表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
81/302

第81話 食肉植物を避ける薬品

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 翌朝、ギルドに赴いてみると、すぐにドーナさんとミースさんの姿を発見することが出来た。何やらテーブルの上に大量に道具を並べて、それらを吟味しているようだ。


「おはようございます。ドーナさん、ミースさん。」


「2人ともおはよ〜!!」


「ん、来たねヒイラギ。」


「皆さんおはようございます!!」


「今は何を?」


「あぁ、食肉植物撃退用の薬品を選んでたんだ。コイツがないと、森に入った瞬間全部の植物に襲われちまう。流石にいくらアタシやヒイラギがいたって、森全体を敵に回すのは骨が折れるからねぇ。」


 そう言いながら、ドーナさんは薬品の入った瓶を手にとって、中の匂いを嗅いではテーブルの上に戻していた。


「ちなみにさ、これってどんなのが良いの〜?」


「どんなのが良いって……まぁ、できればあんまり匂いのないやつで、効果時間が長いやつ。」


「どれどれ〜?…………ふぐゅっ!?」


 一つ薬品の瓶を開けて、匂いを嗅いだミカミさんは、酸っぱいものを食べたときのように、顔のパーツがむぎゅっと中心に寄った。


「ここ、これめちゃくちゃ臭いよ!?これを……どうするの!?」


「どうするって、そりゃあ体に塗るのさ。」


 そう聞かされたミカミさんは、絶望したような表情を浮かべる。


「こんなものを体に……塗る?」


 カタカタと体を震わせながら、ミカミさんは今にも泣きそうな目でこちらを見つめてくる。


「み、ミカミさん。俺の方を見られても困るんですけど……。」


「だ、だって柊君っ!!これ嗅いでみなよ!!」


 そしてミカミさんが、薬品の瓶をこちらに差し出してきた。試しに手にとって匂いを嗅いでみると、強烈なお酢のような匂いが鼻を突いた。


「こ、これはなかなか……。自分の身を守るためとは言え、ちょっと抵抗がありますね。」


「まぁ、そいつは匂いが強い分効果時間が長いんだ。瓶に効果時間が書いてある紙が貼ってあるだろ?」


「あ、ホントだ。」


 瓶に張り付いていたシールのようなものをよく見てみると、効果が丸一日継続すると書いてある。


「ちなみに、こっちのはまぁ割といい匂い……いや、いい匂いではないかもねぇ。」


 ドーナさんが差し出してきた瓶を嗅いでみると、さっきのお酢の匂いとは打って変わって、今度は消毒液のような、かなり薬品臭い匂いだった。


「う、う〜ん……確かにこれもいい匂いとはいえないですね。ちなみにこれはどのぐらいの時間継続するのかな?」


 この匂いでどれぐらい効果が持続するのか見てみたところ、これで効果時間は6時間……。


「これならまぁ……なんとか。」


「だろ?」


 これで妥協しようとすると、ミカミさんは俺の袖を引っ張って、今にも泣きそうな顔で何度も首を横に振っている。


「そ、そんなに嫌ですか?」


 そう聞いてみると、ミカミさんは何度も首を縦に振っている。


「いや、これは私だけじゃなく、シアちゃんも嫌だと思うよ。ねっシアちゃん!?」


 なんとか仲間を見つけようと必死なミカミさんは、シアにも同意を求めて、一度匂いを嗅いでもらっていた。


 すると、この匂いはシアも嫌だったらしく、露骨に嫌な表情を浮かべている。


「シア、この匂いあんまり好きじゃないかも。」


「ほらほらほらっ!!ねっ!?」


「う〜ん、じゃあどうしましょっか。」


「……まぁ、一番効果時間の短いこいつで、短期決戦に挑むってのも選択肢の一つだけど。」


 ドーナさんが手に取った瓶の中に入っていた薬品は、柑橘系のような爽やかな香りだが、その代わり効果時間はたったの1時間だけらしい。


「これなら大丈夫っ!!ドーナちゃん、その案で行こう!!」


「ホントに大丈夫かねぇ……。」


「大丈夫だよ〜。だって柊君もいるし、なんならドーナちゃんもルカちゃんもいるんだよ?問題ないないっ!!」


「まぁ一応……予備で何個か持ってくよ。最悪の事態には備えておかないとねぇ。」 


 念の為、ドーナさんがマジックバッグに他の薬品も詰め込んでいると、俺の方に真剣な表情のミカミさんがふわふわと飛んでくる。


「た、頼むよ柊君?あんな匂いで人前に出るのは、社会的に死を意味するんだから。」


「大袈裟ですよミカミさん。」


 ミカミさんを宥めていると、ドーナさんはマジックバッグを腰につけて立ち上がった。


「よし、じゃあ早速行こうか。馬車がそろそろ来るんだ。」


「あ、そういえばその食肉植物の樹海って、ここから馬車でどれぐらいかかるんですか?」


「今回はすんごい遠いよ。多分6時間ぐらいかかると思う。」


「だからこんな朝早くの集合だったんですね。」


「そういうことさ。まっ、途中どっかの町で軽く昼飯とか挟んで向かおうじゃないか。」


「分かりました。」


「それより、アタシが気になってるのは、ホントにその子を一緒に連れてくのかい?」


 ドーナさんは、俺と手を繋いでいるシアを見下ろしながら問いかけてきた。


「それは昨日みんなで話し合ったんですけど、どうしてもシアは俺から離れたくないらしいので……一緒に連れていきます。」


「……わかった。ただ、その子の安全だけじゃなく、自分の安全もちゃんと守るんだよ。」


「もちろんです。」


 そして俺達は、エミルの町の関所から馬車に乗り、エルダーワイバーンが目撃されたという食肉植物の樹海へと向かうのだった。


この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ