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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第82話 道の途中で

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 馬車に乗ってからしばらく経つと、シアは俺の太ももの上に頭を預けて眠ってしまっていた。昨日も寝る直前まで、ミカミさんと一緒に勉強を頑張っていたからな。その疲れが出ているんだろう。


「……そういえば、アタシの方でちょっとだけ、今の獣人族の事について調べてみたんだ。」


 寝ているシアのことを見つめながら、突然ドーナさんがそう話題を切り出した。


「えっ、な、何かわかりましたか!?」


「あぁ、と言ってもアタシが調べられることには限界があったから、大まかなことしか分かんなかったんだけど……。」


 ドーナさんはマジックバッグから何枚かの書類を取り出して、それを見ながら獣人族のことについて話し始めた。


「まず、何でまた獣人族の中で新しい国王を決めることになったのかっていうと、現国王が病に伏しちまったかららしい。」


「つまり、今の国王が亡くなったから、後継者を決めようって感じ……ですか?」


「いや、まだ国王は存命ではあるらしいんだけど、もう国王に国を統べる力が無いって決めつけた奴らが、勝手に後継者争いしてるみたいだ。」


「そういうのって、王様の側近とかが止めれなかったのかなぁ……。よっぽど人望がなかった王様なら、そういうのに発展するのもわからなくはないんだけどさ。」


 俺の方に座るミカミさんがそう言うと、ドーナさんは病に伏してしまった国王の事について、調べてくれたことを話してくれた。


「アタシが調べた限りだと、現国王はかなりの人格者みたいで国民からの信頼も、家臣からの人望も厚かったみたいだよ。その証拠に、先代の国王と比べても平均支持率がめちゃくちゃ高いんだ。」


「う〜ん、尚更わからないなぁ……。そんなに人望が厚かったら、病に伏したぐらいで国がひっくり返るようなことにはならないと思うんだよ。」


「仮にその国王が、自分で誰かに後継者を決めてくれ……って頼んでいたとしても、子供とかにまで危害を加えても良いみたいには言わないと思いますしね。」


「うん、となると考えられる可能性は……やっぱり謀反とか?」


「ま、それが一番可能性としてはあるだろうねぇ。事実、今回の後継者争いをしてる4つの勢力のリーダーは現国王の配下が務めてるらしいよ。」


「人間も絶対的な権力が手を伸ばせば手に入るなら、その欲望には勝てなくなるものだけど、それは獣人っていう種族も変わらなさそうだね。」


 うんざりしたように、ため息混じりでミカミさんは言った。


「でもでも、よくそんなところまで調べられたねドーナちゃん?」


「ま、アタシもある程度情報網は広い方だからねぇ。国家機密とかじゃなければある程度は、調べられるのさ。だけど、今回は運が良くてねぇ……ちょっとした機密情報も手に入れられたよ。」


「なにそれなにそれ〜っ、すっごい気になるじゃん!!教えて教えて〜?」


「慌てるんじゃないよ。……そいつを話す前に、ヒイラギ達は()()()()()()()()っていう大会を知ってるかい?」


「いえ、全く聞いたこともないです。」


「私もないな〜。」


「簡単に説明すると、毎年王都で開かれる人間の中の腕っぷし最強を決める大会さ。」


「そ、そういうのもあるんですね……。」


 王都で開かれてる大会にしては、結構粗暴な感じがする。でも、エンターテインメントとしては面白いのかな?


「んでだ、その大会の優勝者と準優勝者をどうやら獣人族の国に招きたい……って向こうの現国王から通達があったらしいよ。」


「それまた、どういう目的で?」


「そこまではアタシもわからないけど、ただ……もし今の時期に獣人族の国に行きたいなら……。」


「そのヒュマノファイトってやつで優勝するか、準優勝にこぎつけるしかないってわけだね?」


「ま、そういうことさ。」


 そしてドーナさんはニヤリと凶暴に笑うと、またまたマジックバッグから2枚の紙を取り出した。


「ちなみにコレが参加希望の用紙。こっちにはアタシの名前が書いてあって……。」


「ち、違う方には俺の名前が書いてあるんですけど?」


「ヒイラギはアタシからの推薦枠で、ヒュマノファイトに出場してもらうよ。」


「い、いやいやいや、ちょっと待ってください!?」


「一応言っとくけど、この用紙は写しだから、本紙はもう提出済みだよ。」


「……完全に逃げ場がないじゃないですか。」


「まっ、ヒイラギの性格上、こういうのに誘ったら断ると思ったからねぇ。」


「まぁ、余程のことがない限り断ったと思いますよ。」


「ははは、そうだろ?……でも、今回のヒュマノファイトの優勝商品を聞いたら、ヒイラギも参加したくなると思うよ。」


 ドーナさんは俺の肩をポンポンと叩きながら、ヒュマノファイトの宣伝チラシを見せてきた。


「ヒュマノファイト優勝者には……白金貨100枚と魔物の卵を贈呈ですか。」


「そっ、なかなか悪くない報酬だろ?」


「白金貨は魅力的ですけど、この魔物の卵って一体?」


「なんかそれに関しては、優勝者だけに詳細なことを伝えるって話だよ。」


「そうなんですか……。」


「ままま、この際だしさ、柊君とドーナちゃんで優勝と準優勝もらっちゃおう?」


「言っとくけど、アタシは優勝しか狙ってないから、ヒイラギも優勝を狙うなら覚悟するんだね?」


「あ、あはは、頑張ります……。」


 優勝商品の魔物の卵ってやつも気になるし、何よりシアの元いた国……獣人族の国に本当に行けるのなら、頑張る価値はある。


 ……でもその前に、できるだけレベルを上げたほうが良さそうだなぁ。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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