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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
五節 獣人族再興へ
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第278話 セイレーン?

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 その後もミカミさんと一緒にハガネガゼをせっせと収獲……コホン、駆除していると、背後からツンツンと太ももを誰かに突かれた。


「あれ、ミカミ……さん?」


 後ろを振り返ってみると、そこには1人の子供……あ、いや……普通の人間の子供じゃなくて、手足に魚のような鱗や、指先には水掻きのようなものがついている子供だった。よく見れば、腰のところから魚のような大きな尻尾も生えているな。


「……………んっ!!」


 その子供は、俺が手にしていたハガネガゼの可食部分である生殖腺を指差して、ちょうだいと両手を差し出してきた。


「こ、これ?」


 一応確認してみると、その子供は何度も頷いた。よく見れば口元からよだれが垂れそうになっている。


「はい、どうぞ。」


 醤油を少しつけて手渡すと、その子供は大きく口を開けて、一口でそれを食べてしまった。そしてじっくりと味わって飲み込んだ後、よほど美味しかったのか、もっとくれとねだってきた。


「う、う〜ん、この子ってもしかして……。」


 その子に食べさせながら思考を巡らせていると、こちらにミカミさんが飛んでくる。


「ありゃ?柊君、その子は?」


「あ、ミカミさん。なんかハガネガゼの身が食べたかったみたいで、近づいてきたんです。」


「ほむほむ……。う〜ん?人魚っていうよりも、どっちかっていうと魚人っぽい?でもまぁ子供らしく美味しそうに食べてるね。」

 

 その子を観察していると、海の方から女性の声が聞こえてきた。


()()()?どこ行っちゃったのペルー!!」


 すると、その声にこの子が反応して声をあげた。


「お姉ちゃん!!こっちこっち!!」


「ペルー、陸にいるの?陸は人間がいるから危ないってあれほど…………。」


 少し呆れた声が聞こえてきたかと思えば、俺達のすぐ近くの海面から、この子と同じような特徴を持つ女性が顔を出した。


「ってぇぇぇぇっ!?い、言ったそばから、ににに、人間がっ!!ペ、ペルーを返しなさいッ!!」


「わわっ!?」


 彼女は海から弓矢のようなものを取り出して、こちらに狙いを定め、ギリリと引き絞る。


「お姉ちゃん、違う違う。この人間、食べ物くれた。優しい。しかも、ハガネガゼ倒せる。」


「………………。」


 彼女は弓を引き絞ったまま、空っぽになって積み重なったハガネガゼに目を向けた。


「あなた達、ハガネガゼを食べてるの?」


「あ、こ、これは……あんまりにも美味しかったので……よ、良かったら1つどうですか?」


 少し醤油をつけたハガネガゼの身を、ペルーと呼ばれていた子供に手渡して、女性に渡してもらった。


「毒は……クンクン、入ってなさそう。」


「食べ物に対してそんな冒涜的なことしませんよ。神に誓います。」


「…………あむっ。」


 少しこちらを信用してくれたのか、彼女はハガネガゼの身に一口かぶり付く……。すると、驚きで目を丸くした。


「は、ハガネガゼって……こ、こんなに美味しいの!?」


 あっという間に彼女も食べ尽くしてしまうと、ザバッと海から出てきてこちらに詰め寄ってきた。


「ねぇ、どうやってハガネガゼを食べられるようにするの?今私達、すっごくハガネガゼに困ってて、食べられる資源にできるなら教えてほしいんだけど……。」


「もちろん構わないよ?」


「ほ、ホント!?」


「でも1つ交換条件があるよ。セイレーンについて情報をくれないかな?」


「セイレーンって……それ、私達の()()()よ。」


「「えっ?」」


 思わず俺とミカミさんは2人して聞き返してしまうと、彼女はセイレーンという存在と自分達のことについて教えてくれた。


「お母様は私達()()()()()の祖。私達マーリンズは、セイレーンのお母様の血と、人間の血が入った混血種なの。」


「ほへぇ〜、だから人間みたいに、ちゃんと足があるんだ……。」


「……お母様に会いたいなら、特別に私達の国に連れて行ってあげても良いわよ。私達を悩ませてるハガネガゼの事についても知ってもらいたいし。」


「あ、じゃあもう1人だけ、一緒に連れて行ってくれませんか?」


「それってもしかして、向こうの岩場の方にいる人間のこと?」


 彼女はドーナが探しに向かった岩場の方を指差した。


「そうです。」


「……まぁ、良いわ。あなた達は腐った魚みたいに目が濁ってないし、信用してあげる。」


「あははっ、まさか魚と一緒の目利きをされるとはね。」


「お母様が言ってたの。腐りかけの魚みたいに、目が濁ってる人間には絶対に近づくなって。」


「なるほどね。」


 そして俺はドーナの事を呼びに行き、彼女の事を連れて浜辺まで戻ってきた。


「アタシが見たセイレーンとは姿形がやっぱり違うねぇ……。」


「私達はマーリンズ。セイレーンがお母様なのよ。それと、自己紹介が遅れたわね。私は()()()。この子は妹のペルーよ。」


「ヒイラギです。」


「ミカミだよ〜。」


「アタシはドーナ。」


「じゃあこれから私達の国に連れて行ってあげるけど……くれぐれも、私からはぐれないようにね。もしはぐれたら、命の保証はしないわ。」


「……ところでスターちゃん。私達、どうやってキミ達の国に行くの?多分……海の中だよね?」


「あ、そっか……人間ってエラ呼吸できないのよね。ん〜しょうがないわね。」


 スターさんはこちらに手をスッと翳すと、魔法を唱えた。


()()()()()()。」


 その魔法が発動すると、俺とミカミさん、そしてドーナの体の周りに薄っすらと半透明の膜が張られた。


()()()()()()()()。……っと、これで大丈夫だと思うわ。海に入ってみて。」


 促されるがまま海に入ってみると、驚くことに地上と同じようにちゃんと呼吸ができる。


「すごっ!?海の中でもちゃんと呼吸できるよ〜!!」


「な、なんか不思議な感覚だねぇ……。」


「さてっ、人間の泳ぎじゃ何時間かかるか分からないし、私とペルーが引っ張ってあげるから、下手に水の抵抗受けるような事しないでよね。」


 俺とミカミさんはスターさんに……ドーナはペルーに手を引かれて、彼女達の国へと案内されることとなった。


この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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