第65話 2種類のサンドイッチ
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シュベールサーモンの切り身にパン粉をつけ終わったら、これをオーリオオイルで揚げながら、タルタルソースを作っていく。
「まずはオニオスをみじん切りにして、軽く塩を振ってもみこんで、水にさらしておく。」
その間に先ほど茹でた茹で卵をつぶして、マヨネーズと混ぜておく。これでほとんどタルタルソースは完成したようなものだ。
「あとはここにさっきみじん切りにして、水にさらしておいたオニオスを入れて……レモモの搾り汁と、塩、胡椒で味を決める。」
これでタルタルソースは完成だ。後はミカミさん達の方のスネイクフィッシュの蒲焼きと、こっちのシュベールサーモンのフライが完成するのを待つだけだ。
揚げあがったフライをバットに取りながら、ミカミさん達の方に視線を向けていると、シアがジッ……とシュベールサーモンのフライを見つめていることに気が付いた。
揚げたてはかなり熱いから、一番最初に揚げ上がったものを一つ手に取り、タルタルソースを絡めてシアに差し出した。
「食べる?」
「い、いいの?」
「食べたかったら食べればいいんだよ。別につまみ食いしたって俺は怒らないから。」
「えへへぇ、ヒイラギお兄ちゃんありがと!!」
フライを受け取って、シアはそれに勢いよくかぶりついた。するとやはり少し熱かったらしく、必死にハフハフと口の中で冷ましながら食べている。
「あひゅっ、はぅ……おいひいけど、んんっあっつい。」
次第に粗熱が取れてくると、シアの顔もそれに応じて幸せそうな表情に変わっていく。それを眺めていると、またまたいつの間にやら俺の背後にミカミさんとルカが忍び寄っていた。
「あ、ミカミさん。そっちの蒲焼きもできたみたいですね。」
「今ちょうど出来上がったところだよ。シュベールサーモンのフライも出来上がってきてるみたいだね?」
「はい、これで最後ですね。あ、蒲焼き貰いますよ。」
ルカから蒲焼きを受け取って、串を抜き、手ごろな大きさにぶつ切りにする。それを輪切りにした茹で卵と一緒にパンに挟んでサンドイッチに仕上げた。
「スネイクフィッシュの蒲焼きサンドイッチ完成です。」
「な~るほどね、お米がない代わりのサンドイッチ。めちゃくちゃ美味しそうじゃん!!」
「あとは、こっちのシュベールサーモンのフライもたっぷりのタルタルソースと一緒に、パンで挟みます。」
これでシュベールサーモンのサンドイッチも完成だ。
「はい、これがドーナさんの分です。おかわりもありますからたくさん食べてくださいね。」
「ありがたくもらうよ。」
「で、これがルカとシアの分。」
「感謝します。」
「ヒイラギお兄ちゃんありがと~!!」
「ミカミさんの分は、これです。」
ミカミさんのサンドイッチは、サイズに合わせて切ったミニチュアサイズのサンドイッチだ。
「別にこんな面倒なことしなくても、そのおっきいのそのまま寄越してくれてもいいんだよ?」
「いやいや、どこからどう見てもミカミさんのお腹に入るようなサイズじゃないでしょ。」
「一応ポンポンオランなら、1個丸々食べれるんだけどなぁ。」
「やっぱりそれじゃあこっちの大きいほう食べます?」
「いや、せっかく用意してくれたんだからこっちを食べさせてもらうよ。足りなかったらおかわりもあるんでしょ?」
「もちろんです。」
「じゃあ最初はこっちでいいよ~。」
そしてみんな各々好きなサンドイッチを手にしたところで、それに一斉にかぶりついた。
「ん~っ、美味っ!!このソースと、シュベールサーモンの相性が最高だねぇ~。」
「この蒲焼きサンドイッチも最高だよ~。鰻みたいになんか引っかかる骨もないし、めちゃくちゃ食べやすいね。」
「ご主人、おかわりを所望する。」
ドーナさん達の受けはすごく良くて、みんなすごい勢いで食べ進めていた。一方俺の膝の上に座っているシアは、一口一口を凄く大事そうに食べている。
「シアはあんまりお気に召さなかったか?」
「ふみゃっ?そ、そうじゃなくて……すっごく美味しいから、少しずつ食べなきゃもったいないと思って……。」
「はは、そういうことか。美味しいなら、みんなに負けないぐらいたくさん食べたほうが良いんだぞ?じゃないと、ほら……みんなはどんどん遠慮なく食べちゃうからな。」
ドーナさん達がおかわりに手を付けているのを見て、ハッとなったシアは急いで今食べていたシュベールサーモンのサンドイッチを口の中に詰め込むと、今度はスネイクフィッシュの蒲焼きサンドイッチを手に取った。
「ん?シア、ちょっとこっち向いて?」
「んっ!!」
こちらに顔を向けたシアの口周りについていたタルタルソースを、タオルで拭いてあげた。
「はい、これで良し。」
「ありがとう、ヒイラギお兄ちゃん!!」
シアの面倒を見ながら俺もサンドイッチを口にしていると、その一連のやり取りを見ていたミカミさんがぽつりと言った。
「お兄ちゃんっていうよりは、お母さんじゃないかな?」
「いやいや、せめてそこはお父さんでお願いしますよ。」
「あっはっは、冗談だよ。」
そんな談笑に花を咲かせているうちに、かなり多めに作ったサンドイッチはあっという間に無くなってしまった。
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