第38話 シュベールへ
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ダンジョンの調査依頼を受けることになってしまった直後、ドーナさんはそのダンジョンについての情報がまとめられている紙を持って来て見せてくれた。
「ダンジョンが出現したのは3日前、場所は大きな湖のある町シュベールの湖奥地。」
「ドーナちゃん、シュベールってどこ~?」
「シュベールはエミルの2つ隣の町だよ。馬車で3時間ぐらいかかるかねぇ。早馬なら2時間ぐらいで着くと思うけど。」
「意外と近いんだね。」
「まぁ、まだ2つ隣の町だからねぇ。ほんで、先にダンジョン内の調査に行ったダンジョン対策委員会の報告によると、遭遇した魔物のレベルは52……対策委員会の奴らはそれに対処できずにおめおめと逃げ帰って、アタシの方に依頼を回してきたってわけさ。」
「また俺よりレベルの高い魔物が相手になるんですね。」
「ヒイラギの場合レベル差はあんまり気になんないと思うよ。そこの元一匹狼のルカですら攻撃を当てれてなかったし、ただレベルが高い魔物ぐらいならどうってことないさ。」
そう話していると、ルカが俺のレベルが気になったようで、質問してきた。
「その、一つ聞き……伺いたいのですが、ご、ご主人様のレベルはどれぐらいなんですか?」
「俺のレベルは昨日30になったばっかりだよ。」
「……………。」
そう教えてあげると、ルカは呆然としながらガックリと肩を落とした。
「私は……自分とレベル差が50以上もある相手に負けたのか。」
「ってことはルカのレベルは80ぐらいって事か。」
「80なら、アタシとそんなにレベルは変わんないねぇ。今のアタシのレベルが84だし。」
2人して俺よりもめちゃくちゃレベルが高かった。俺がそんなにレベルの高いルカを相手にできたのは、完全にミカミさんからもらったスキルのおかげなんだよな。
「レベルが近いとはいえ、ドーナ……貴様一人相手なら私は負けないぞ。」
「へぇ、じゃあ試してみるかい?」
バチバチと火花を散らしているドーナさんとルカの間に、ミカミさんが割って入った。
「はいはい、そこまでだよ2人とも。ルカちゃんも私達と一緒にダンジョンについてくるんだから、ドーナちゃんに喧嘩売らないの。分かった?」
「……承知しました。」
「はい、いい子いい子〜。聞き分けがいい子は、たくさん撫で撫でしてあげるね〜。」
わっしゃわっしゃと、ミカミさんはルカの頭を撫で回す。そしてルカが少し恥ずかしそうな表情を浮かべた辺りで手を止めると、ドーナさんにこれからどうするのか聞いていた。
「さて、一回話が脱線しちゃったけど……そのダンジョンのあるシュベールにはいつ行くの?」
「できれば早いとこダンジョンの最下層まで到達して、魔物の湧きを抑えたいから……今日にでも出発したいねぇ。ダンジョンは何もしないと大体5日目位から魔物が外に出てくるんだ。」
「じゃあ今すぐ行こっか!!柊君もそれでいいよね?」
「俺は大丈夫ですけど、ドーナさんは準備とかしなくて大丈夫ですか?」
「ん、アタシの心配はいらないよ。日用品とかそういうのは、全部このマジックバッグの中に入ってるから。」
そう言ってドーナさんは、無制限だというマジックバッグをポンポンと手で叩いた。
「ただ、もしダンジョンがかなり深い階層まで続いてるようなら、どっか安全な場所を確保して野宿が必要になるけど。ヒイラギ達はテントみたいなの持ってるかい?」
「あ、それなら心配ないよ。多分柊君の魔法でどうにかなるから。」
「それなら早速行こうか、今の時間なら多分まだ早馬の馬車があるはずだよ。」
そして、今日のうちにシュベールという場所に向かうことが決定したので、俺達は馬車が集まっている関所の方へと歩いて行った。
「シュベール行きの馬車は……アレだね。」
ドーナさんが指さしたのは、4人位しか乗れなさそうな小さな馬車だった。
「昨日乗った馬車よりも狭そうですね。」
「ま、早馬の馬車だからねぇ。大人数乗せると馬が速く走れないから仕方ないのさ。」
そう言いながら、ドーナさんは馬車の運転手に歩み寄っていって、何やらカードのようなものを見せるとこちらに戻ってきた。
「運賃はギルドに請求するように話はつけてきたよ。さ、乗った乗った。」
「ありがとうございますドーナさん。」
馬車に乗り込むと、すぐに動き出してシュベールという街に向かって進みだした。昨日の馬車の速さとはまるで違い、馬車から見える景色がどんどん置き去りにされていくほど速い。
シュベールに向かってる道中で、俺はどうしても聞きたいことがあって、ドーナさんに聞いてみた。
「ドーナさん、シュベールっていう町の湖は魚とか獲れたりするんですか?」
「シュベールの湖で獲れた魚とかは町の一大産業になってるよ。」
「やっぱりそうなんですね。面白そうだなぁ……。」
「気になるなら、シュベールに着いたら市場にでも行ってみたらいいさ。あそこには湖で獲れた色んなモノが並んでるから。」
「寄り道しても良いんですか?」
「シュベールに着くのは昼前だろうし、時間はたっぷりある。ちょっとぐらい観光したって大丈夫だよ。」
それならお言葉に甘えて、シュベールに着いたら市場を見に行ってみよう。新鮮な魚に巡り会えたら良いな。
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