第75話 プリン
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宿に帰って早速、俺はお菓子の試作を始めた。今回はとにかく手軽に作ることができながらも、美味しくて癖になるようなお菓子を作りたいと思う。
「まずはカラメルを作っていく。」
カラメルは砂糖と水をフライパンで熱して作る。これはさっき市場で買ってきた型に流し込んでおく。
「で、次は砂糖を加えた牛乳を温めながら、卵と砂糖を混ぜ合わせる。」
そして沸騰する前に火を止めた牛乳と、先程作った卵液を混ぜ合わせて、しっかりと裏漉しした。これを先程カラメルを流し込んだ型に流し入れて、オーブンで蒸し焼きにしていく。
火が入って固まるまで、盛り付けに使う果物などを仕込みながら待っていると、ミカミさんが俺が何を作っているのか察したらしく。そわそわしながら近づいてきた。
「ふっふっふ~、柊君。私はキミが何を作ってるのかわかっちゃったなぁ~。」
「あはは、流石にわかりやすかったですよね。」
「流石にね。でも、プリンは作りやすくて美味しいっていうコンセプトにはかなり合ってるんじゃないかな?」
「この型さえあれば、大量に作るのは苦じゃありませんからね。ただ問題は、プリンだけだとちょっと映えないので、生クリームとか果物でいろいろ盛り付けをアレンジしてみます。」
盛り付けの創意工夫はいろいろできるとして、問題は販売方法だよな。持ち帰りをするなら専用の容器とかが必要になってくるから、その分経費がかかる。今の現段階だと、現実的なのはその場で食べてもらえるようにすることかな。
そうなると場所はちゃんと選ばないとな……。
「ミカミさん、ちょっと試作品を作ったらまたギルドに行ってミースさんに食べてもらおうと思うんです。それとできればマイネさんにも。」
「うん、いいと思うよ。第三者目線で感想をくれる人は必要だからね。でもでも、その前に私たちにも食べさせて頂戴ね?」
「もちろんです。」
いろいろと準備をしているうちに、あっという間にプリンが焼きあがる時間になった。
「それじゃあ確認っと。」
オーブンから蒸し焼きにしていたプリンを取り出して、少し揺らして固まっているかどうかを確認する。
「うん、大丈夫だな。後はこれを氷を当ててしっかりと冷ましておく。」
プリンを冷ましていると、それをシアがじっと見つめている。
(気になるのかな。)
そして、完全に冷ましたあと型からプリンを外してみると……。
「ほいっと。」
「でた〜っ!!ぷるっぷるで美味しそうだね〜。」
「後はこれに果物とか、生クリームをトッピングしますね。」
お皿に出したプリンを、生クリームと果物で色鮮やかに仕立て上げる。
「はい、これはシアの分だ。」
「ふぁ……ヒイラギお兄ちゃんありがとう!!」
「で、コレがルカの分。」
「感謝致します。……ちなみにおかわり等は……?」
「今回は試作で作っただけだから、おかわりは一人一個までだ。」
満足そうにうっすらと微笑むと、ルカはプリンを受け取って席に着いた。
「はい、コレがミカミさんの分です。全部食べられますか?」
「私をだ〜れだと思ってるのさっ!!全部食べれるに決まってるよ。」
「ホント、毎回疑問なんですけど、そのちっちゃい体のどこにこんな量が入るんです?」
「別腹ってやつさ、柊君。」
「別腹の次元じゃないですよ。もはや異次元です。」
「むふふ、褒め言葉として受け取っておくよん。」
そしてみんなで席について、早速試作品のプリンを食べてみようと思う。
「それじゃあ、いただきます。」
「「「いただきま〜す!!」」」
俺はみんなが食べる様子を眺めて、反応を伺うことにした。真っ先にスプーンでプリンを食べたのはシアだった。
「んっ……んん!?何これっ、すっごく美味しいっ!!ぷるぷるなのにトロトロっ!!」
「シアちゃんはこういうお菓子食べたことない?」
「初めてっ!!」
「そっかそっか、おかわりはあるみたいだから、いっぱい食べるんだよ?」
「うん!!」
そうミカミさんはシアに声をかけてから、自分もプリンを一口……いや、大口でかぶりついた。
「うんうん、昔懐かしきプリンの味だね。盛り付けは現代チックだけど……それがまた良き良き。」
みんなからの受けは上々だ。反応も見れたことだし、俺も平らげてしまおう。
肝心のプリンの味は、ミカミさんの言っていた通り、昔ながらのプリンの味だった。カラメルのホロ苦さにトロリとしたプリンの濃厚な甘さがよく合う。
今回は酸味が少し強めの果物を選んで買ってきたから、その酸味が後味をスッキリとさせてくれる。
もちろんこだわりにこだわった専門店のプリンには滑らかさも到底及ばないけど、これはこれで美味しいものだ。
「さて……シア、俺は一個で良いんだけど、もう一つ食べない?」
「ふぇっ、いいの!?」
「あぁ、構わない。」
「えへへぇ〜ヒイラギお兄ちゃんありがとう!!」
そしてみんなでプリンしっかりと味わったあと、俺はミースさんとマイネさんに食べてもらえるように、もう一度プリンを焼き上げ、またギルドへと足を運ぶのだった。
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