第69話 シュベールサーモンのちらし寿司
ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。
甘い香りの蒸気と一緒に、姿を現した美味しそうに炊きあがったご飯。それを見たミカミさんが目をキラキラと輝かせた。
「ふぉぉぉぉっ!!ご飯だーーーっ!!」
「み、ミカミさん、勢い余って飛び込んじゃダメですよ?」
今にも飛び込みそうになっていたミカミさんを必死に引き留めていると、ご飯の炊ける香りを嗅ぎつけたシアがフラフラとこちらに吸い寄せられてきた。
「美味しそうな匂い……。シアの国の匂いがする。」
「あ、そうだ。せっかくなら……。」
少し手に水をつけて、ご飯を少し取って、少し小さめのおにぎりを作った。
「これに少し塩をまぶして……はい、シア。食べてみてくれ。」
「いいのっ!?」
「あぁ、きっと美味しくできてるかどうかは、シアが一番わかると思う。」
「えへへ、ヒイラギお兄ちゃんありがとう!!いただきま〜す!!」
満面の笑みを浮かべながら、かぷっと三角おにぎりの頂点に大口でかぶりつくシア。すると、幸せそうに何度も頷いていた。
「これっ!!シアが食べたことあるお米より美味しいっ!!すっ……ごく美味しい!!」
「そっかそっか、良かったよ。」
ポンポンとシアの頭を撫でていると、脇腹をツンツンとマイネさんに突かれた。
「ヒイラギ君、おばさんにもそれ食べさせてくれないかなぁ?」
「もちろんですマイネさん。」
「柊君っ!!私も所望するよ!!」
「そんな焦らなくても大丈夫ですよミカミさん。たくさん炊きましたからね。」
そしてミカミさんとマイネさんの2人も塩おにぎりを口にすると、ミカミさんは馴染み深いこの味に感動していて、マイネさんはとても興味深そうに何度も頷いていた。
「うんうん、なるほど〜。こういう感じなんだねぇ〜。」
「マイネさんどうですか?」
「いやぁ、すごく美味しいよぉ〜。麦とかみたいな香ばしさは無いんだけど……甘みが強くて、上品な味わいだねぇ。」
「いや、食レポ上手いねマイネちゃん。」
「うへへ〜、そう〜?」
少し照れながらも、マイネさんはこちらにちらりと視線を向けた。
「それで〜、これを使って何を作るのかなぁ?おばさんはそれがいっちばん気になるんだけど〜?」
もしご飯があったとしたら……って想像して、何を作るのか頭の中で決めていたものがある。
「今晩の夕ご飯はシュベールサーモンを使って、ちらし寿司を作ろうかと思ってました。」
「ちらし寿司〜!?も、もしかして……いくらとシュベールサーモンのお刺身を使ってってことかい!?」
「そういう事になりますね。あと、クラーケンも少し使おうかなって思ってました。」
興奮気味にミカミさんは、ぐるぐると俺の周りを飛び回る。
「そのちらし寿司〜っていう料理が何なのかは、おばさんわからないけど……ミカミちゃんがそんなに喜んでるってことは、相当美味しい料理なのかなぁ?」
「もちろん、最高に美味しいですよ。期待しててください。」
「うへへ〜、じゃあすっごく期待してるねぇ〜。」
マイネさんは期待しながら、俺がまた調理を始めるのを待っている。
「それじゃあ早速……仕込んでいきますね。」
醤油漬けはもう出来てるから、今から作るのは酢飯と薄焼き卵ぐらいなものだ。
「まずは寿司酢から作っていきます。」
寿司酢は米酢と砂糖、少量の塩を混ぜて作る。これはしっかりと全部混ぜ合わせるだけで大丈夫だ。
魔法瓶で調味料を取り出して寿司酢を作っていると、その光景を見て不思議そうにマイネさんが首を傾げた。
「ヒイラギ君、ずいぶん便利そうなものを持ってるねぇ〜。それ、もしかして調味料とか出てくるマジックアイテム?」
「あ、そうなんですよ。コレをダンジョンで手に入れたんです。」
「うへぇ〜、料理人なら誰しも欲しいものだねぇ〜。」
そんな会話をしながら、先ほど合わせた寿司酢を水加減を調整しつつ、炊きたてのご飯に混ぜていく。本当は酢飯にするなら、少し水加減は少なめに炊いたほうが良かったんだが……。
マイネさんに、基本となるご飯の炊き方を教えたかったからな。今回は寿司酢を加減して入れて、ベチャッとならないように気を付けよう。
「後はご飯を潰さないように、切るように混ぜて全体に寿司酢を馴染ませておきます。」
寿司酢を馴染ませたら、すぐに団扇か何かで風を送って人肌ぐらいまで温度を冷まし、軽く濡らした布を被せておく。
「これで酢飯の仕込みは終わりです。次は薄焼き卵を作ります。」
薄焼き卵の作り方は至って単純。割った卵に塩と砂糖でほんの少し味をつけ、裏ごしをしてからフライパンで薄く焼くだけ。
「これは細く千切りにして、錦糸卵に……。」
これで材料の用意は完璧だ。後はお刺身を切って、盛り付けるだけ。
シュベールサーモンのオスの身と、クラーケンの身をお刺身にして、大皿に平らによそった酢飯の上に錦糸卵と一緒に無作為に散らしていく。
「で、最後にシュベールサーモンのいくらの醤油漬けをたっぷりと上からかけてあげれば……。」
ご飯が見えなくなるぐらいたっぷりと、シュベールサーモンのいくらをかけて、料理が完成した。
「シュベールサーモンのちらし寿司……完成です。」
この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。