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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第57話 最高のプレゼント

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 どこからともなく目の前に落ちてきた紙を手に取ると、そこにはイリスさんからのメッセージが書いてあった。


『キマイラの討伐おめでとうございます。少々意地悪な魔物を守護者にしてすみませんでした。生半可な魔物じゃマキナちゃんの作ったレヴァの力を確かめられないと思ったので、どうかご理解ください。……さて、それではもう一つ、私からの贈り物を送らせていただきますね。』


 そこまで文章を読むと、俺の頭上でキラリと一瞬何かが光った。上を見上げてみると、眩い光を放つ光の玉がゆっくりと舞い降りてきていた。


 手を前に出してそれを受け止めようとすると、光の玉は手に触れた瞬間に花火のように弾け、その中から中身が空っぽの小瓶が現れる。


「……?何も入ってない瓶?」


 どこをどう見てもただの瓶にしか見えないが……これは一体何なのだろう。そう疑問に思っていると、手に持っていた紙に書いてある文字が変わった。


『一見何の変哲もない、ただの小瓶に見えるかもしれませんが、これは私とマキナちゃんで創り出した()()()です。その魔法瓶は、ヒイラギさんの住んでいた世界にほんの少しだけ干渉するように細工を施しました。あ、もちろん向こうのミカミちゃんから許可をもらってますから、安心してくださいね。……それで肝心な性能なのですが、その魔法瓶は地球にある物質を少量、こちらの世界に持ってくることが可能なんです。ヒイラギさんが向こうの世界で慣れ親しんだ調味料なども、もちろん持ってこれます。レヴァと共にこの魔法瓶も、ヒイラギさんの新たな夢に役立てて頂けたら幸いです』


 文章を読み終わった後、俺は思わずその魔法瓶に視線が釘付けになってしまった。


「これがあれば、も、もしかして醤油も……。」


 醤油と口に出した瞬間、小瓶の中がみるみるうちに赤黒い液体でいっぱいになっていく。


「まさか、本当に!?」


 小瓶の蓋を開けて手の平に少しその液体を垂らし、味見してみると慣れ親しんだあの味がじわっと舌の上で広がった。


「あぁ、間違いない。醤油だ。」


 この世界でもこの味が味わえるなんて……感動だ。


 正直な話、もう醤油とか味噌とか地球にしかない調味料は、こっちの世界じゃ味わえないし作れないものだと思っていた。多分麹菌とかもいないだろうし……。


 じんわりと胸の奥底からこみあげてくるものを感じていると、ようやくドーナさんとの会話を切り上げたミカミさんがこちらに飛んで来た。


「ん~?もしかしてそれがイリスちゃんが用意してくれたプレゼント?」


 ミカミさんは俺が手にしている小瓶を見るなり首を傾げていた。


「あ、ミカミさん。イリスさんがすごくいいものをくれましたよ。この小瓶、めちゃくちゃすごいんです!!」


「お、おぉ……ず、ずいぶん興奮しているね柊君。そんなに凄いものなのかい?」


「はいっ、一先ずこれ……舐めてみてください。」


 指先にちょんと瓶の中に入っている醤油を一滴垂らしてミカミさんに差し出すと、ミカミさんはまずはその香りを確認している。


「ん?んん!?この香りはもしかしてっ!!」


 香りですでに確信した様子のミカミさんは、飛びつくように垂らした醤油を指で掬い取って口に運ぶと、幸せそうな表情を浮かべた。


「やっぱり醤油だぁ~。も、もしかしてこの瓶は醤油を生み出す瓶なのかい!?」


「醤油だけじゃないみたいですよ。ほかにもいろんな調味料を出せるみたいです。」


「もうイリスちゃん最高~。今度会ったらいっぱいお礼言わなきゃいけないね。」


 そしてミカミさんと2人で喜び合っていると、突然地面がぐらぐらと大きく揺れ始めた。


「はへ?じ、地震!?」


「いや、こいつはまさか……。」


 ドーナさんが冷静に状況を確認していると、この空間の天井や壁面などがガラガラと崩れ始め、俺たちの前に青色の大きな光が突然現れた。


 それが現れた瞬間、俺は襟をドーナさんに掴まれて、軽々と持ち上げられてしまう。


「え!?ど、ドーナさん!?」


「ダンジョンの崩壊が始まったから、とっととここから出るよっ!!」


 そして何が何だかわからないまま、俺はドーナさんに担がれてその青い光の中に飛び込むことになった。青い光の中に入ると、一瞬体がふわっと浮かんだような感覚に襲われ、次の瞬間にはダンジョンの入り口があった場所に戻ってきていた。


 みんなでそこに戻ってくると、ドーナさんは俺のことを地面に優しく下ろしてくれた。


「あ、ありがとうございますドーナさん。」


「良いってことさ、にしてもまさか一回ぽっきりのダンジョンだったとはねぇ。」


 ドーナさんが見つめていたダンジョンの入り口は、いつの間にか綺麗に無くなっている。


「まっ、正直……一回きりでよかったのかもねぇ。とてもじゃないけどその辺の奴がパーティー組んでもクリアできるような難易度じゃなかったし。」


 そう言いながら、ドーナさんはシュベールの町の方に体を向けた。


「さ、ダンジョンの攻略も終わったからシュベールに帰ってちょっくら休憩しようか。ヒイラギもキマイラとの戦闘で疲れてるだろ?」


 ダンジョンの攻略を終えた俺達は、一度シュベールに戻って、適当な喫茶店に入り一休憩挟むことにしたのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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