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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第91話 思わぬ出会い

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 野菜の買い物を一先ず終えて、今度は果物を専門に売っている売り場へとやってくると、明らかに空気の香りが甘いものへと変わった。


「あ、空気の匂いが変わった。」


「果物の甘い匂いがする~。」


 シアもそれを感じ取っているようで、鼻をひくひくとさせている。


「柊君、せっかくならまた今度お店をやるときに使いそうな果物とか買って行ったら?」


「そうですね、ここならたくさん面白いものもありそうですし、新しいお菓子のイメージも湧いてくるかもしれません。」


「ヒイラギお兄ちゃんの作るお菓子、すっごく美味しいからシア大好き~♪」


「また美味しいお菓子作るからな。」


 今度は何を作ろうかな……。この前はプリンとドーナツを作った。調味料のことはイリスさんからもらったあの魔法瓶があるから心配しなくていい。後は俺の頭の中に入っているお菓子のレシピを、この世界の食材と合わせてどう仕上げるかが腕の見せ所って感じだな。


 そして頭の中で次にどんなお菓子を作ろうかと、考えを巡らせながら歩いていると、突然ミカミさんが俺の胸ポケットから飛び出した。


「ポンポンオラン見つけたっ!!」


 そしてお店の中の一角に並んでいたポンポンオランらしき果物に全身でしがみつく。


「んん?ポンポンオランが好きな妖精……もしかしてニーアが言ってたのってキミのことかな?」


 その売り場だけは対面販売をしている売り場だったようで、見覚えのある果物たちの奥には綺麗な翡翠色のショートヘアのエルフの女性が座っていた。どうやら彼女はニーアさんのことを知っているようだ。


「ニーアちゃんのこと知ってるの?」


「あははっ、そりゃあもちろん。ニーアはウチの()だからね。」


 にっこりと彼女は笑うと席を立ちあがって、俺の方に歩み寄ってきた。


「あの子が言ってた話だと、恐らくそこの妖精の子がミカミちゃんで、キミがヒイラギ君で合ってるかな?」


 ずいっと顔を近づけてきて、目の奥を覗かれながらそう質問されたので、俺は少し驚きながらも自己紹介をした。


「は、初めまして……柊です。」


「うん、嘘じゃないみたいだね。ごめんね、疑い深くてさ。人間って嘘つきが多いから、どうしても確認しておきたかったんだ。」


「いえ、大丈夫です。その気持ちはわかりますから。」


 そう相槌を打つと、彼女は意外そうにポカンと呆けた表情を浮かべる。


「……ニーアが言ってたのってこういう事かぁ。キミって、なんかあんまり人間っぽい感じがしないね?」


「え、そうですか?」


「う~ん、何て言えばいいのかなぁ。種族的には間違いなく人間なんだろうけど、邪心がない?心が汚れてないって言えばいいのかな。ままま、兎にも角にも、ウチのニーアを助けてくれて本当にありがとうヒイラギ君にミカミちゃん。」


 彼女は俺とミカミさんの手を握りながら感謝の言葉を口にした。


「あ、自己紹介が遅れたね。ウチの名前は()()()()。今年で産まれてから1()8()0()()()だよ。」


「え!?ひゃ、180年?」


「うん、そうだよ?何かおかしい?」


 とんでもない数字に俺は思わず固まってしまう。するとミカミさんが頬をちょんちょんと突きながら、エルフについて教えてくれた。


「柊君、エルフの人はめちゃくちゃ長命で、しかも体が老いないんだよ。だから100歳を超えてもこんなにピッチピッチなのさ。」


「そ、そうなんですね。」


「ちなみにニーアもついこの前、産まれてから100年目になって成人の儀を終えたんだよ。」


「…………もう驚きすぎて言葉が出ませんよ。」


「あっはっは、ウチらの年齢を聞いた人間はみんなそうなるよ。」


 ケタケタと笑いながら、バーバラさんは俺の肩をポンポンと叩いた。


「しっかし、キミ達は本当にエルフ語が上手だね。変な発音もないし、聞いててこっちがびっくりだよ。」


「そうですか?」


「そうだよ、試しに後ろの大きな女の子に話しかけてみようか。」


 バーバラさんはおもむろに一つ果実を手に取って、ドーナさんのほうに歩いて行くと、その果実の宣伝を始めた。するとドーナさんの口から片言でぽつぽつと言葉が絞り出される。


「え、エルフ語……わから…ない。」


 それを聞き出すと、くるりとこちらを振り返ってバーバラさんはにっこりと笑う。


「普通はエルフ語で話しかけると、何も言葉を返せなかったり、こんな風に片言で返事が返ってくるんだよ?」


「な、アタシらの言葉が話せるなら最初から、そっちで話しておくれよ……。獣人語は勉強したからわかるけど、エルフ語はさっぱりなんだ。」


 どうやら今バーバラさんは人間の言葉で話していたらしい、言語理解ってスキルのおかげで、どこで人間の言葉に変えたのかもわからなかった。


「あはは、エルフ語は使ってるウチらでも、流暢に話せるようになるには産まれてから10年ぐらいかかるから、仕方ないよ。」


 そしてまたバーバラさんはこちらに戻ってくると、売り場に並んでいたポンポンオランを手に取った。


「さてさて、じゃあせっかくここで出会ったんだし、エルフの国の果物についてもっともっと知ってもらおっかな~。まず最初はミカミちゃんが大好きらしいポンポンオランから……これにはこういう食べ方もあるんだよ。」


 ポンポンオランに切れ込みを入れて果肉の花を咲かせると、バーバラさんはその果肉を魔法でうっすらと凍らせた。それをちぎってこちらに手渡してくる。


「さっ、召し上がれ?」


「いいの!?」


「もちろん。お連れの方々も召し上がれ~。」


 みんなでうっすらと凍ったポンポンオランを食べてみると、しゃりっとシャーベットのような食感の後に、ポンポンオラン特有のシュワシュワの果汁がじわっと融けだしてきて、また違った美味しさを発見することができた。


「うま~っ、こういう食べ方も良いっ!!」


「ですね、夏場とか暑い日には最高です。」


「気に入ってくれたようで何より。それじゃあ次は~…………。」


 その後、彼女は「妹を助けてくれたお礼だよ。」と言って、エルフの国で採れた果物をたくさん試食させてくれたり、美味しい食べ方を俺達にたくさん教えてくれた。


 

この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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