第64話 マヨネーズと茹で卵
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さて、早速お昼ごはんの準備に取り掛かっていくのだが……今回釣れた魚は2種類。シュベールサーモンと、ドーナさんが釣り上げたスネイクフィッシュだ。まずはこの2種類の魚を水洗いして三枚に下ろすところから始めよう。
「ドーナさん、そこのスネイクフィッシュも料理に使ってもいいですか?」
「構わないよ。」
そしてドーナさんはスネイクフィッシュを掴もうとするが、表面がぬるぬるでなかなか上手く掴めずにいる。
「あっはっは、ドーナちゃんお魚に遊ばれてる~。」
「喧しっ!!こいつぬるっぬるしてて全然掴めないんだよっ!!」
悪戦苦闘しているドーナさんのところに駆け寄って、俺は鰻と同じ持ち方で掴み上げた。
「な、なんでそんな簡単に掴めるんだい?どうやっても手から逃げてくけどねぇ。」
「コツがあるんですよ。手全体でムギュッと掴むんじゃなくて、力のかかる場所を1か所に絞るんです。」
「へぇ、こんな感じか。」
俺がやって見せると、ドーナさんも真似してアッサリとスネイクフィッシュを掴むことができていた。
「日常生活じゃ、まずこんなの使わないねぇ。」
「はは、そうかもしれないですね。じゃあこっちに持って来てもらえますか?」
「わかったよ。」
持って来てもらったスネイクフィッシュを背開きで開いて、中骨と腹骨……そしてヒレを取っていく。それを眺めていたミカミさんが不思議そうにぽつりと呟いた。
「柊君さ、目打ちもしないでよくそんな簡単にさばくね。」
「まぁ、もちろん目打ちはした方がやりやすいんですけど……やらなくても慣れればさばけますよ。」
そしてスネイクフィッシュをさばき終えたところで、串を打っていき、さっき起こした火の近くで焼いていく。
「ミカミさん、ちょっとお願いしたいことがあるんですけどいいですか?」
「なんだい柊君?」
「これ、さっきいくらを漬けるために作った漬け地のあまりなんですけど、これを焼いてるスネイクフィッシュに塗ってほしいんです。」
そう言うと、ミカミさんは俺が作りたい料理を察したらしく、大きく頷いた。
「はっはぁ~ん?柊君、もしかしてアレを作ろうとしてるね~?タレを塗るのは任せてほしいけど、アレを作るなら尚更ご飯が欲しくなってきたよぉ~。」
そう言いながらミカミさんはルカを連れて、火の方に向かってくれた。あっちは多分任せても大丈夫だと思う。
俺はこっちの料理に取り掛かろう。
「あとは残ったシュベールサーモンを三枚に下ろして……柵を取って、切り身にする。」
シュベールサーモンを切り身にした後、それに塩と胡椒を振って下味をつける。塩が馴染む間に、もう一つ火を起こして、そこで茹で卵を作ることにした。
「水から茹でて……今回は固ゆでにするから10分だな。」
「茹で卵は普通に食べるのかい?」
「あ、これはソースにします。」
「はぇ?そのまま食べるんじゃなくて?」
「はい。」
「茹で卵なんてそのまま食べるもんだと思ってたよ。」
「意外といろんな使い方もあるんです。今日はその一例を見せますよ。」
茹で卵が茹で上がったところで、水で急冷させて殻を剥いていく。その様子を眺めていたシアが物欲しそうに茹で卵を見つめていた。
せっかくなので、ドーナさんとシアの味覚を調査するためにあの調味料を使って茹で卵を食べてもらおうかな。
「マヨネーズ。」
そう言いながら魔法瓶を手にすると、瓶の中にぎっちりとマヨネーズで満たされる。そのマヨネーズをスプーンでとって、殻を剥いた茹で卵の上に乗せてから2人に差し出した。
「2人とも、これをちょっと食べてほしいです。」
「食ってもいいのかい?」
「はい、食べたら感想を教えてほしいです。」
「わかったよ。」
「えへへ、いただきま~す!!」
2人は同時に茹で卵にかぶりつくと、驚きで目を丸くしていた。
「おいひ~!!ヒイラギお兄ちゃんっ、この卵すっごく美味しいっ!!」
「茹で卵なんて塩で食べるもんだと思ってたけど……この調味料で食べると、また美味いねぇ。」
「それならよかった。安心してこれも使えますね。」
そしてまた調理に戻るべく、後ろを振り返ると、そこにはいつの間にかミカミさんとルカが立っていて、2人とも自分の分は?と言わんばかりに自分の顔を指さしている。
「ちゃ、ちゃんと2人の分もありますよ。」
「うんうん、柊君なら用意してくれてると思ったよ~。」
「流石です。ご主人様。」
まぁマヨネーズの味に慣れてるミカミさんは言わずもがな……ルカもマヨネーズを気に入ってくれたらしく、ぺろりと茹で卵をお腹に納めてしまっていた。
「も、もうこれ以上はソースに使う分が無くなっちゃうのでダメですよ。」
「はいは~い。じゃルカちゃんもどろ~。」
そしてミカミさん達はスネイクフィッシュの面倒を見るべく再び戻っていった。
「さ、さて……調理に戻ろう。」
今度はたっぷりのオーリオオイルを鍋に入れて火にかけながら、その横で俺は切り身にしたシュベールサーモンにパン粉をつけていったのだった。
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