第78話 営業開始!!
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翌日、用意を万全にしてみんなで朝早くにギルドに向かってみると、俺達が借りたスペースが何やら昨日とは様子が違っていた。
「あ、あれ?こんなだったかな……。」
ところどころ花が飾られていたり、その場で食べれるようにテーブルと椅子が運んで来てあったり……昨日俺が値段などを書いた紙が人からの興味を惹くような可愛い装飾の施されたものに変わっていたり……。
思わず呆気に取られていると、こちらにミースさんが駆け寄ってきた。
「皆さんおはようございます!!」
「あ、おはようございますミースさん。」
「ミースちゃんおはよ~。」
「えへへ、驚かせてしまいましたよね?あの後、受付嬢みんなで、ちょっとだけデコレーションを施させてもらったんです。」
「すみません、わざわざありがとうございます。」
「いえいえ、私たちもつい楽しくなっちゃって……結構派手にやってしまったんですが、だ、大丈夫でしょうか?」
「全然、もうありがたい限りですよ。あっ、これ……良かったらギルドの皆さんで食べてください。」
プリンを作るついでに作っておいた次の商品候補のドーナツをミースさんに手渡した。
「こ、これ頂いてもいいんですか!?」
「はい、次の商品にしようと思うので、良かったら食べた後感想を頂けると……。」
「も、もちろんです。早速、みんなに配ってきますね!!」
ミースさんが受付の方に向かって行ったのを見送ってから、俺はさっそく営業の準備を始めた。
「えっと、シアとルカの2人はここに座って、盛り付けたプリンをお客さんに手渡してくれ。」
「し、シアにできるかな?」
「大丈夫さ、人間の言葉はわからなくてもルカが教えてくれる。なっ、ルカ?」
「お任せください。」
「よし、で、ミカミさんは……。」
「私は注文を受けるのと、お会計をやればいいんでしょ?あのお店にいたときと一緒でさ。」
「そうですね。お願いします。」
「ふっふ~ん、それなら任せてもらおう。」
そしてみんな持ち場についてもらったところで、俺もまな板や、盛り付けに使うお皿を用意していく。
「よし、準備完了っと。ミカミさん達も準備は良いですか?」
「大丈夫だよ~。」
「じゃあ早速開店しますね。」
closeの看板を裏返してopenにすると、すぐにとあるお客さんが一番客としてやってきてくれた。
「やぁ~、みんなおはよぉ~。」
「あ、マイネちゃんいらっしゃい!!」
「いらっしゃいませマイネさん。」
いつものようににへらと笑いながら並んでくれたのは、昨日試食もしてくれたマイネさんだった。
「昨日ドーナちゃんがウチに来てさ~、ヒイラギ君たちがギルドの中でお店を開くって話を聞いたんだよぉ。そういうわけで、おすすめのをもらってもいいか~い?」
「もちろんっ!!でも今日は商売だから、プリン1個につき銀貨3枚貰うよ?」
「うへ~、わかってるよぉ。」
ポケットから銀貨を6枚取り出して、ミカミさんに手渡した。
「あれ?6枚?」
「おばさん欲張りだから、2つ欲しいんだぁ~。」
「はっは~ん、そういう事ね。大歓迎だよ!!それじゃあ柊君っ、プリン2つおねが~い!!」
「承りました。」
早速プリンを2つ盛り付けて、シア達の方に回した。それをシアは崩さないようにお盆に乗せてからマイネさんに手渡した。
「ぷ、プリンですっ!!」
「は~い、ありがとねぇ~。食べ終わった食器は~、ここに持ってくればいいんだね。じゃあ食べてくるよぉ~。」
「ごゆっくり~!!」
そしてマイネさんは席に着くなり、手帳のようなものを取り出して、何かをメモしながらゆっくりとプリンを食べ始めた。
「知り合いではあったけど、1個も売れないって事態は早々に解決できたね柊君。」
「ですね。ひとまず安心です。」
「ヒイラギお兄ちゃん、シアも上手くできたよ!!」
「うん、いい接客だったぞシア。よく頑張ったな。終わったらたくさん撫でてあげるからな。」
「えへへ……。」
そうして一つ安心していると、今度は母親に連れられた子供がやってきて、その子供が銀貨3枚をミカミさんに手渡していた。
「妖精のお姉ちゃん、プリン1個くださいっ!!」
「は~い、お買い上げありがとうございます。お母さんは食べていきませんか?」
「えっと、私は……。」
「お母さんもせっかくだから一緒に食べようよ!!」
「そうそう、家族みんなで食べるともっと美味しいですよ~?」
「じゃ、じゃあ私も一つください。」
「お買い上げありがとうございま~す!!柊君、おねが~い。」
「わかりました。」
その親子連れが来店したのを皮切りに、ギルドの受付嬢の人達や、プリンを食べている人を見て興味を抱いた人たちが少しずつ、列を作り始めた。
「柊君っ、次プリン5個~!!」
「はいただいまっ。」
次から次に舞い込んでくるオーダーに迅速に対応している最中、俺はある感情を抱いていた。
(やっぱり、こうやって自分が作った物をお客さんに食べてもらって喜んでもらうのは、すごく気持ちが良いな。俺にはこういう仕事が合ってるってことなのかもな。)
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