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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第42話 隠し通路の先にあったもの

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 ダンジョンのさらに下へと続く階段に歩み寄ると、ドーナさんが先頭に立って先に進もうとした。


「さぁて、じゃあ面倒な迷路とおさらばして、さっさと下に進もうか。」


「……ちょっと待ってください。」


「ん?どうかしたかい?」


「ちょっとあの壁が気になって……。」


 俺は部屋の一番奥の壁に惹きつけられるように歩み寄り、そっと触れてみた。すると、手で触れた部分の壁が消えて、更に奥へと続く一本道が現れた。


「なっ、隠し通路!?なんでわかったんだい!?」


「え、いや、なんとなくこの壁に違和感があって……気になって触れてみたら隠し通路でした。」


「アタシにはな~んの変哲もない、ただの壁にしか見えなかったけどねぇ。……で、何があるかわかんないけど、行ってみるかい?」


「はい、せっかくですから行ってみましょう。」


 隠し通路を進んでみると、すぐにまた少し開けた小部屋が見えてきた。


「ん?あれは……また宝箱?」


 小部屋の中央には台座があって、その上に金色の宝箱が置いてあった。今回は迷路で出会ったミミックの時みたいに嫌な予感はしないから、恐らくは普通に中身の入っている宝箱なんだと思う。


 その証拠に俺が手で触れても襲い掛かってこない。


「今回はミミックじゃないみたいだねぇ。ならこの中にお宝が……。」


 ドーナさんが宝箱に手をかけてこじ開けようとするが、ドーナさんの顔が真っ赤になるぐらい全力で力を込めても、宝箱はビクともしていない。


「ぷはっ!!ダメだ、魔法か何かでがっちり閉じられてる。」


 ドーナさんが息を切らしている間に、宝箱の周辺を飛び回っていたミカミさんが何かを見つけて、俺に声をかけてきた。


「あ、柊君これ見て~。」


 ミカミさんが指さしたのは、宝箱の後ろにあった奇妙な台座。その台座の頂上には、見覚えのある鍵の形が彫ってあった。


「もしかして……。」


「多分あの鍵の出番ってことだよね。」


 俺はマジックバッグの中からあの金色の鍵を取り出して、その台座にはめ込んでみた。すると思った通り、ミミックから出てきた鍵は台座に彫られた形にピッタリと納まった。


 直後、後ろの宝箱のある方でガチッ……と何かが開いたような音が響く。


「あ!?開いたよ!!」


 ゆっくりと自動で開いていく宝箱の中から姿を現したのは、何やら見覚えのあるプレゼントボックスだった。


「何だいこれ……。」


 ドーナさんが不思議がっている最中に、俺はミカミさんに視線を送った。すると、ミカミさんもこれについては知らないらしく、驚きながら首を横に振っていた。


「これも開けてみるかい?」


「そうですね。」


 そしてドーナさんが手を伸ばすと、バチッ……と電気が弾けるような音が鳴り響き、思わずドーナさんは手を引っ込めた。


 それとほぼ同時に、プレゼントボックスの前に通知画面が表示される。


『これはヒイラギ、及びミカミのみ開封可能です。』


「人物指定の宝箱?そんなの聞いたこと無いよ。」


「柊君、これは私達にしか開けられないみたいだけどどうする?」


「……開けてみましょう。」


 俺が手を伸ばして、プレゼントボックスに触れると、独りでに紐が解けていき、その中から薄紅色の刀身の包丁が姿を現した。


「包丁?」


 それを手にとって眺めていると、俺はあることに気が付いた。


「あ、ここに名前が彫ってある。」


 包丁には、驚くことに俺の名前がこちらの世界の言葉で彫ってあったのだ。


「柊君、鞘の中に紙が入ってたよ。」


「え?」


 ミカミさんが包丁に付属していた鞘の中に、1枚の紙を見つけたらしく、広げながら俺の前に持ってきてくれた。


 その紙にはこんな文章が書いてあった。


『ささやかな物ですが、良ければ新たな夢のお供にお持ちください。 イリス 』


「これ、イリスさんからの……。」


「はっはぁ〜ん?粋なことしてくれるねイリスちゃんも。」


 コレがイリスさんからの贈り物だということに気がつくと、紙に書かれていた文章が変化した。


『こちらのダンジョンの最下層に、もう一つ私からの贈り物をご用意させて頂きました。そちらもきっと、ヒイラギさんとミカミさんの旅を豊かにしてくれるはずです。』


「へぇ、そこまで言われたら……楽しみになってきたねぇ柊君っ。」


「ですね。」


 そうミカミさんと話していると、背後から声を震わせたドーナさんの声が聞こえてくる。


「ひ、ヒイラギ……その手に持ってるナイフが大変なことになってるよ。」


「え?」


 文章を読むのに夢中で、包丁に気がいっていなかった。右手に手にしていた包丁に目を向けると、ドーナさんの言う通り大変なことになっていた。


 さっきまで包丁の形をしていた刀身が、今はまるでドロッと融けた半固形の金属のようになっていて、俺が腰に差していたナイフを飲み込んでいたのだ。


「ちょ、ちょっ……何が起こって。」


 何が起こっているのか理解する間もなく、イリスさんからの贈り物の包丁は、腰に差していたナイフを完全に飲み込み、最終的に一体化して元の形に戻った。


「な、なんなんだこの包丁は……。」


 イリスさんからの贈り物だから、普通の包丁じゃないことは予想していたけど……こんな異常な行動をするのは予想外だった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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