第98話 市場リサーチ
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柊がキッチンに向かっている一方で、お使いに行った面々はというと……。
「さてさて〜、どこのお菓子屋さんが良いかな〜。」
「お菓子にどこが良いとかあるっすか?」
「もちろんもちろん、柊君の期待に沿うなら、お店選びは重要だよ。柊君は多分、市場リサーチをして欲しいんだと思うから、狙うは一番人気のお店だね。」
「なるほどっす。」
とは言ったものの、私自身この町で一番人気のお菓子屋さんっていうのが、どこにあるかはわからない。
「そういうわけだから、ひとまずマイネちゃんのところに行ってみよっか。」
「マイネちゃんって誰っすか?」
「私達の知り合いさ。」
そしてルカちゃんにマイネちゃんのお店に向かって歩いて行ってもらうと、お店の前のベンチにごろんと横になって、気持ちよさそうにお昼寝しているマイネちゃんの姿を発見した。
「ありゃ、お昼寝中かぁ。」
「いかがいたしますか?」
「お昼寝の邪魔はしたくないから、また違う人に話を聞きに行こう。」
その場を後にしようとすると、不意にマイネちゃんがむくっと起き上がった。この光景前も見た気がする……。
「ふぁ……よく寝たぁ〜。って、あれ?ミカミちゃん達がいる。」
「やっ、おはよマイネちゃん。実は1つ聞きたいことがあって来たんだよ。」
「なるほどねぇ〜。」
パンパンと服を払いながらマイネちゃんは立ち上がると、こちらにゆっくりと歩いてきた。
「うへっ?また新しいお友達が増えてる〜。しかも、もしかして魔物ぉ?」
「あ、そうそう。この子はエルダーワイバーンのグレイスちゃん。今日から私たちのところで働くことになったんだよ。」
「そっかそっかぁ〜、おばさんはマイネっていうからよろしくねぇ〜。」
「よろしくっす!!」
2人が自己紹介をしたあと、マイネちゃんは自分のお店の鍵を開けて中に招いてくれた。そこで私達の話を聞いてくれるみたい。
親切にお茶を出してくれたと思ったら、驚くことにマイネちゃんはプリンをお茶菓子として私達に出してくれた。
「マイネちゃん、これって……。」
「プリンだ!!シア、これ大好きっ!!」
「大正解〜、この前ヒイラギくんに食べさせてもらったのを、おばさんの経験を頼りに作ってみたんだぁ〜。試食してくれないかなぁ?」
「是非もらうよ!!」
マイネちゃんが作ったプリンを一口食べてみると、ねっとりと濃厚な甘さが口いっぱいに広がった。そこまでは柊君が作ったものとほぼ変わらなかったんだけど、最後に柑橘系の爽やかな香りが鼻を抜けていった。
「どうかなぁ〜?」
「これ、めっちゃ美味いっす!!」
「すっごくおいひぃ〜♪」
「美味です。」
マイネちゃんは、シアちゃん達がほっぺたを落としそうになっているのを満足そうに見つめたあと、私の方に視線を向けてくる。
「ミカミちゃんはどうかなぁ?」
「うん、すごくよく再現できてると思うよ。最後柑橘系の香りが鼻を抜けたけど、これはマイネちゃんのアレンジだね?」
「気づいてくれてよかったぁ〜。それはねぇ、ヒイラギ君がプリンに合わせてた、砂糖を溶かしたソースににレモモの果汁をちょっと加えたんだよ。」
「いやぁ~、再現するだけじゃなく、アレンジを加えるって……流石はマイネちゃんだね。」
「うへ〜、それほどでもないよぉ〜。」
改めてマイネちゃんのところに来てよかったと思う。この子ならきっと私の質問に100点の答えを返してくれる。
「それでね、マイネちゃんに聞きたかったことなんだけど……。」
「うん、なにかなぁ?」
「マイネちゃんが思う、この町で一番美味しいお菓子屋さんってどこ?」
そう質問すると、マイネちゃんは少し悩んだあと、口を開いた。
「正直な話だけど、おばさんが大好きなのはヒイラギ君のお店なんだよねぇ〜。でも、ミカミちゃんが求めてる答えってそうじゃないでしょ〜?」
「うん、柊君のことを褒められるのは、私としてもすごく嬉しいけどね。」
「そうなるとぉ〜、大通りにあるアリアンってお店かなぁ。あのお店は王都に本店があるお店だし、人気と味に関しては間違いないと思うよぉ。」
「アリアンだね、わかった。」
マイネちゃんが出してくれたお茶とプリンを食べ切ったあと、私達は席を立った。
「情報ありがとねマイネちゃん!!それとプリンとお茶もすごく美味しかったよ。」
「ごちそうさまでしたっ!!」
「いいのいいの〜。味見してもらったのはおばさんの方だからねぇ〜。」
「また近々ギルドでお店を開くと思うから、その時にお礼はさせてもらうよ。」
「うへ〜、楽しみにしてるよぉ。」
そしてマイネちゃんと別れたあと、私達はアリアンというお店がある大通りに戻って、目的のお店を探し始めた。
すると、シアちゃんが前方に見えるお店の看板を指差し、口を開いた。
「あ、見つけたっ!!アリアンって書いてある!!」
「シアちゃん大手柄だよ。早速行ってみよう。」
そのお店の前に行ってみると、中ではお菓子を求める人たちで列ができている。
「うんうん、確かに人気店みたいだね。見た感じ、メニューも……うん?」
私は外に立てかけてあった看板に書いてあったメニューを見て、少し気にかかるところがあった。
「ミカミちゃん、どうしたっす?」
「あ、いやなんでもないよ。さ、中に入ってみようか。」
多分、私が感じたことは柊君も感じると思うなぁ。そう思いながら私は中に入って、お店のお菓子を一つ一つ注文していった。
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