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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
五節 獣人族再興へ
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第237話 メイジビークイーンのメリッサ

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 メイジビークイーンの女の子はようやく満腹になると、こちらをじっと見つめて両手をスッと前に出し、抱っこしてほしいような仕草を見せてきた。


「だっこ…だっこしてほしい。」


「わかった。」


 女の子のことを抱き上げてみると、まるで羽毛のように軽く、まったく体重を感じない。


「ふふ…あったかい。」


 すりすりと胸に頭を擦りつけてくる女の子の頭を本能的に撫でていると、部屋の扉がコンコンとノックされて、向こう側からランさんの声が聞こえてきた。


「ヒイラギ~?ワタシお腹空いちゃったの~。何か食べ物ないかしら?」


「あ、ランさん。入っていいですよ。」


 そしてランさんは部屋の中に入ってくると、俺が少女を撫でている光景を目にしてしまう。


「あら?その子誰?見た感じ魔物の子供っぽいけど。」


「ヒュマノファイトの優勝賞品でもらった卵から産まれてきたんですよ。」


「はぇ~なるほどね。」


 ランさんは俺の隣に座ると、その女の子のことを興味津々と言った様子で見つめている。すると、女の子は何かを恐がったらしく、体をフルフルと震わせ始めた。


「どらごん…こわい。」


「あら、ワタシの正体がわかるの?」


「大丈夫だよ。ランさんはキミのことを食べたりしない。もちろん俺達のことも。」


 そう安心させるように頭を撫でながら言うと、俺の言葉を信用してくれたらしく、女の子は少し落ち着いてくれた。


「それにしても、こんな子供なのに知能の高い魔物って珍しいわよ?ワタシほどじゃないと思うけど、結構高位の魔物に間違いないわね。」


「でもそう仮定するならさ、一つ不思議なことがあるよね?この子が産まれてきた卵はどうやって入手されたんだろう?」


 そんなミカミさんの疑問に、女の子が答えてくれた。


「わたし…すてられた。」


「え?捨てられたって……。」


「むれのじょおうになれるのは…いっぴきだけ。わたしは…うまれるのがおそかった…だからすてられた。」


「ははぁ~……だから拾われたってわけなんだね?」


 ミカミさんの言葉に女の子は一つ小さく頷いた。


「ころされなかったのは…うんがよかった。ふつうは…たまごのときにころされる。」


「そういうのを聞くと、自然界って感じがするなぁ。まさに弱肉強食だね。あ、いや……生存戦略って言った方が意味的には近いかな?」


「でも…もうどうでもいいの。ぱぱがいるから。」


 そう言って女の子はぎゅっと強く俺に抱き着いてきた。しばらく抱き着いていた女の子はふと何かを思い出したように顔を上げると、あるお願いをしてきた。


「ぱぱ…わたし…なまえほしい。」


「名前?」


「うん。ぱぱにつけてほしい。」


 これはまた責任重大なお願いをされてしまった。これから一緒に暮らしていくうえで名前は必須だし、彼女がこれから先一生背負っていくものだし、真剣に考えないと……。

 しばらく悩みに悩んだ後、俺は頭の中で候補として挙がっていた名前の、最終選考を突破したものを口にした。


()()()()って言うのはどうかな?」


「おっ、その名前私は良いと思うなぁ~。確かギリシャ語でミツバチって意味だよね?」


「メリッサ…それでいい。うぅん…()()()()()。」


「じゃあこれからよろしくなメリッサ。」


「うん…このなまえはだいじにする。わたしの…メリッサのたからもの。」


 そう言ってうれしそうに笑ったメリッサのところにシアとグレイスが駆け寄ってくる。


「メリッサちゃん!!シアだよっ!!」


「自分はグレイスって名前っす。これからよろしくお願いするっすよ~。」


「しあちゃん…ぐれいす…おぼえた。」


 シアとグレイスが自己紹介を終えると、メリッサは近くをフヨフヨと浮いていたミカミさんへと目を向けた。


「おや、私の名前も気になるのかな?」


「うん。」


「私のことはミカミ……もしくは()()って呼んでも良いよ?」


「じゃあ…まま。みかみまま。」


 純粋な瞳で見つめられて、ママと呼ばれたミカミさんは胸を押さえながら、俺の手の中に落っこちてきた。


「ひ、柊君。これはヤバいよ……。破壊力抜群……母性大爆発……。」


 ニヤニヤと嬉しそうに笑いながら、ミカミさんは俺の手の平の上でゴロゴロと転がりまわる。その間にランさんがメリッサに自己紹介を済ませていた。


「ワタシはランよ。シアからはランお姉ちゃんって呼ばれてるわね。」


「らんおねえちゃん。」


「うん、それでいいわ。あ、ねぇミカミ~、この子にもいろいろ教えてあげたほうが良いのかしら?」


「んぁ……あ、あぁうん。そうだね、お願いしても良い?」


「わかったわ。それじゃあメリッサ?ちょっとシアと一緒にお勉強しましょっか。」


 ランさんはメリッサに手を伸ばすが、メリッサはより一層俺のことを強く抱きしめて、フルフルと首を横に振った。


「ぱ、ぱぱと…はなれたくない。」


「じゃあ俺も一緒に勉強に参加しよう。それなら一緒だからいいだろ?なっ?」


 そう言ってあげるとメリッサは、ぱぁっと表情を明るくさせて頷いた。


「それなら…いい。」


 その後、シアとメリッサの2人は一緒に勉強をすることで友情が深まって、良い友達になれたみたいだ。メリッサも他のみんなも同じ時間を過ごすうちにどんどん打ち解けてきているようだし、一先ず安心安心……。


 

この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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