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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第一章 新たな生と異なる世界~ヒュマノ編~ 一節 職業魔物ハンター
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第39話 湖の町シュベール

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 馬車に揺られて1時間と少し……馬車の窓から綺麗な湖が見えてきた。


「おっ、見てよ柊君。きれいな湖が見えてきた。」


「ホントですね、それにめちゃくちゃ大きい。」


「釣り人も結構いるね、人気の釣りスポットなのかな?」


「シュベールでは毎月一番大きな魚を釣った人に、シュベールだけで使える特別な商品券が配られるんだよ。だからみんな躍起になって大きな魚を釣り上げようとしてるのさ。」


「へぇ~!!面白そうじゃん、そういう町の名物的な行事は大好きだよ。」


 面白そうな行事に心を躍らせているミカミさんに、ドーナさんがある提案を挙げた。


「ダンジョンの調査が終わったら、試しに挑戦してみるかい?」


「やってみたいやってみた~い!!ドーナちゃんも一緒にやるよね?」


「ん、まぁやってもいいよ。切羽詰まってる依頼も溜まってないし。」


「じゃあけって~い!!今回は釣りデートだねドーナちゃん♪」


「だからデートなんかじゃないっての。」


 2人がそんなやり取りをしている間に馬車は止まり、どうやらシュベールという町に着いたようだ。


「ん、着いたみたいだね。ほらほら降りるよ。」


 ドーナさんに背中をぐいぐいと押されて、俺は馬車を下りた。すると水の上に浮かんでいるように見える不思議な町が眼前に見えていた。 


「すご……水に浮いてるみたいだ。」


 そう思わず口に出すと、ドーナさんがシュベールという町に着いて少し説明してくれた。


「この町は水の上に浮いてるように見えるけど、埋め立てして人工的に作った大地の上に作ってるんだよ。」


「ありゃ、そこは現実的だったんだね。水の上に浮いてたらファンタジーだったんだけどなぁ。」


「そんな大層なことをやるには、この国にいる凄腕の魔法使いを何人も集めなきゃ無理だよ。それに魔法を維持するのにも人手がいる。ま、とにかく現実的じゃないってわけさ。」


「な~るほどね~。」


「さ、一先ず中に入ってみようじゃないか。ヒイラギも市場が気になるだろ?」


 俺はドーナさんに手を引かれ、シュベールの中に入って町並みに目を向けてみたときに、まず目に入ってきたのは町のど真ん中を通るように引かれた水路だった。


「すんごい幅の広い水路だ。」


「この水路を使って漁師の人達が湖に漁に出るのさ。ちゃんと船の係留所も向こうにあるんだよ。」


「流石あれだけ大きな湖に面してる町なだけありますね。」


「ま、そっちはまた今度ゆっくり見に行くとして、売り物が無くなる前に市場に行こうか。こっちだよ。」


 そしてまたドーナさんに手を引かれて市場の方に向かっている途中、とある人物とばったり出くわすことになった。


「んぁ?お~お~、昨日ぶりだね~みんなぁ。」


 俺達が向かっていた市場の方面から上機嫌で歩いてきたのは、昨日料理をご馳走してもらったマイネさんだった。


「マイネさんこんにちは。」


「奇遇だねマイネちゃん。」


「マイネは今仕入れから帰ってきたところかい?」


「そ~そ~、今朝お魚屋さんからいいお魚が上がったよぉ~って連絡があったんだぁ。」


 にへらと笑いながら、マイネさんは肩から提げていたマジックバッグらしいものに手を突っ込むと、そこからサケに酷似している魚を引っ張り出した。


「うへへぇ、このお魚なんだけどねぇ。」


「それ……もしかして()()()()()()()()()ってやつかい?」


「ドーナちゃん御名答〜。ヒイラギ君達は知らないと思うから軽〜く説明してあげるねぇ。」


 そしてマイネさんは一度シュベールサーモンという魚をバッグの中にしまって、手を拭いてから話し始めた。


「シュベールサーモンっていうのは、この湖にしか生息してないお魚なんだぁ。このお魚自体はそんなに珍しいお魚じゃないんだけど、このお魚のメスがめっちゃくちゃ貴重でね~。100匹に1匹しか産まれないんだよ。」


「まさか……さっきマイネちゃんが見せてくれたのって……。」


「うへへぇ、ミカミちゃんの思ってるとおりだよぉ~。おばさんが買ったのは、卵パンパンのシュベールサーモンのメス~。」


「マイネちゃん、それ今度マイネちゃんのお店に行ったら食べれる!?」


 そう詰め寄ったミカミさんに、マイネさんは少し申し訳なさそうな表情を浮かべる。


「いやぁ、ごめんねぇミカミちゃん。おばさんも食べさせてあげたいんだけどさぁ……このお魚は他のお客さんに予約されちゃってるんだぁ。」


「そんなぁ~……羨ましいなぁ。」


「そんなに気を落とさなくても大丈夫だよぉ~。」


 ミカミさんを励ましながら、マイネさんは俺にチラリと視線を向けてきた。


「ヒイラギ君、シュベールサーモンは釣りで簡単に釣れるんだよぉ。」


「えっ?」


「せっかくシュベールまで足を運んだんだし、シュベールサーモンを狙って釣りをしてみると良いよぉ~。()()()()()()、メスが釣れたりするかもねぇ~。」


 そう教えてくれた後、マイネさんはエミルに戻って仕込みをしなくちゃいけないと言って、小走りで去っていった。


 本当にシュベールサーモンが簡単に釣れるなら……メスを狙って釣ってみるのは全然ありな選択肢だな。ミカミさんも本当に食べたそうにしていたし、俺もあのお腹の中に入っている卵の味と、シュベールサーモン本体の味も気になるから、ダンジョンの調査が終わった後頑張って狙ってみよう。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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