第245話 リラクゼーションタイム
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他の国から獣人族への本格的な支援活動が始まるまでの間、俺はミクモさんと一緒に食料の配給活動を行って、ドーナさんはシンさんと一緒に残党の排除活動を行った。
そんな活動を始めてから約一週間後……。
「ヒイラギ殿、今日から配給活動は他の者が担当するぞ。」
「あれ、もういいんですか?」
「うむ、カリンとヒュマノの王から大量の物資が届いたのでな。食料の面は概ね解決しているのだ。」
うんうんと満足げに頷きながら、ミクモさんは食料問題が解決した事を報告してくれた。
「シンさん達の方はどうなんですか?」
「シン坊達も残党排除は概ね終わったらしい。故に今日は念押しの情報収集に努めているぞ。」
「なるほど……。」
「ま、今日のところはゆるりと羽根を伸ばそうぞ。国の混乱も落ち着いてきておる。」
ミクモさんはぐぐ〜っと背伸びしながら、くるりとこちらに背を向けた。ふわりと揺れた尻尾からお日様の香りが香ってくる。
「妾も久方振りに惰眠を貪るとしよう。ここ最近働き詰めだったからの〜。……あ、一応ヒイラギ殿達には付き人をつけるでな。どこか出かけたいときはその者に言うと良い。」
「ありがとうございます。」
「うむ、ではゆっくり休むのだぞ〜。」
ヒラヒラとこちらに手を振って、ミクモさんは下駄を鳴らしながら王宮の外へと行ってしまった。
それを見送っていると、すぐにこちらにメイド服を着た獣人の女性が一人歩いてきた。
「はじめましてヒイラギ様、王宮のメイド長をしております、ライラと申します。以後お見知りおきを……。」
「あ、よろしくお願いしますヒイラギです。」
「ミクモ様からヒイラギ様達の疲れを癒す、オススメのスポットのリストを頂いておりました。良ければこちらをご参考に……。」
ライラさんからミクモさんがまとめてくれたというリストを受け取ると、ライラさんは深くこちらにお辞儀をした。
「それでは私はお部屋の外で待っておりますので、いつでもお声がけください。」
「ありがとうございます。」
リストを手に部屋に戻ると、メリッサとシアがいつものように駆け寄ってくる。
「ぱぱ…おかえり。きょうははやい?」
「お仕事今日はなかったの〜?」
「あぁ、今日は体を休めてくれだってさ。」
「じゃあきょうはずっと…ぱぱといっしょ!」
駆け寄ってきた2人の頭を撫でていると、こちらにミカミさんが飛んでくる。
「柊君、その手に持ってるのは?」
「あ、これはミクモさんが体を癒すならここがおすすめっていう場所をリストアップしてくれたみたいで……。」
「どれどれ〜?」
俺もまだ詳しく見てなかったから、ミカミさんと一緒にそのリストを眺めてみることにした。
「んん〜?なんかここに書いてあるお店さ、全部お店の名前に狐って言葉が入ってるね。」
「あ、本当だ……ミクモさんとなにか関係があるんですかね?」
「う〜ん、流石にそれは行ってみないとわからないかな。試しにこのほぐし屋狐々ってところ行ってみる?店名から察するに……マッサージ屋さんっぽいし。ランちゃんもマッサージとかしてもらいたいよね〜?」
「マッサージ?何よそれ?」
「凝り固まった体をもみほぐしてもらうことさ。」
「あら、それ悪くないわね!ちょうど最近肩こりが気になってたのよ〜。……ところでワタシの本来の姿でもやってくれるのかしら?」
「いやぁ〜、それはちょっと厳しいんじゃないかなぁ。」
「ちぇ〜っ、まぁ仕方ないわよね……。でもまぁ、この体でもきっと問題ないでしょ。」
そして俺達は最初にマッサージ屋さんらしき、ほぐし屋狐々というお店へ赴くことにした。ライラさんにそれを伝えると、彼女は承知しましたとペコリとお辞儀をして俺達のことを案内してくれた。
王宮の外に出て、城下町を歩いていると、ここに来たときとは少し雰囲気が変わっていることに気がつく。
「あ、町に少し活気が出てきたような……」
「ね〜、最初ここに来たときは、だ〜れも外に人はいなかったし、暗い雰囲気だったけど……少しずつみんな外に出てきてるみたい。表情も少し明るく見えるね。」
「これもヒイラギ様達のおかげでございます。」
「いやいや、シン君もすごく頑張ってるでしょ〜。病み上がりだったのにさ。」
「そのシン様を救ってくださったのも、ヒイラギ様だとお聞きしております。つまりはヒイラギ様がいなければ、この平和への道は歩まれることはなかったのかもしれなかったのです。」
そんな会話をしていると、目的のお店へと辿り着いてしまった。
「到着しました。こちらがほぐし屋狐々でございます。」
お店の前に着くと、ガラガラとお店の扉が開いて、ある人物が姿を現した。
「いらっしゃいませ〜ほぐし屋狐々へようこそ〜。」
「え、み、ミクモさん?」
お店の中から出てきたのは、ミクモさんと瓜二つの容姿をもった女性だった。
「あ、ミクモは私の一番上の姉ですね〜。はじめまして、私妹のウツキっていうんです。」
「ミクモちゃんって姉妹がいたんだ……。」
「まぁまぁ、立ち話もなんですから中へどうぞ〜。じ〜っくり体の凝りを揉みほぐさせていただきますよぉ〜。」
ウツキさんに背中を押されて、お店の中へと入り、あれよあれよという間に俺はマッサージ用の薄い衣服へと着替えさせられ、台の上に寝転ばされていた。
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