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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
第二章 異世界食べ歩きの旅
295/298

第295話 さらなる大物を狙って

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 群れで回遊してきたらしいボンレスサーディンが、次々とみんなの釣り竿にヒットし始めた。それにホッと一安心して、俺は自分の釣り竿を海から引きあげた。


「あれ?柊君やめちゃうの?」


「はい、俺が釣らなくてもみんながたくさん釣ってくれそうなので。俺はそろそろ()()()を狙おうかなって思ったんですよ。」


「ほへ?違うのって?」


「実は昨日釣具屋の店主さんに、面白い話をもう一つ聞いていたんですよ。」


 そう言いながら、俺は釣り針についていた小さなエビを外して、自分で釣りあげたボンレスサーディンを餌につけた。


「ちょちょちょっ、柊君!?そ、それボンレスサーディンでしょ!?」


 ミカミさんが慌てて俺を止めようとしてくる。


「はい、これが餌になるんですよ。」


「ええぇぇぇっ!?」


「よいしょっと!!」


 そして生きているボンレスサーディンをそのまま海に放り投げた。するとミカミさんが心配そうに俺の肩に座って質問してきた。


「ね、ねぇ柊君。ボンレスサーディンっていう珍しい魚を使って、いったい何を狙うつもりなんだい?」


「ボンレスサーディンがこの海に回遊してくる時期にだけ釣れる……()()()()()()()()。通称、()()()()()()()()()()と呼ばれる超高級魚らしいです。」


「ブラックファティ……海のブラックミスリル。な〜にその情報、気になるじゃぁ〜ん。」


 俺の肩に座るミカミさんは、俺が話したブラックファティという魚の情報を聞いて、キランと目を光らせた。


「なんでもボンレスサーディンが回遊してる理由は、そのブラックファティに食べられまいと、逃げ回っているからだとか。」


「ほっへぇ〜?」


 そんな話をしながら、じっ……と獲物がかかるのを待っていると、突然釣竿が()の字に大きく曲がる。


「あ、おぉっ!?」


「今までにない強い引きっ!!これ、例のブラックファティが来たんじゃない!?」


 やんややんやと、ミカミさんに肩の上で応援されながら、かかった獲物を釣り上げるべく、釣り竿を引くてに力を込める。

 そして、もう少しで釣り上がるというその時……スキルの危険察知が突然発動した。


「えっ、な、なんかヤバい?き、危険察知が……。」


「ひ、柊君っ、水面に見えてきた影……さ、魚とは思えない大きさだよ!?」


 もう釣り竿を引く手に力は込めていない……。しかし、その影は自らどんどんこちらに迫ってくる。


「く、来るよ柊君っ!!」


「は、はいっ!!」


 身構えていると、水面が大きく盛り上がり、釣り針にかかっていた()()が飛び上がって姿を現した。


「い、いっひゃいれふ〜っ!!」


「「え゛っ!?」」


 海から大きく飛び上がって姿を現したものの正体に、俺とミカミさんは思わず口をあんぐりと開けて固まってしまう。


 というのも、釣り針が口にかかって、海から飛び出してきたのは、一匹の大きな()()()()だったのだ。


「あぐぐ……んぁっ!!はぐはぐ……。」


 口の中に刺さっていた釣り針を引っこ抜き、餌だったボンレスサーディンをムシャムシャと頬張りながら、そのドラゴンは俺の方へと鋭い視線を向けてくる。


 そのドラゴンは、以前戦ったブレアドラゴンと姿は似ているものの、泳ぐことに特化するために、ヒレのような部位が体についていた。鱗の色は青色だが、ランさんと違って光に当たるとエメラルド色に輝いている。


「に、人間〜。よくもこんな魅力的……ゴホンっ!!ひ、卑劣な罠を〜。許さないですぅぅぅっ!!」


 そのドラゴンが口を開けた瞬間、危険察知が発動し、直後レーザーのような水のブレスが飛んでくる。


「うぉっとっと!?」


 それを躱して、体が勝手に反撃に出ようとすると、空からランさんの声が聞こえてきた。


「な〜んか聞き覚えのある声がすると思ったら……こんなところで顔見知りに会うなんてね〜。」


 海から現れたドラゴンの前にランさんが立つと、そのドラゴンはギョッと目を見開いた。


「あなたは……ランじゃないですかぁ!?なんでこんなところに?」


「それはこっちの台詞よ()()()。なんでアンタがこんな所にいるのよ?」


 どうやらこの2人は顔見知りだったらしい。ひ、一先ず助かったかな?


「アリアは美味しい魚を追いかけてたんですよぉ〜。そしたらそこの人間の卑劣な罠にっ!!」


「はぁ〜、食い意地の張ってるアナタのことだから、そんなことだろうとは思ってたけど。食い意地に負けて、人間の罠を見抜けなかったのは、自分に責任があるんじゃないかしら?」


「うっ……だ、だって〜美味しそうだったんですぅ〜。」


 アリアと呼ばれているドラゴンは、ランさんに詰められるとウルウルと涙目になっていく。


「ち・な・みにっ、この人間はワタシ専属のごはん提供者だから、手出しするならワタシが相手になるわよ。」


「ごはん提供者……って、ランはその人間に食べ物を貢いでもらってるんですかぁ?」


「貢がせてるっていうか、むしろワタシの場合、ご飯を食べさせてもらってるのよね。」


「なんですかぁ〜それ〜。羨ましいですぅ〜。アリアにも食べ物くださいよぉ〜。」


「アリア、これはアナタと古くから面識があるワタシからの助言だけど……このヒイラギの作ったご飯は食べないほうがいいわ。2度と野生に戻れなくなるわよ。」


 うんうんと頷きながら、真剣な表情でそう言ったランさんに、アリアと呼ばれているドラゴンは、ひたすらに首を傾げているが、一先ずこの場は何とかなりそうで良かった……。


 にしてもまさか魚でドラゴンが釣れるとはな……。思いもよらなんだ、まったく。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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