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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第96話 グレイスにつけられていた値段

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 エミルに着いてまず最初に向かったのはギルドだ。本来はエルダーワイバーンを討伐したと、ミースさんに報告するはずが、今回は誰も予想していなかったエルダーワイバーンのグレイスを俺が飼うことになったと報告することになってしまった。


「え、えっと……ほ、本当にこの子がエルダーワイバーンなんですか?」


 ミースさんも困惑しながら、テーブルの上で注文した料理にかぶりつくグレイスを見つめている。


「間違いないよ。樹海で今にも食肉植物に食われそうになってたところを助けて、ヒイラギが餌付けしたんだ。」


「こ、この場合はどうしましょう。討伐対象をペットにして連れて帰ってくるなんて、初めてのことですし……。」


「一先ず無力化はできてるから、もう町に被害は出ないし、依頼達成ってことでいいんじゃないかい?」


「そ、それじゃあ……えっと素材報酬は無しで、依頼の達成報酬だけでいいでしょうか?」


「あぁ、それで問題ないよ。」


「わかりました。じゃあそんな感じで処理してきますね。」


「ついでにこのグレイスのテイム証明書も発行してきておくれ。」


「了解ですっ。」


 そしてミースさんは書類をまとめると、受付の奥の方へと小走りで消えていった。それを見送ってから、改めてドーナさんはグレイスに目を向けると、ある質問を投げかけた


「ってかさ、気になってたけど、あんな食肉植物の罠に引っかかるような限界状態になるまで何をしてたんだい?」


「実はあの時ちょうど脱皮した直後だったんすよ~。脱皮前はお腹の中空っぽにしとかないといけないんす。」


「なるほどねぇ。でも魔力はどうしたんだい?」


「自分の脱皮直後を狙って攻撃してきた魔物を倒すのに使っちゃったっす。」


「なるほどねぇ、納得だよ。」


 グレイスの話を聞く限り、この世界の自然界も生存競争は激しいみたいだな。


「でもどうしてヒイラギさん達は、自分のこと見つけられたっすか?自分、他のワイバーンに助けを求めてたはずなんすけど……。」


「アタシにはただワイバーンが鳴いてる声にしか聞こえなかったけど、ヒイラギとミカミには助けを求めてる声に聞こえてたんだろ?」


「はい、ちゃんと「助けてほしいっす~。」って聞こえましたよ。」


「……もしかして。」


 グレイスは一つ咳ばらいをすると、また口を開いて話し始めた。


「もしかしてっすけど、この声も普通に聞こえてるっす?」


「あぁ、普通に聞こえてる。ミカミさんはどうですか?」


「私にも普通に聞こえてるよ~。」


「やっぱり……、2人は()()が話せるんすね。」


「龍語?」


「はいっす、自分たちみたいなドラゴンになりかけのワイバーンとか、ドラゴンの間で使われてる言語っす。」


「ほぇ~、そんな言葉もあるんだ。」


 新たな言語の存在を知り、改めて俺がミカミさんからもらった言語理解のスキルはめちゃくちゃ便利なんだな……と心から思った。


 それから少しすると、ミースさんが書類をたくさん持ってこのテーブルに戻ってきた。


「よいしょ、お待たせしました。まずはこちらが討伐報酬の金貨80枚ですね。報酬は山分けでよかったですかね?」


「ヒイラギ達が問題なければ、アタシはそれで構わないよ。」


「全然問題ないです。」


「かしこまりました。それじゃあドーナさんとヒイラギさんで金貨40枚ずつの報酬金となります。」


 報酬金を受け取っていると、それを複雑そうな表情でグレイスが見つめている。


「お金のことはよくわかんないっすけど、自分の命の値段がそれっすか……。なんか複雑な気持ちっすね。」


「まぁ高い安いって考えないほうが良いかもね。そもそも命がそうやってあるだけで儲けものでしょ?」


「た、確かにそうっすね。」


 グレイスが気持ちを切り替えたところで、今度ミースさんはメダルのついた首輪2つと1枚の書類をテーブルの上に置いた。


「こちらがギルドが発行しているテイム証明となる首輪と証明書です。一応サイズの小さいものと大きいものを2つご用意しました。」


「これがあれば、町中にお使いに行かせても大丈夫ですか?」


「一応問題ないんですが、どうしても魔物だと警戒してしまう人もいますので、安全のためにも誰か同行していただけると……。」


 同行する人はルカがいるから問題ないだろう。町の人がグレイスの存在を認知して警戒を解くまでは、基本的にはルカをお使いに同行させよう。


「あと、こちらのメダルに証明の有効期限が彫ってありますから、期限が近づいて来たら、更新にギルドへいらしてくださいね。」


「わかりました。」


 次の更新は、一応2年後らしい。その時までグレイスがいたら、更新しに来よう。


「あとは首輪をはめれるかどうか……。グレイス、そのまま動かないでな?」


「はいっす。」


 小さいほうの首輪はとりあえず問題なさそう……。大きい方はどうかな?


「小さいほうは問題なく使えそうだから、今度大きくなった時にこっちの大きい首輪も合うかどうか試してみような。」


「了解っす!!」


 メダルをぶら下げた首輪をつけて、びしっと敬礼するグレイスの姿はどこか可愛らしいものがあるな。大きい状態だと怖いかもしれないけど、小さい状態で愛嬌をふりまいていれば、マスコットになる……かも?


この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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