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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
五節 獣人族再興へ
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第249話 不細工だけど美味しい魚

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 サラマンダーの肉を購入した後、今度は魚を飼育している生け簀のある部屋へと案内される。その部屋にはまるで水族館に展示されているような巨大水槽が鎮座していた。


「本日水揚げされて生け簀で泳いでおります魚は、バルンフィッシュ、アンゴロウ、ブラックファティ、フロッグフィッシュ、イエロースネークヘッド、スワームフィッシュの計6種類でございます。」


「ふむ、元気に泳いでおる。あのバルンフィッシュはサイズも悪くは無いのぉ。」


 ジッとミクモさんが視線を向けていたのはバルンフィッシュという、フグが膨らんだような見た目をしている可愛らしい魚。


「あのバルンフィッシュは粉をつけて、からりと油で揚げると美味いのだぞヒイラギ殿。」


「見た目通りフグみたいですね。……ちなみに毒とかは無いんですか?」


「バルンフィッシュには棘が全身に生えている有毒種がおるが、これはただ丸いだけの無毒種だの。」


 ミクモさんの説明を聞いていると、同じくバルンフィッシュを眺めていたメリッサが水槽の壁におでこをくっつけながらポツリと言う。


「おさかなさん…かわいい。」


「食べるのは残酷だって思う?」


 そう問いかけると、メリッサはフルフルと首を横に振る。


「いきるため…しかたない。しょくもつれんさ。」


「おぉ、難しい言葉知ってるな。ミカミさんに教わったのかな?」


「うん。だからいきものをたべるときは…いのちにかんしゃする。」


「その通り、食べることは命を頂くことだから、食材にはちゃんと感謝しないとな。」


 ミカミさんがしっかりとメリッサに食育も施していたことに安堵しながら、メリッサの頭を撫でていた傍らで、ミクモさんはバルンフィッシュをジルさんから購入していた。


「うむ、活きが良い良い。」


 ビチビチと暴れるバルンフィッシュの尻尾を持ち上げているミクモさんは、満足げに微笑んでいた。


「ミクモ様、ここで締めてしまいますか?」


「うむ、頼もう。」


「かしこまりました。」


 バルンフィッシュをジルさんが締めてくれている間に、俺とミクモさんは次なる魚を品定めすることにした。


「あのアンゴロウという不細工な魚は果たして美味いのだろうか?どう思うヒイラギ殿?」


 ミクモさんはアンゴロウという名前の、チョウチンアンコウのような魚を見つめて、むむむ……と唸っている。


「あれ、こっちの国じゃ食べられてる魚じゃないんですか?」


「いや、あれは妾も食ったことが無い。そもそも市場に行ったとて、見る機会のない珍しい魚だ。どういう風に食えばよいのかもわからん。」


「なるほど……。」


 アンゴロウという魚のことを観察していると、隣で俺の顔を覗き込んだミクモさんが確信を得たように言った。


「その顔を見るに、何かあの不細工な魚の調理法を知っておるのか?」


「あれと似たような魚は捌いたことがあります。その魚はとっても美容にいい成分がたくさん含まれてて、凄く美味しい魚だったんですけど……。」


「なに!?美容に良い魚だと!?あんな不細工な魚がか!?」


「あ、あくまでも俺が捌いたことのあるやつはって話です。……念のため鑑定してみようかな。」


 俺はアンゴロウという魚に向かって鑑定のスキルを使ってみた。




~鑑定結果~


名称 アンゴロウ


備考


・海の深いところに生息する底魚。背びれが発達してできた光る疑似餌のような部位を使って、魚をおびき寄せ捕食する。


・見た目に反して、肌のツヤをよくしたりする美容成分が全身に含まれており、知名度が上がれば世の中の女性の救世主……になれるポテンシャルを秘めている。尚、現在は大半の漁師はこの魚を畏怖の象徴ととらえており、獲れても海にそのまま捨てられている。




 鑑定の結果、やはりこの魚は俺の知っているアンコウと同じような魚だという事がわかった。それと同時に、この世界では少し悲しい扱いを受けていることも……。


「うん、やっぱり俺が知ってる魚と凄く似てる魚みたいです。」


「という事は、美容に良いのか!?この不細工魚はっ!!」


「あはは、そうみたいですね。」


「ジールっ!!このアンゴロウという魚を全てもらうぞ!!根こそぎだっ!!」


「か、かしこまりました。只今ご用意いたします。」


 水槽の中にいたアンゴロウ総計5匹をミクモさんはジルさんから買い付けると、期待に満ちた表情でこちらに手渡してきた。


「この魚の調理は任せるぞヒイラギ殿っ!!」


「わかりました。」


 ミクモさんからアンゴロウを受け取って、それをマジックバッグの中にしまう。これはそうだなぁ……季節的に少しまだ気温は高いけど、鍋にしたらいいかな。それとも唐揚げか……両方作っても良いな。


 どんな料理を作ろうかと頭の中で想像を膨らませていると、手を繋いでいたメリッサがこちらの顔を見ながら口を開いた。


「ぱぱ…すごくたのしそう。」


「んっ、表情に出ちゃってたかな?」


「うん。」


「絶対美味しい料理にするから、楽しみにしててな。」


「ふふ…うん!」


 その後、美味しいという野草をいくつか購入し、俺達はミクモさんの宿に戻った。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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