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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
五節 獣人族再興へ
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第273話 唐揚げ弁当

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 揚げ上がった唐揚げを1つ箸でつまんで、それをドーナへと差し出した。


「さ、今度はいよいよ自分が作ったものが美味しいか……味見の時間。」


「あ、味見って……こ、これ1個食べちゃっていいのかい!?」


「そのために少し多めに揚げてあるんだ。自分で作った料理の味を理解してないと、お弁当を作った相手にどんな味のものをあげてしまったか、わからないだろ?」


「それはそうだけど……。」


「それはそうだから、ほいっと!」


「なっ……!?あむっ………………。」


 彼女が口を開けている間に、唐揚げをスッと口の中へ放り込んだ。すると、少し不服そうにしながらも、じっくりと味わってから、彼女は一言口にした。


「……美味しいよ。塩味も丁度いいし。」


「うんっ、それなら良し……むぐっ!?」


 お返しとばかりに、彼女に口の中に唐揚げを突っ込まれた。その味は塩味がしっかりときいていて美味しい。


「うん、ちゃんと美味しい。塩加減もバッチリだったな。」


「……それで、次はどうするんだい?」


「次はいよいよ盛り付けさ。まず用意するのは、お弁当には必ず必要な、このお弁当箱だ。」


 ここに来る道中で購入したお弁当箱……に近い形状の箱に、さっき仕込んだものを詰め込んでいく。


「まずはメインとなる料理の唐揚げで、箱の半分を埋める。そしたらさっき切った野菜をサラダとして彩り良く詰め込んで〜っと。」


 盛り付けを終えた唐揚げ弁当の蓋を閉じる……。本当はもう少しいろいろ副菜を盛り付けたいところだが、彼女は今回が初めての料理ってこともあるから、シンプルで十分。


「ほい、これでお弁当は完成〜。」


「こ、こんなに簡単でいいのかい!?あ、アタシが本で見たのは、いろんな料理がちょっとずつ詰め込まれてた気がするんだけど……。」


「一先ずドーナは今日が初めての料理だったからな。シンプルなのにしといた。……まぁ、俺も含めてなんだけど〜、男はこういう肉料理がドカって入ってる弁当が嬉しいんだ。」


「……そ、そういうもんなのかい。」


 納得したのか、1つ小さく彼女は頷くと、その弁当箱をこちらにスッと差し出してくる。


「じゃ、じゃあこれはヒイラギが食ってくれよ。もともとそういうつもりだったし……。」


「うん、ありがたくもらうよ。」


 彼女から唐揚げ弁当を受け取って、マジックバッグの中にしまった。


「あ、そ、それと……こ、今度またアタシに料理を教えておくれよ。…………べ、弁当の参考にするからさ。」


「わかった。」


 そんなやり取りをしていると、1階からミースさんが駆け下りてくる。


「あっ!!ヒイラギさん、少しお時間いいですか?」


「ミースさん?」


「なんかしたかいミース?」


「あ、実はヒイラギさん達に用事があるっていう女性がギルドを訪ねてきてるんですけど……。」


「あ、じゃあ今行きます。」


 1階に上がってみると、俺のことを待っていたのは、ヒュマノファイトの前に誰が優勝するのかを賭けて、券を売っていたあの妖艶な雰囲気の女性だった。


「や〜っと会えたわぁ〜。ヒイラギさん?一緒だった小さな妖精ちゃんと青髪の娘は、今は居ないのかしらぁ?」


「今はいないので、代わりに俺が用件を聞きますよ。」


「まぁ同じお仲間さんだし〜、大丈夫よねぇ〜。」


 ニッコリと彼女は微笑むと、おもむろにマジックバッグに手を入れて、そこからジャラジャラと音がする袋をたくさん取り出して、テーブルの上に置いた。


「えっとぉ〜、今回の用件なんだけど、ヒュマノファイト前に賭けてもらったお金の支払いに来たのよぉ〜。」


「あ、そういえば……自分に賭けてたような。」


「今回あなたの倍率は大穴だったこともあって、驚異の1()8()0()()……。あなた自身と青髪の娘が賭けた金貨1枚が白金貨1枚と金貨80枚に。妖精ちゃんの賭けた白金貨1枚は、白金貨180枚になっちゃったのよ〜。」


 あっはっはと乾いた笑いを浮かべながら、彼女はどんどんお金の入った袋をテーブルの上に置いていく。


「も〜、今年は大赤字よ。去年の分まですっからかん。でも〜、今までで一番面白いヒュマノファイトだったわよ。」


「ありがとうございます。」


 そしてお金を全て置き終えると、彼女はミカミさんとランさんによろしく伝えてほしい……と言葉を残して、去っていってしまった。


「うひゃ〜……とんでもない額の金だねぇ。流石はヒュマノファイトって感じだ。残念ながらアタシの金は返ってこなかったけど。」


「う、な、なんかごめん。」


「良いんだよ謝んなくたってさ。あんなふうに気持ちよく負けたんだし……そ、それにこうやってヒイラギとくっつけたし…………。うん。」


 ちょんちょんと指を合わせながら、少し恥ずかしそうな仕草を見せる。


「あ、そ、それと、そのヒイラギさ。今晩って……時間ないかい?」


「多分大丈夫ですよ。」


「じゃ、じゃあ夜マイネの店で……待ってるよ。」


「わかった。」


 その後一先ず俺は宿に戻り、ミカミさんとランさんにお金を持ち帰ることにしたのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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