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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第58話 シュベールサーモンを狙って

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 シュベールに戻って喫茶店に入り、紅茶を飲みながらゆっくりとしているとミカミさんが喫茶店の正面にあるお店を指さしながら、俺の服の袖を引っ張ってくる。


「柊君っ!!あそこのお店、釣具屋さんって書いてあるよ!!」


「ホントですねミカミさん。」


「釣りするならあそこで釣り竿とか買えるね~。」


 そんな話をしていると、ドーナさんが呆れ顔で言った。


「ダンジョンを攻略したってのに、もう次には釣りのことを考えてんのかい?」


「そりゃあそうだよ~、あのダンジョンを攻略して、と~ってもいいものが手に入ったし……絶対にあのマイネちゃんが見せてくれたシュベールサーモンのメスを釣らなきゃ!!」


 そう鼻息を荒くしながら言ったミカミさんは、次の瞬間には上を見上げながらうへへと笑って、()()()()……とつぶやいていた。


「ったく、ミカミに付き合わされてヒイラギも大変だねぇ。」


「あはは、いいんですドーナさん。俺もシュベールサーモンは気になってますから。」


「ま、気になるっていうのは激しく同意できるけどさ、本当に釣れるかねぇ。」


「釣れる釣れないじゃない……絶対に釣るんだよドーナちゃん。さっ、休憩はお終いお終いっ!!早く釣り具を揃えて釣りに行くよーーー!!」


 もうシュベールサーモンのことしか見えていない様子のミカミさんに腕を引かれて、釣具屋の中に引き込まれた後、店員さんのアドバイスに従って釣り具を一式揃え、俺達はおすすめだという釣り場所に向かった。


 そして湖の畔にやってきたところで、俺はドーナさんと一緒に釣り竿の用意を始めた。その横でミカミさんがルカに釣り竿を手渡している。


「ルカちゃんも一緒に釣ろうね。」


「こ、これはメイドの仕事なのか?」


「もしシュベールサーモンのメスを釣り上げたら、お給料上げるよ?」


「よぅし!!必ず釣り上げて見せるっ!!」


 ルカはまんまとミカミさんの口車に乗せられて、さっきまでの少し怠惰な様子から一転、やる気に満ち溢れていた。


「さてと……じゃ、久しぶりにやってみるとするかねぇ。」


 準備を終えたドーナさんは釣り針にミミズのような生餌をつけて、糸を湖に垂らした。それに続いて俺も湖に餌をつけた糸を垂らす。


 当然と言えば当然だが、垂らしてすぐに魚が釣れるわけはなく、少し暇な時間が訪れてしまった。


「そういえば、ドーナさんは釣り竿を持ってましたけど……前に釣りをしたりしてたんですか?」


「ん?まぁ、何回か野宿することになった時に、食事を確保するためにやってただけだよ。特に趣味としてやってたわけじゃない。」


「そういうとき、何か釣れました?」


 そう問いかけると、ドーナさんは少しバツが悪そうな表情で答えた。


「アタシの釣った魚はとてもじゃないけど食べれそうなやつじゃなくてさ、その日の飯にはならなかったねぇ。」


 そんな会話をしていると、ドーナさんが水面に浮かせていたウキが勢いよく水の中に沈んだ。


「おっ!!そんな話をしてたら来たよっ。」


 ぐんっとドーナさんが力を込めて竿を手前に引っ張ると、勢いよく水面からヘビのような魚が飛び出してきて足元の地面に打ちあがった。


 それを眺めてドーナさんは、大きなため息を吐く。


「はぁ~、やっぱりアタシが釣る魚って食えなさそうな魚なんだよねぇ。」


「ドーナさん、そんなことないですよ。この魚……市場で売ってましたから。」


「でも、美味しくはなさそうじゃないかい?」


「それは食べてみないとわかんないですよ。」


 俺はレヴァを手に持って、ドーナさんが釣り上げたヘビのように胴体の長い魚の首根っこを押さえると、背骨を断ち切って絞めた。そして鑑定を使う。


「鑑定っと。」




~鑑定結果~


名称 スネイクフィッシュ


備考


・淡水に生息する肉食魚。

・身は淡白ながら脂があり、非常に美味。

・身は美味ながら、骨が多く非常に食べづらい魚である。しかし、スネイクフィッシュの骨は300℃の熱ですべて分解される。




 鑑定してみてわかったことは、このスネイクフィッシュという魚は、きちんとした調理を施せば美味しく食べられるという事。説明を見た限り、鰻や穴子のような魚とほとんど変わらないように思える。

 骨も高温で熱してやれば分解されるって書いてあるし、これだったらあの料理で美味しく食べられるはずだ。


 俺の竿には未だ当たりが来る様子はない。今のうちにこのスネイクフィッシュをさばいてみよう。


「まずはスネイクフィッシュのぬめりを包丁でこそいで落として……。」


 鰻とかと同じで、このスネイクフィッシュもぬめりがすごい。これじゃさばくときに滑りそうだから、念入りにこそいでおく。


「そしたら背開きに。」


 レヴァがすごく切れるおかげで、簡単に背開きにすることができた。背開きにした後は中骨を鋤きとって、内臓を抜いてきれいに洗う。


「よっしできた。我ながら完璧……。後はこれに串を打って~っと。」


 これであとは焼くだけ。まだお昼には早いから、これはマジックバッグの中にしまっておこう。


 そしてマジックバッグの中にさばいたスネイクフィッシュをしまうと、俺の竿がビクッと大きく震えた。


この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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