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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
四節 ヒュマノファイトに向けて
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第206話 王城の食糧庫

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 いざ王城に辿り着くと、すぐに俺達は専用の厨房へと兵士の人に案内された。シア達もアシスタントと称してついてきているけど、実際調理作業をするのは俺とマイネさんの2人だ。


「よぉ~し、じゃあ早速食料庫に行こっかぁ。何があるか楽しみだねぇ~。」


 食料庫の位置はわかりやすく、厨房のすぐ隣だった。ただこの食料庫となっている場所も規模がすごくて、大広間を丸々食料庫にしてしまったのではと勘違いしてしまいそうなほどの広さだ。


 中に入ってみると見たこともないような食材が山ほど保管されている。


「さすが気合入ってるねぇ~。高級食材が山ほどあるみたい。」


 マイネさんは保管してあった肉に目を向けると、思わず苦笑いしている。


「ところで、ヒイラギ君ってお魚とお肉ならどっちの方が料理得意~?」


「どちらかといえば魚の方ですかね。」


「オッケーじゃあ役割分担は、ヒイラギ君はお魚料理~、おばさんはお肉料理担当でどうかなぁ?」


「わかりました頑張ってみます。」


「よ~し、じゃあヒイラギ君、この食料庫の中の食材は好きに使っていいって、王様から許可ももらってるから、どんどん好きな食材選んじゃって~。」


 マイネさんはそう言うと自分の担当である肉を吟味しに行ってしまう。俺も魚を見て見ようか……と食料庫の中を見て回っていると、ずいぶん大きな水槽が設置されている場所を見つけて、思わず嫌な予感が頭をよぎる。


「もしかして魚って全部この中に入って……。」


「どうやらそうみたいだね柊君。」


「お魚さんいっぱいっ!!」


「どいつもこいつも美味そうっすねぇ~。」


 みんなが目をキラキラと輝かせる最中、カリンさんが魚を見て少しバツの悪そうな表情で口を開く。


「うむむむ、ワシはあまり魚を食うのが苦手じゃ。」


「あれ、カリンちゃんお魚苦手?」


「あの生臭さが慣れぬ。」


「あ、それって多分処理の問題ですよ。俺がちゃんと調理した魚なら食べられる……と思います。」


 魚は下処理を間違えると、生臭くなったり、血の味がしてしまう。これが魚嫌いを加速させる理由の一つでもあるわけだ。主に初めて食べた魚が生臭かったりすると嫌いになりやすい。多分カリンさんもそうだと思う。


「調理でそんなに変わるものかのぉ?」


「全然違いますよ。しっかりとした処理をしたものとそうじゃないものとじゃ、差が歴然です。」


「ふむ、そうなのじゃな。」


「腕によりをかけて美味しいものを作りますから、抵抗はあると思いますけど……ぜひ食べてみてください。」


「うむ、友がそう言うのであればワシも頑張ってみるのじゃ。」


 さて、そうと決まればこの水槽にいる魚を吟味していこうか。今回作ろうと思っている料理は頭の中で想像できているから、あとはその料理に合う魚を見つけるだけ。


「まずは生でも食べられる魚を見つけよう。」


 鑑定のスキルを使って、生でも食べられる魚を選別し、近くに立てかけてあった巨大なタモで掬っていく。


「一匹めはコイツ……()()()()()()。見た目は真鯛に似てるけど、宝石みたいに鱗が真っ赤だ。」


 タモで掬ったルビーブリムという魚を見てミカミさんが一言言った。


「これ鯛じゃん。美味しいに決まってるよねこんな魚さ。」


「一応さっき鑑定で見てみましたけど、生で食べるのが一番美味しいらしいですね。」


 そう鑑定で見た説明を伝えながら、俺はルビーブリムを締めて血抜きしていく。ちょっと残酷だけど魚を扱う上で、この作業が本当に大事なんだ。


 そして何匹かルビーブリムを掬った後、次の魚に狙いを定める。


「次はお前だっ!!」


 勢いをつけて水槽の中にタモを刺しこみ、掬い上げたのはマグロのような見た目の魚。鑑定によると、この魚の名前は()()()。この魚も生で食べるのが美味しいらしい。


「今度はカツオ?」


「惜しいですミカミさん。これはカグロっていうらしいですよ。」


「カツオにしか見えないよね〜……。あ、タタキにしたら美味しいんじゃない!?」


「俺もそのつもりでした。」


「ふぅ〜っ!!これは日本酒がまた進んじゃうなぁ〜。」


 ミカミさんがはしゃいでいる間にも、俺はもう一匹カグロを掬い上げ、すぐに締めて血抜きを施していく。


「その手際……ヒイラギ殿は、魚の扱いに長けておると見えるのじゃ。」


「まぁ、今までたくさん魚は捌いてきましたから。それこそ毎日のように……。」


「う、うむ。なんと言えばよいか……その言葉には説得力があるのじゃ。」


 その後、料理に使う魚をたくさん確保して厨房に戻ると、すでにマイネさんは調理を始めていた。


「あ、おかえり〜。お魚掬うの大変だったでしょ〜?」


「ちょっと苦戦しましたけど何とか……。」


 マイネさんはこれを毎回1人でやっていたのか……と思うと、その苦労がわかるような気がする。そして、1人でも助っ人を呼びたくなる気持ちも……。


「それじゃあヒイラギ君、お魚はお願いね〜。」


「はい、任されました。」


 まな板の上に血抜きを終えた魚達を並べ、俺も調理に取り掛かかった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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