第56話 レヴァの本領発揮
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まず試すべきなのは、レヴァがどんなことができるのか……現状知っているのは、レヴァが俺の思った通りに形を変えれること、そして斬撃を飛ばせるということ。
「一つ一つ確認していこうか。」
元の形に戻るように心の中で思うと、レヴァはあっという間に小さくなって普段の包丁サイズに戻った。
「このまま斬撃は……。」
小さくなったレヴァを横に一薙ぎすると、この状態でも思った通りに斬撃が飛んでいく。斬撃を飛ばすのに大きさは関係ないらしい。
放った斬撃は、キマイラにあっさりと躱されてしまったが、今はわかったことが一つ増えたから良しとしよう。
「柊君、一つ試してみてほしいことがあるんだけどいいかな?」
「どうしたんですかミカミさん?」
「その飛ばせる斬撃をさ、複数同時に飛ばせないかな?ほら、それこそグレーウルフが飛ばしてきたやつみたいにさ。」
「……なるほど。」
少し常識に囚われすぎていたかもしれない。1回振ったから斬撃も1つ……と頭のどこかで勝手に思ってしまっていた。
「1つを2つに……。」
イメージを膨らませながら、レヴァをキマイラへと向かって振るうと、1回横に振るっただけで2つの大きな斬撃が発生し、キマイラに襲い掛かる。
「っ!!できたっ!?」
2つの斬撃は不規則な動きでキマイラに襲い掛かり、尻尾の大蛇を切り落とすことに成功したが、すぐにまた再生してしまう。
「これができるなら……あとはキミの想像力次第でいかようにもなるはずだよ柊君。」
「はい、ミカミさん。」
レヴァを握る手に力を籠めると、俺の感情の高ぶりを感じ取ったのか、再びレヴァは日本刀のような形状に変形する。それを横に一閃して大量の斬撃を飛ばしながら、俺はキマイラへと距離を詰めた。
すべての斬撃を避けきることはできず、キマイラは徐々に体が削られていく。そして放った斬撃の雨が止む頃、俺はキマイラに手が届く位置まで近づくことに成功していた。
「この距離なら……避けられないだろっ!!」
目の前で十字架を描くようにレヴァを振るうと、キマイラの体に格子状にピッと線が入った。そして徐々に体がズレていくキマイラへ、さらに追い打ちをかけるように、俺はレヴァを横に一閃する。
すると、俺の思い描いた通り……キマイラはまるで微塵切りにされたように細かくきざまれ、床に散らばった。それと同時に俺の前にレベルアップの通知画面が表示された。
『レベルアップに必要な経験値を満たしたためレベルが上昇し、レベル50になりました。レベルアップしたためステータス情報が更新されます。』
「倒せた……。」
倒せたという実感がわいてくると、ピンと張っていた緊張が解けて、どっと疲れが襲い掛かってくる。
「お疲れ様、柊君。頑張ったね。最後の斬撃は、料理の微塵切りをイメージしたのかな?」
「は、はい。斬っても斬っても再生するなら、もう滅茶苦茶細かくきざんだらどうかなと思って……。」
「私もそれが正解だったと思うよ。あんな再生能力を持ってるのが相手だったら、再生ができないぐらい体を破壊するのが正攻法ってモノさ。」
ミカミさんが俺の頭をわしゃわしゃと撫でてくれていると、続いてまたスキルを奪い取ったという通知画面が表示される。
『武器のスキルが発動します。討伐したキマイラが所持していたスキル……ブレスLv7を奪い取りました。』
「今度はブレスを奪い取ったみたいです。」
「ブレスっていうと、あれじゃないかな?さっきキマイラが吐いてた炎とか毒ガスみたいなやつとか。」
「多分そうだと思うんですけど……。」
そうしてレベルアップの通知と、スキルを奪い取ったという通知に目を通していると、こちらにドーナさん達が歩み寄ってきた。
「マジでそのレベルでキマイラを倒しちまったかい。まったくどうなってんだか。レベルの概念ってやつがアタシの中で完全に崩れちまったよ。」
「あはは……ま、マグレですよ。」
そう言うと、ドーナさんは……。
「いんや、今のはマグレって軽い言葉なんかじゃ片付けれないもんだったよ。……それにもうヒイラギのマグレって言葉は信じないって決めたんだ。」
そう言いながら、ドーナさんは最初初めて出会った時俺に向けてきた表情と同じ、凶暴さが垣間見える笑顔を浮かべた。
「キマイラも倒して、レベルもずいぶん上がったんだろ?だからそろそろ……一回ヒイラギとは手合わせしたいところだねぇ。」
どう答えればいいのか反応に困っていると、ミカミさんが首を傾げながらドーナさんの顔の前に飛んでいった。
「ドーナちゃんさぁ、初めて会った時……自分よりも強い人じゃないと惚れないみたいなこと言ってたよね?」
「ん、まぁそんなこと言ったかもねぇ。」
「もし、ドーナちゃんと手合わせして柊君が勝っちゃったら……どうする?」
「ハッ、そう簡単に勝たせるつもりはないよ。」
「ふぅ~ん?私は柊君が勝つと思うけどなぁ~。」
ミカミさんとドーナさんが勝手に盛り上がっていると、俺の前にひらひらと1枚の紙が舞い降りてきた。
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