第48話 巨大イカ クラーケン
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ドーナさんが着替えて戻ってきた後で、俺はさっきの巨大イカが沈んでいった海に近づいた。すると、水中からぷかぁ~っとドーナさんに倒された巨大イカが浮き上がってくる。
「…………。」
その巨大イカに少し不審な点を見つけた俺は、マジックバッグからレヴァを取り出して、浮かんでいる胴体の上に飛び乗った。そして眉間の近くまで歩いて行ってレヴァを構えると、俺の意思を読み取ったレヴァがぐんと刀身を伸ばした。
「よいしょ!!」
刀身が伸びたレヴァを巨大イカの眉間に向かって突き刺すと、巨大イカの全身がピンと硬直し、全身が半透明になっていく。
「やっぱりな。」
どうやらこの巨大イカは死んだふりをしていたらしい。今ので完全にトドメになったはずだ。
『武器のスキルが発動します。討伐したクラーケンが所持していたスキル……触手召喚を奪い取りました。』
思った通り、今の一撃でトドメを刺せたようだ。しかし、何やら不思議なスキルを奪い取ったみたいだが……これは何に使うのだろう。
そんな疑問を抱きながらも、クラーケンという名前の巨大イカをマジックバッグにしまって、浜辺で待つみんなのところに戻った。
「やっぱりあのイカ死んだふりしてました。」
「アタシとしたことが仕留めそこなってたってわけかい。」
「ほとんど死にかけの状態でしたけどね。俺が上に乗っても反撃してきませんでしたから。」
そして、さっきマジックバッグにしまったクラーケンを砂浜の上に出した。改めて見るとめちゃくちゃに大きい……。大きさだけでいったらクジラにも負けてないな。
「んで、またなんでこいつを持って帰ってきたんだい?」
「あ、それはですね、これも食材としての価値がありそうだったので、持って来てみたんです。」
「まぁ、なんとなくそんな気がしてたよ。」
「見た目は完全にイカだし、美味しいんじゃないかな?お刺身とか食べたいよね。」
「一先ず鑑定してみますね。」
砂浜に横たわっているクラーケンに向かって、俺は鑑定を使う。
~鑑定結果~
名称 クラーケン
備考
・クラーケンの身は食用にすることが可能です。
・可食部位は内臓と軟甲以外の全ての部位で、生食も可能です。
・内臓には麻痺毒があります。
今回鑑定を使うと、俺が欲しい食べられるか否かという部分が的確に表示された。
「ふむ、内臓には毒があるけど、その他は全部食べられるみたいですね。」
「つっても、こんなのどうやって食うんだい?」
「少し時間かかっちゃうかもですけど、解体して……適当な大きさに切れば、色んな料理で食べられると思いますよ。」
「……なら、アタシはヒイラギが解体終わるまで周りの警戒してるよ。時間ならあるから、存分にやりな。」
「ありがとうございます。」
ドーナさんとルカの2人が辺りを警戒してくれている間に、俺はクラーケンの解体を始めた。
「まずは普通のイカ同様に胴体を割ろう。」
内臓には毒があるらしいから、傷付けないように慎重に扱おう。
レヴァの刃をちょん……と胴体に当てると、クラーケンの胴体に真っ直ぐ1本の線が入り、自重でバカっと開いて内臓が露わになった。
「後は内臓と癒着してる膜を剥がして、内臓だけを綺麗に取り除く。」
ひたすらに作業を進めていると、クラーケンの胴体の身をツンツンと突きながら、ミカミさんがうへへ……と表情を緩ませていた。
「ねぇねぇ柊君、このイカちゃんはどんな料理にする〜?」
「何かリクエストがあれば、それなりにできますよ。」
「えっ!?じゃあお刺身食べたいっ!!あとイカフライも良いなぁ〜。」
「分かりました。じゃあ今晩はそれも作りますね。」
ひとまず胴体部分を適度な大きさのブロックに切り分けたあと、今度はゲソの解体に移った。
「ゲソは……この大きさなら、吸盤を取って一本一本バラしておこう。」
このゲソは……どういう料理にしよう。かなり食感が良いようだから、ぶつ切りにしてアヒージョみたいにじっくり油で煮ても良いかも。
ちょうどここは海のステージだ。その辺を探せば貝とかも見つかるだろうし、アヒージョの具材には困らない……はず。
ゲソもバラして、しっかりと砂を水で落としたあと、マジックバッグにしまい込んだ。
もっと解体には時間がかかると思っていたけど、レヴァがあるおかげで、めちゃくちゃスムーズに終わったな。
「すみません、おまたせしました。」
「ん?もう終わったのかい?あんだけデカいヤツだったのに、ずいぶん仕事が早いねぇ。」
「一応あぁいう生き物は何度も扱ったことがありますから……。」
「妖精の国じゃずいぶん珍しい物を料理してたんだねぇ。」
そう言うとドーナさんは、椅子代わりにしていた岩から立ち上がった。
「さてさて、ほんじゃあまた階段を目指して歩こうか。」
クラーケンの解体を終えて、また階段を見つけるために歩き出した俺達。
しかし、この海のステージはそこかしこに魅力的な海産物があって、たくさん寄り道をしながら進むことになってしまったのだった。
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