?」


「これは、ケーキっていうお菓子なんだぞ。」


「これもお菓子なの?」


「そうだ。後はここに切ったフルーツをポンポンと乗せてあげれば~……ほいっ、フルーツケーキの完成だ。」


「こ、これも今から食べれる?」


「あぁ、買ってきたお菓子と一緒に食べてみよう。」


「やったぁっ!!楽しみ~♪」


 喜びを全身で表しているシアを撫でながら、完成したケーキをみんなが囲んでいるテーブルに運び入れると、グレイスとミカミさんがその周りを飛び回った。


「なんか美味そうっす~。」


「んね~、美味しそ~。」


 ケーキを前にテンションが上がっている2人を見て、ルカが思わずあることを口にした。


「先ほどアリアン店内で商品を吟味していた時よりも、ずいぶん反応が良いみたいですね。」


「そりゃあそうでしょ~、いろんな種類のジャムでバリエーションを無理矢理増やしてるクッキーを眺めるよりも、こうやって完成された美しいケーキを眺めてる方がよっぽど眼福だよ。」


「え?それどういう意味ですか?」


「まぁまぁ、私の言った言葉の意味はその箱を開ければわかると思うよ。」


 まさかと思いつつ、箱を開けてみると、その中には大量のクッキーが入っていた。一応全部種類は違うみたいだけど、使ってる種類のジャムが違うだけ……のように見える。


「こ、こっちは?」


 もう一つの箱を開けてみると、その中には瓶詰めされたフルーツのコンポートのようなものや、ナッツ類をキャラメリゼしたものが入っていた。


「そっちは果物のシロップ漬けと、ナッツのカラメル和えみたいなやつ。一応お店の人おすすめの食べ方は、クッキーの上に乗せて食べると美味しいらしいよ。」


「あの……これだけ?」


「うん、これだけ。」


 俺はホッと心の中に余裕が生まれると同時に、人間の国ではお菓子の開発が盛んに進んでいないことを理解した。


「なるほど……。」


「こういう現状だからこそ、柊君のお店で売ったプリンとドーナツは、この町の人達からしたら真新しいもので、目を惹いたんだろうね。」


 この前、営業初日からプリンとドーナツがすべて売り切ることができたのも、こういう要因があったのなら納得かもしれない。まぁ、ギルドの職員の人がたくさん買ってくれたっていうのも要因の一つではあるんだろうけど……。


「つまり、今の状況は私達にとっては大きなビジネスチャンスってわけだよ。実に都合が良いね。」


 そう言いながらミカミさんは、キャラメリゼされたナッツを一つ頬張った。


「んっ、普通に美味しい。」


「俺も一ついただきますね。みんなも好きなの食べてみて。」


 そして俺はまずプレーンクッキーを食べてみたが、マイネさんが勧めてくれたお店というだけあって、クッキーはしっとりとしていながらも表面はサクッとしていて、これはハチミツ由来の甘さかな?上品な甘さで美味しかった。


「うん、うん。なるほど。」


「どう?柊君?」


「クッキーの味はすごく美味しいです。他のはどうかな……。」


 俺は違う種類のクッキーを食べ比べてみて、あることを確信した。


「……うん、クッキーそのものの味は全部変わらない。だから酸味のない甘いジャムが使われてるクッキーは、少し甘すぎるような……。クッキーを売りにしているお店なら、ジャムに合わせてクッキーの甘さを調節したり、こだわりがちょっとほしかったところですね。」


 でもこれを食べたおかげで、この世界に生きる人のお菓子に対するこだわりっていうのも少しだけわかったから、良い経験にはなったな。


 さて、次はいよいよケーキをみんなに食べてもらおうか。シアもクッキーを食べながら、ずっとケーキから目を離せないでいるし、そろそろ切り分けてあげよう。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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