第271話 いよいよグレイスの装備を…
昨日作者体調不良のため、更新ができませんでしたすみません。
「いらっしゃ~い!!ヒュマノチャンピオーン!!」
ミランダさんの鍛冶屋を訪ねてからの第一声がこれだった。
「あはは、ありがとうございます。」
「それでそれで~?チャンピオン様がこのミランダの鍛冶屋に何の御用かな~?」
「実はリザードマンの皮が手に入ったんです。」
「おっ!!じゃあ、あのワイバーンの子の装備が作れるね。見せて見せて~。」
「あ、それともう一つ素材があって……。」
「もう一つ?何かな?」
「実はドラゴンの鱗を手に入れることができたんですけど……。」
「へ?ど、ドラゴンの鱗?」
リザードマンの皮とブレアドラゴンの鱗をカウンターの上に置くと、ミランダさんはリザードマンの皮そっちのけで、ブレアドラゴンの鱗に釘付けになってしまった。
「コレすごいぃーーーっ!!流石はドラゴンの鱗……とんでもない強靭さを兼ね備えながらも、すっごく柔軟で……今まで見たどんな魔物の素材よりも光り輝いてる~っ!!」
「あ、あの……この鱗とリザードマンの皮があればグレイスの装備って作れますか?」
「もっちろん!!若干リザードマンの皮が足りないけど、その分はドラゴンの鱗で代用していいってことでしょ?」
「はい、大丈夫です。」
「オッケーオッケー……。ち、ちなみになんだけどさ……多分あの子の装備を作っても、このドラゴンの鱗って余るのね?そ、それで一つ相談なんだけど、良かったら一本武器でも作らない?」
ミランダさんのその相談に対して、俺が答えを返す前にレヴァがマジックバッグから飛び出してきた。
「い、今この武器……勝手にマジックバッグの中から出てこなかった?」
「あはは、実はちょっとこの武器は特殊で……。触ってみてもらっても良いですよ。」
「じゃ、じゃあ遠慮なく……。」
ミランダさんは恐る恐るレヴァを手に取ってみると、ぎょっと目を見開き、ごくりと息をのみ込みながら驚いた表情を浮かべる。
「なに……これ。こんな完成度の武器初めて見た。た、正しい表現なのかはわからないけど、ま、まるで生きてるみたい。」
少しの間惹きつけられるようにレヴァを眺めていた彼女は、そっとレヴァをカウンターの上に置いた。
「もういいんですか?」
「うん、なんていうか……この武器から、キミ以外に触れられるのが嫌って気持ちが伝わってきたような気がしたんだ。それともう一つ、自分以外にもう武器はいらないっていう強い気持ちも伝わってきたような気がした。」
「そうですか。」
レヴァを受け取ってマジックバッグにしまうと、ミランダさんはう~んと頭を悩ませ始めた。
「あの完成度の武器を作るにはどうしたらいいんだろ……ただ良い素材を使うっていうだけじゃ、あの武器の完成度にはまるで近づけない。やっぱり腕を磨かなきゃいけないかな〜。」
独り言をブツブツと呟きながら、ミランダさんは何度も何度も頷いている。
確かこのレヴァは、イリスさんが鍛冶の女神マキナっていう人に頼んで作ってもらった一品……って鑑定で見たな。鍛冶の女神ってぐらいだし、相当凄い人なんだと思う。
「あ、ご、ごめんね。なんか1人で思いに耽っちゃってさ。」
「いえ、全然大丈夫ですよ。それと、よかったら余ったブレアドラゴンの鱗は、ミランダさんが好きに使っちゃっていいです。」
「え゛っ!?い、いいの?」
「はい、俺が持ってても使い道とか無いですから……。」
「あっりがと〜!!絶対凄いの作るから!!」
「あ、が、頑張ってください。」
職人魂に火がついたのか、目の奥に炎を灯らせながら、ミランダさんは俺の手をぎゅっと両手で握ってきた。
「あ、そ、それとグレイスの装備ってどのぐらいでできますかね?」
「あ〜……そうだね〜。このドラゴンの鱗の解析に少し時間を使いたいから、10日ぐらいかな?も、もし完成してなかったら、ご、ごめんね?」
「急いでないので大丈夫ですよ。じゃあ10日後にまた顔を出しますね。」
「うんっ!!お願いしま〜す。」
そしてミランダさんの鍛冶屋を後にしようとすると、俺が開けようとしたドアが勝手に開き、何故かシンさんがヌッと入ってきた。
「え、シンさん?」
「ヒイラギ殿の匂いを辿って来てみれば、ここは鍛冶屋であるか。」
「に、匂いを辿ってきたって……。」
「我の鼻は、微細な匂いでも嗅ぎ分けることが可能である。故に何度も接し、匂いを覚えているヒイラギ殿の後を辿るなど容易いのだ。」
むふ〜と大きく胸を張って威張るシンさん。そんな彼を見てミランダさんが首を傾げる。
「あら、今度は獣人のお客さん?」
「あ、ミランダさん。紹介しますよこの人は……。」
「むっ、自己紹介は自分でするぞヒイラギ殿。我が名はシン。現獣人族の国王である。以降よろしく頼むのだ。」
「へっ?現……獣人族の……国王……様?」
「うむ。」
「へひゃ~……と、とんでもないお客さんが来ちゃったなぁ。」
「ヒイラギ殿の行きつけの鍛冶屋なのであれば、余程腕が良いとお見受けした。その腕を見込んで一つ頼まれて欲しいことがあるのだ。」
「な、なんでしょ~か?」
体を小刻みに振るわせて緊張気味のミランダさんへ、シンさんはマジックバッグらしきものから、粉々になった剣だったものを取り出してカウンターに置いた。
「これの修繕を頼みたい。剣の素材は魔鉱ミスリルを使っている。」
「わぁ~お……見事に粉々。魔鉱ミスリルを使ってるのにこんなに損壊するって、いったいどんなことが……。」
「ひ、ヒイラギ殿は知っておると思うが、ミクモ殿という人物といろいろあったのだ……うむ。」
「まぁでも、これなら少し形は小さくなるかもだけど、修繕はできる……かも?いや、できる。できますっ!!」
「お、おぉ……ではお願いするのだ。」
もはや原形をとどめていないシンさんの剣の修繕を快く受けたミランダさん……本当に大丈夫なのかな?一応グレイスの装備が出来上がる前に、もう一回顔を出してみることにしようと思う。
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