第40話 ダンジョン調査開始!!
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マイネさんと別れた後、そのまま俺達は市場の方へ歩みを進めた。シュベールの市場の通りはすごく活気があって、市場特有の魚の匂いがふわりと鼻を刺激してきた。
「おぉ~、やっぱり市場ってこの匂いなんだな。」
「魚特有の匂いだね。でも、湖だからかな?海っぽい磯の香りじゃないね。」
「そうですね。」
試しに近くの魚屋に足を運んでみると、店頭に氷で冷やされた魚がたくさん並んでいた。
「うん、ここのお魚は鮮度が良いですね。」
「そりゃあ、ここにある魚は全部シュベールで今朝獲れたもんだからねぇ。鮮度が良いのも当たり前さ。」
見たことのない魚がほとんどだが、その中にさっき見たシュベールサーモンの姿もあった。
「これは……オスか。」
全体的なシルエットをさっきマイネさんが見せてくれたメスのシュベールサーモンと見比べて、俺はこの一匹がオスだってことを判別した。
「なんでわかるんだい?値段が安いから?」
そう問いかけてきたドーナさんに、俺はシュベールサーモンのオスとメスの違いを指さしながら教えた。
「いえ、さっきマイネさんが見せてくれたメスのシュベールサーモンは、こんな厳つい顔じゃなくて、少し丸みを帯びててほんわかとした顔でした。」
「か、顔の違いぃ?別にそんなに変わんないように見えるけどねぇ。」
「マイネさんのあの話を聞く前は、オスでもいいから買ってみようかなって思ってましたけど、せっかくなら自分で釣りたいので、今回は見送ります。」
見たこともない魚を買って食べてみたいという欲求はあるものの、この湖で釣れるというのなら、せっかくなら自分の手で釣って、それを調理したい。
そんな気持ちが芽生えてしまったので、今回のところは好奇心をぐっと抑えて、市場に売られている魚を見て回るだけにした。
ただ、どんな魚が食用で売られているかを事前に把握できたから、見たことのある魚が釣れたらそれは食べれるものだと判断できるな。
そして一通り市場を見終えたところで、いよいよダンジョンのある場所に向かうことになった。
「さて、じゃあそろそろダンジョンがあるところに行こうか。」
「時間使っちゃってすみません。」
「いいんだよ、市場は今の時間じゃないと見に来れないからねぇ。それにダンジョンの中で飯を食べることになると思うから、ちょっと食料も買っておきたかったしちょうどよかったよ。」
そう言ってドーナさんは笑うと、町の外へと向かって歩き出す。
「ちなみにさ、ドーナちゃんの見立てだと今回のダンジョンの最下層に着くまで、どのぐらいかかると思う?」
「階層の数にもよるけど……まぁ魔物も相当強いみたいだから、今日中には無理だろうねぇ。速くて明日の昼とかには最下層に着けるんじゃないかい?」
「ん〜、そっかぁ〜。まぁそんなに簡単じゃないよね〜。」
ドーナさんの肩に乗っていたミカミさんは、ふわりと浮き上がると、俺の肩に腰掛けてくる。
「っと、見えてきたよ。」
ドーナさんが指差した方には、まるで人工的に作られたような、地下への入り口が存在していた。
「さぁて……こっからは気を引き締めていくよ。ダンジョンの中には、即死級のトラップもあったりするから、気を抜いてるとホントに逝っちまうからね。」
「だってさ柊君っ。」
「善処します。」
「ルカちゃんも大丈夫?」
「問題な……ありません。」
「ま、ひとまずアタシが先に行ってみるから、後からついてきなよ。」
そしてドーナさんが先頭に立って、地下へと続く階段を降りていく。薄暗い階段をすべて下りると、茶色いレンガでできた、これまた薄暗い通路が現れる。
それを見てドーナさんは1つ大きなため息を吐いた。
「げっ……1階層から迷路かい。こりゃあ時間がかかりそうだねぇ。」
「迷路いいじゃん、ゴールまでの一本道を一発で引いたらお終いだよ?」
「あのねぇ、そんな簡単じゃないから厄介なんだよ。」
「むっふっふ〜、私の柊君を舐めてるねドーナちゃん。」
不敵に笑うとミカミさんはビシッと前方を指差した。
「さぁ、キミの思うままに進むんだ柊君っ!!それが自ずと正解になる!!」
「えぇ……。」
「まぁまぁ、私の言う通り自分を信じて進んでみなって〜。悪い結果にはならないからさ。」
「……分かりました。」
ミカミさんの言葉に従って、俺はドーナさんの代わりに先頭に立って前に進んだ。すると、すぐに左右の分かれ道に出くわした。
「柊君、どっちに行く?」
「……なんとなく右で。」
そして右を選んで、角で曲がったりしながら道なりに進んでいくと、また分かれ道が現れる。だが、さっきとは少し違って、道のど真ん中に宝箱が置いてあった。
「宝箱……。」
「ダンジョンの中でたまに見つかる宝箱には、珍しい物とかが入ってたりするよ。」
「…………でも止めときます。何か変な感じがするので。」
「変な感じ?」
ドーナさんが首を傾げていると、一番後ろを歩いていたルカがおもむろにナイフを抜いて、宝箱に向かって投擲した。
「グギッ!?」
そのナイフが宝箱の鍵穴の少し上に深々と突き刺さると、短い悲鳴とともに宝箱から手足がビョンと生えてきて、次の瞬間にはぐったりと力なく垂れ下がった。
「つまりは、こういうことだドーナ。」
「ドヤ顔で言ってるけど、アンタもわかんなかっただろ?」
ドーナさんとルカが睨み合っている最中、ミカミさんがミミックを指差して言った。
「柊君、あのミミックの中に何か光るものが見えるよ。」
「え?」
俺は恐る恐るミミックに近づいて、そっと手で触れると、宝箱の中からデロン……と分厚い舌が飛び出してきた。
「うぉぉっ!?ビックリした……生きてるのかと思っ…………ん?」
その飛び出してきた舌の上には、金色に輝く不思議な形の鍵のようなものが乗っかっていた。
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