第240話 食べ盛りのお年頃
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朝食の用意ができたところで、みんなを呼び、席に着くと、隣に座っていたメリッサがちらりとこちらを見て、何を思ったのか俺の太ももの上にちょこんと座る。
「ぱぱのうえがいい。…だめ?」
「全然いいぞ。」
「ふふ…やった。」
「メリッサちゃん良いなぁ……。」
「シアは一人でご飯食べれるだろ?メリッサはまだ一人でご飯食べれないから、お姉ちゃんとして見守ってほしいな。」
そう言ってポンポンとシアの頭を撫でると、シアは納得してくれたようで、コクンと頷いた。
「ありがと…しあちゃん。」
「全然いいの!!だってシアはお姉ちゃんだもん!!」
すっかり気分を切り替えて、胸を張るシア。気分はもうお姉ちゃんだな。
「それじゃあ冷めないうちに食べようか。」
俺が手を合わせるとみんなも続いて手を合わせた。
「いただきます。」
「「「いただきま〜す!!」」」
みんなが食べ始めたところで、俺はメリッサに何から食べたいか聞いた。
「さ、メリッサ。どれから食べたい?」
「んと…このきいろいの。」
「玉子焼きだな。はい、あーん。」
「あ〜……はむっ。ふぉ…あまくておいしい。でもぷりんとはちがう。」
「ちょっと想像とは違ったかな?」
「うん…でもすごくおいしい。つぎはこれ…たべたい。」
「はいよ。」
そうして次々にメリッサにご飯を食べさせていくと、一応彼女の分の料理がなくなった。しかし、まだ食べたりないようで、残る俺の料理を物欲しそうに見つめている。
「まだお腹いっぱいじゃないか?」
「うん…。」
「じゃあ俺の分も食べていいぞ。はい、玉子焼きだ。」
「ふぁ…ぱぱありがと!」
育ち盛りのメリッサは、俺の分の朝食もあっという間にお腹の中に収めてしまうと、満足げな表情を浮かべていた。
「おなかいっぱい。」
「ん、良かった良かった。」
「いやはや、この食欲は育ち盛りって感じがするよね。」
「間違いないです。」
「シアもたくさん食べてるよ!!」
「あぁ、シアも育ち盛りだからな。2人とも、たくさん食べて大きくなるんだぞ?」
「うん!!」
「わかった!」
2人の頭を撫でていると、ふとメリッサがある疑問を投げかけてきた。
「ぱぱ…ごはんは?」
「俺のことは気にしなくていいさ。後で何か軽いものを食べるさ。」
そう安心させながら頭をポンポンと撫でていると、ガラガラと宿の扉が開いて、まさに疲労困憊といった様子のシンさんが入ってきた。
「おぉぉぉ……良い匂いがするのだぁ。」
「む、戻ったかシン坊。ずいぶんと疲れているようだの。」
「この病み上がりの身には、なかなかキツい仕事だったのだ……。」
「まず風呂に入って参れ、汗臭いぞお主。」
「うむそうさせてもらうのだ。」
ノッシノッシと重い足取りでお風呂場の方へと向かっていったシンさん。それを見送ったあと、ミクモさんがこちらを向いてあるお願いをしてきた。
「ヒイラギ殿、シン坊にも同じ飯を作ってやってはもらえぬかの?各所を回り歩き、相当に疲れが溜まっておるようだから、大盛りでお願いしたいのだが……。」
「はい、任せてください。」
「1人では大変だろうから、妾も手伝わせてもらうぞ。出来れば玉子焼きを教えて欲しい。」
「わかりました。あ、それなら……玉子焼き追加で食べたい人〜?」
「「「はいっ!!」」」
「おっふ……ぜ、全員ね。」
みんな玉子焼きのおかわりが欲しかったらしく、俺の問いかけに対してみんな手を挙げた。
「シンさんもたくさん食べると思いますから、みくもさん、頑張って作らないとですね。」
「うむ、腕が鳴るというものだ。」
そうして早速、2人で玉子焼きを焼き始めたのだが、初めて玉子焼きを作るミクモさんは、悪戦苦闘していた。
「ぬぐぐっ、このっ!!素直にひっくり返れ!!」
「み、ミクモさん。落ち着いてください。ゆっくり丁寧にやりましょう。」
悪戦苦闘しながらも、ミクモさんはなんとか一回目の玉子焼きをの挑戦を終えたが、今回出来上がったのは、玉子焼きではなく、スクランブルエッグ……。
「ぐぬぬぬ、なんと難しい料理だ。長年料理をしてきた妾でも原理が分からぬ。」
「えっと、なんて言えば良いのか……フライパンで無理矢理ひっくり返すっていうよりかは、腕を使うんです。」
「ふむ?」
「まずはこのフライパンにタオルを乗せて、練習してみましょうか。」
そして少しの間タオルで練習したあと、いざもう一度ミクモさんは玉子焼きに挑戦すると……。
「おっ?できるぞ?こうして……ほれっ!!どうだ?」
「良い感じです。それを繰り返していきましょう。卵がどんどん巻かれてきて、重さが増してくると難しくなるので、気をつけてくださいね?」
「承知っ。一度原理を理解すれば、もう妾のものだ!!」
調子に乗ってミクモさんは勢いよく玉子焼きを巻いていく……少し危うさを感じていると、俺の予感は的中し、ぽーんとフライパンから玉子焼きが飛んでいく。
「なっ!?し、しまった!?」
飛んでいく玉子焼きの軌道上に、何かがスッと割り込む。
「貰いっす!!」
軌道上に割り込んだのはグレイスで、大口を開けて待機していると、そこに吸い込まれるように玉子焼きが入っていった。
「んふ〜、美味いっす〜。」
「むぅ、できるようになったからとは言え、調子に乗るべからずだの。」
さっきので反省したらしく、ミクモさんは1個ずつ……集中して玉子焼きを作っていた。
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