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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
四節 ヒュマノファイトに向けて
230/302

第230話 首脳集結

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 ドーナさんと一緒にソファーに座って、優勝賞品が届くのを待っていると、不意に隣からジッ……と視線を向けられているような感じがして、ドーナさんの方を振り返ってみた。


「あっ……。」


「どうかしましたかドーナさん?」


「い、いや何でもないよ。」


 ドーナさんが恥ずかしそうに、ぷいっとそっぽを向くと、そんな反応を見てミカミさんがクスリと笑う。


「柊君の顔に埃でもついてたんじゃな〜い?ほら、ドーナちゃんが舞台を粉々に破壊したし……柊君は地面に叩きつけられたりしたでしょ?」


「あぁ、そういう……。」


 ペタペタと顔を触ってホコリやゴミがついていないか確認していると、コンコンと扉がノックされた。


「入らせてもらうよ。」


 聞き覚えのある声が扉の向こうからしたと思えば、部屋の中に入ってきたのは、この国の王様の……確か名前はエートリヒさん……だったっけ?


「まさか、あの時マイネさんがつれてきた料理人のキミが、ヒュマノファイトにまで出ているとはね。しかも優勝してしまうとは……本当に驚いた。優勝おめでとう。」


「あ、ありがとうございます……。」


「我が友よ〜っ!!素晴らしい戦いぶりじゃったぞ〜!!」


 彼の後に続いて部屋の中に入ってきたのはカリンさん。一目散にこちらに飛び込んできた。


「このエルフ……最近ちょくちょくヒイラギと一緒にいるのを見るねぇ……。」


「ドーナ君は初めて会うかな?この方は現エルフの族長殿のカリンさんだ。」


「え、エルフの族長ぉっ!?」


「うむ、自己紹介が遅れたの人間の娘っ子。ワシがカリンじゃ。ヒイラギ殿とは友人関係にあるのじゃ……今のところはの。」


 驚きのあまり、あんぐりと口を開けて固まってしまったドーナさん。


「い、いったいどこでこんな大物と知り合ったんだい?エルフの族長が表舞台に姿を現さないって、結構有名な話なんだけど……。」


「あっはっは、その話はまた今度ゆっくり話してあげるよドーナちゃん。」


 ミカミさんが一度話を区切ると、エートリヒさんが部屋の外へと視線を向けた。すると、車椅子のようなものに腰掛けた、ライオンの獣人が部屋の中に入ってきた。


「ゴホッ……先の短い体にムチを打ち、ここに足を運んだ甲斐があった。実に素晴らしい戦いを見せてもらった。ゴホッ……。」


 部屋の中に入ってきたライオンの獣人は、全身蒼白で明らかに体調が悪そうだ。


「紹介しよう。この方は()()()()()()()……シン・ガウルさんだ。」


「「「えっ!?」」」


 俺とミカミさん、そしてドーナさんは揃って驚きの声を上げて固まってしまった。この中で一番最初に声を上げたのはミカミさん。


「獣人族の国王様って床に伏してたんじゃないの?」


「何とかヒュマノファイトをこの目で見るために……ゴホッ、体調を整えていたのだ。」


「い、いや今でもめちゃくちゃ調子悪そうだけど……。」


「我としても……ゴホッ、此度の訪問は命懸けであった。だが、この体にムチを打ってでも、直接キミ達にお願いしたいことがあったのだ。」


 シンさんは足を震わせながら立ち上がると、こちらに歩み寄ってきて、俺とドーナさんの手をとって両手で力なく握りしめた。


「ヒュマノの強き者、ヒイラギにドーナよ。頼む、我に……いや()()()に力を貸して欲しいのだ。」


 シンさんはかすれた声でそうお願いしてきた。おそらくは病によるものだろう。口から血が溢れ出してきている。だが、当人はそんなことは意に介さず、俺たちの目を真っ直ぐにジッと見つめて、答えを待っていた。


「ヒイラギに負けちまったけど……アタシでいいなら力を貸すよ。ヒイラギはどうすんだい?」


「もちろん、喜んで。」


「おぉ……頼めるか。」


 シンさんが安堵したような顔を浮かべた途端、大量の血液が彼の口から溢れ出して床に落ちた。


「ゴボ……ガハッ!!」


「っ!!医療班っ!!」


「馬鹿者、無理し過ぎじゃ。」


 エートリヒさんがすぐに医療班を呼び、カリンさんがシンさんに何かの魔法をかける。


「カリンさん、手伝います。」


「おぉ、助かるぞ我が友よ。」


 俺がドーナさんに使ったものと同じ、回復魔法を使おうとすると、バチッと黒い稲妻が走った。そして見覚えのあるメッセージが表示される。


『呪いを無効化しました。スキル自動回避・反撃が発動します。』


「の、()()?」


「なんじゃと!?」


「…………そういうことか。彼は病に侵されていたんじゃなかったんだ。柊君、そのまま無効化までできる?」


「や、やってみます。」


 シンさんの体に直接触れると、呪いを中和しているとメッセージが表示される。


『呪いの抵抗力……98%……96%……92%…………。』


「世界樹の時より抵抗力が強い?全然抵抗力が下がらない。」


「カリンちゃん、柊君に代わって回復魔法をかけ続けてくれる?柊君は呪いの解除に集中だよ。」


「承った!!」


「わかりました。」


 ミカミさんの指示通り動くと、呪いの抵抗力がみるみるうちに下がっていく。


『18%……10%……1%……0%。呪いが崩壊します。』


「がふっ!!」


 呪いの崩壊を伝えるメッセージと同時に、シンさんの口から血液に混じって、真っ黒な玉が吐き出された。それを吐き出したシンさんは、目に見えて血色が良くなり、安らかな寝息を立て始めた。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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