第52話 襲い来るミミックバグ
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大量に飛び上がったミミックバグは、一斉にこちらへと向かって押し寄せてくる。一斉に動き出したそれを見て、ミカミさんが悲鳴を上げた。
「ぎゃーーーっ!!ひ、柊君っ来るよ!!」
「わかってます!!」
虫に効果的なものは何だ?殺虫剤?いや、それが効くかはわからない。そもそも想像魔法で再現できるかもわからないし、それなら現状一番確実なのは……。
俺は頭の中で強く、あるイメージを描きながら、右手をミミックバグの群れに向かってかざした。
「燃えろ!!」
その言葉と同時に、目の前の地面に大きな魔法陣が現れて、そこから大きな炎の竜巻が巻き起こる。飛んでいたミミックバグは引き寄せられる力に抗えずに、その竜巻の中に引き込まれていき、あっという間に炭になっていく。
「これぞまさに飛んで火に入る夏の虫……よくやってくれたよ柊君。危うく私のSAN値がマイナスになって発狂してしまうところだった。」
「意外でしたよ、ミカミさんにも苦手なものってあるんですね。」
「そりゃあ、苦手なものの1つや2つ誰だってあるだろう?私も類に漏れないというわけさ。」
ミミックバグの殲滅を終えて、ホッとミカミさんが俺の肩の上で胸を撫で下ろしていると、俺の前にレベルアップの通知画面が表示された。
『レベルアップに必要な経験値を満たしたためレベルが上昇し、レベル40になりました。レベルアップしたためステータス情報が更新されます。』
「あ、レベル40になりました。」
自分の今のレベルを口に出すと、ドーナさんがやれやれと少し呆れたように呟いた。
「あんな威力の高そうな魔法を大した詠唱もなくポンポン使えて、しかもあれだけ近接戦もできるのにレベル40ねぇ……。レベル詐欺もいいところだよ。」
そんなドーナさんの言葉に、激しくルカが同意の意思を示すように何度も首を縦に振っている。
「だから言ったでしょ~、柊君はちょっとしたトラブルに巻き込まれてレベルが1に戻っちゃったんだって。元は結構高かったんだよ。」
「……前から疑問だったんだけど、レベルが1に戻る前のヒイラギのレベルはいくつだったんだい?もしかしてアタシとそんなに変わらなかったりする?」
「確かドーナちゃんよりレベルは上じゃなかったっけ柊君?」
「そんな高くなかったですよミカミさん。」
「そうだったっけ?もう忘れちゃったよ~。」
ミカミさんと話を合わせてうまくその質問を躱すが、案の定ドーナさんはあまり納得できていないようだ。
「まぁまぁ、一先ず脅威は退けられたし、先に進もうよドーナちゃん?」
「……そうだねぇ。」
ミカミさんの誘導もあって一先ずその場は凌ぐことができた。それからまた階段を探して歩き出したが、ミカミさんはさっきのミミックバグが余程不快だったらしく、近くにキラキラした石があってもプイッとそっぽを向いて、取りに行こうとはしていない。
そんなこんなで歩くこと約30分ほど……。
「あっ、階段がありましたよ。」
目先に見えてきたのは、ゴツゴツとした地面にポッカリと開いた下へと続く階段の入り口。
「こんだけ階段の位置をドンピシャで探し当てられるなら、ダンジョン調査にはヒイラギを毎回引っ張ってきたほうが良いかもねぇ。」
「あはは……マグレですよ。」
「口ではそう言うけど、アタシにはコレは単なる偶然には見えないんだよ。」
足元にある階段を見下ろしながら、ドーナさんは言った。
「ま、ひとまずそれは置いといて……どうする?ここで一旦今日の所の探索は終わっとくかい?」
そのドーナさんの問いかけに、俺の方に乗っていたミカミさんが何度も首を横に振った。
「ここで寝るなんて無理無理無理無理っ!!虫が近くにいるところじゃ、安心して寝れないよ!!」
「なら次の階層ちょっと覗いて、休めそうな場所探してみるかい?」
「そうしよっ!!ささっ、そうと決まれば次の階層にレッツゴー!!」
一刻も早く、この階層を離れたいらしいミカミさんに服を引っ張られて、俺達は足早にこの階層を後にすることになった。
そして次の階層へと続く階段を下りきると、今度は一面がレンガの壁に囲まれて、少し開けた場所に辿り着いてしまった。
「ん?ここは……なるほど、そういうことか。」
ドーナさんはこの空間に足を踏み入れた瞬間に何かに気が付いたらしい。
「どうしたのドーナちゃん?」
「ここは最終階層の一つ前の休憩部屋だね。ほら、奥に大きな扉が見えるだろ?」
そう言ってドーナさんが指さした先には、いったい誰が通ることを想定して作られたのか、とんでもなく大きな扉があった。
「アレの奥がダンジョンの守護者が待っている部屋だよ。そいつを倒せば、ダンジョンの調査は終わりさ。」
「なるほど……ちなみにこの空間に魔物とかは出てこないんですか?」
「出てこないよ。向こうの扉から守護者が出てくることもない。」
「つまり、ここで存分に休憩しろってことだね?」
「まぁそういう事なんだと思うよ。」
「じゃあちょうどいいね~、お腹もすいてきてたし……柊君ごはんにしよ~。」
「わかりました。じゃあすぐに取り掛かりますね。」
さてさて、ここに来るまでにたくさん食材は手に入れた。これらを使って、美味しい料理をたくさん作ろう。
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