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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第66話 シアの服の調達

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 昼食を食べ終えたところで、思い出したようにドーナさんがあることを問いかけてきた。


「そういえば、さっきのシュベールサーモンの卵って食べないのかい?」


「あれは味が染み込むまでまだ時間がかかるので、今日の夜食べましょう。」


「だからドーナちゃんも今日の夜は一緒にご飯食べようね~?」


「ま、別にいいよ。大した予定もないし。」


「じゃあけって~い。お酒もたくさん用意しなきゃね柊君っ!!」


「そうですね。」


 シュベールサーモンのメスを手に入れるという目的を達成し、今度はエミルに帰るためにまたシュベールの町の中に戻り、馬車を待っている途中、俺はあることを思い出した。


「あ、ドーナさん。馬車が来るまでまだ時間ありますか?」


「ん?まだあるけど……どっか行きたい場所でもあるのかい?」


「はい、実はシアの服を買ってあげたくて。」


「あ〜……よくよく見たらかなりボロボロだったんだねぇ。」


「そういうことなら、このミカミちゃんにお任せだよっ!!」


 そう胸を張りながら、ミカミさんはシアの顔の前へと飛んでいく。


「この私がシアちゃんにピッタリな服を選んであげよう。柊君っ、任せてくれるかい!?」


 ふんすふんすと鼻息を荒くしているミカミさん。こうなったこの人はもう止まらないし、止められない。


 まぁ、こういうことは俺よりも詳しいのは間違いないし……ここは任せよう。


「じゃあお願いしても良いですか?」


「まっかせてくれたまえ!!さっ、シアちゃ〜ん、お洋服見に行こ〜♪」


「あっ……あぅ。」


 少し戸惑いながら、シアは俺の方に視線を向けてくる。そんなシアの頭をポンポンと撫でながら、安心するように声をかけた。


「大丈夫、ミカミさんに可愛い服選んでもらっておいで。」


「ヒイラギお兄ちゃんは来ない?」


「俺も一緒がいいのか?」


 そう問いかけると、シアは何度も何度も首を縦に振って頷いた。


「……わかった。じゃあみんなで行こう。ドーナさんもちょっとだけ付き合ってもらっても良いですか?」


「アタシは構わないよ。ただ待ってるだけってのも暇だしねぇ。」


 ドーナさんはそう言って笑ってくれた。そして結局みんなで服屋へと赴くと、早速ミカミさんが目にも留まらない速さで動き、色々な服をかき集めてくる。


「シアちゃんなら、こういうフリフリのワンピースも似合うと思うなぁ〜。ショートパンツにパーカーを合わせても良いね!!」


 まるで着せ替え人形のように、ミカミさんはシアに色々な服を合わせていく。


「あっ!!ちゃんと獣人用に、こういう尻尾が通る穴が空いたパンツもあるんだ〜。可愛いねぇ〜。」


 一人で盛り上がって、買い物かごにポンポンと服を放り込んでいくミカミさん。その様子をシアと一緒に眺めている最中、シアに一つ質問をしてみた。


「シアはコレが可愛いとか、そういう服無い?」


「えっ……う〜ん。」


 そう問いかけると、シアは近くにあった子供用の服のコーナーを吟味し始める。すると、1枚のTシャツを手にして、それをじっと見つめていた。


「それが気になる?」


「うん、このお魚さんが可愛い。」


 シアが手にしていたTシャツには、中央にデフォルメされた大きな魚の絵が描かれていた。多分、この魚はシュベールサーモンだと思う。


「じゃあコレも買おうか。」


 そんなこんなで10点近くシアの着替えを購入した後、シアはミカミさんに連れられて試着室へと向かっていった。


「それにしてもあの子も可愛そうだねぇ。同族のイザコザに巻き込まれるなんてさ。」


 試着室で着替えをしているシアを待っている最中、ドーナさんがポツリと言った。


「国王を決めるんなら、誰にも迷惑のかからない方法でやりゃあ良いのにねぇ。それこそ一番強いやつが王になれるんなら、腕自慢を集めて大会でも開きゃいいのに……。」


「間違いないですね。」


「まぁ、向こうには向こうの文化ってやつがあるから、アタシらが口を突っ込むのは野暮ってもんなのかもしれないけど……ちょっとあんまりだよねぇ。」


 そう話していると、試着室のカーテンがシャッと音を立てて開き、さっきの魚の絵が描いてあるTシャツと、ショートパンツに着替えたシアが姿を現した。


「ねぇねぇ、どうどう?めちゃくちゃ可愛くなったよね〜?」


 ミカミさんの言葉に頷いていると、シアは少し恥ずかしそうにしながらも、笑みを浮かべる。


「え、えへへ……ヒイラギお兄ちゃんありがとう。み、ミカミお姉ちゃんも……。」


「いっ、今私のことミカミお姉ちゃんって言った!?うへへへ〜、いいよぉ〜。何回でもお姉ちゃんって呼んで〜♪」


 お姉ちゃんと呼ばれたことが凄く嬉しかったようで、ミカミさんはシアのことをめちゃくちゃに撫で回していた。


「っと、そろそろ馬車が来る時間だよ。関所に向かおうか。」


「分かりましたドーナさん。ミカミさんも、撫でるのは何時でもできますから、行きますよ。」


「あっ、ヒイラギお兄ちゃん待って〜!!」


 そしてシアと手をつなぎながら、俺達は関所に向かい、またエミル行きの馬車に揺られることになったのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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