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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
四節 ヒュマノファイトに向けて
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第199話 ディーラーヒイラギ

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 俺がいざディーラーとしてポーカーの台の前に立つと、さっきオークションへの参加券を持ってきてくれたバニーガールの人が、何か文字が書かれた看板を掲げながら周囲の人達へと声を掛ける。


「は〜い皆様〜ご注目〜。本日限り、こちらのディーラーにポーカー勝てば、その場で白金貨5枚を差し上げま〜す!!」


 その声にカジノ会場がざわめき立つ……。


「賭け金は金貨10枚で〜す。金貨10枚で白金貨5枚というビッグドリームを掴んでみてくださいね〜。」


 バニーガールの人が声を掛け終えると、すぐに俺が立っていたポーカーの台が人で埋まる。


 何からすればよいのだろう……と困っていると、ミカミさんがディーラーの仕事について教えてくれた。


「さ、柊君、まずは賭け金の確認だよ。みんなの前にしっかり金貨10枚あるのか確認しよう。」


「わ、わかりました。」


 俺の前に座った人達が金貨10枚を出したのを確認すると、ミカミさんがそれを回収してくれた。


「はいっ、それじゃあ次はカードを配ろう。」


「ここからは私どもがお手伝いさせていただきます。」


 ここで働いている黒服の人達が、カードを配り、交換する手札を受け取る……等々、その辺は向こうがやってくれた。そして俺も山札からカードを5枚引くと、すでにフルハウスの役が揃っていた。俺の隣で見守ってくれていた黒服の人も思わずぎょっと驚いている。


「そ、それじゃあ手札をオープンしてください。」


 俺の声で一斉に手札をオープンすると、座っていたお客さんの中で最も強い役だったのはスリーカード。そのほかはワンペアやツーペア等々、そんなに強くはない役だった。


「それじゃあディーラー側の勝利ってことで、預かった金貨は全部もらうね~。」


 こちら側に引き寄せていた金貨がミカミさんの手によって、黒服の人が抱えていた袋の中へと消えていった。


「さ、もう一勝負したい人はいるかい?」


 ミカミさんの問いかけに、数人が先ほどまで座っていた席を立ち離れていくが、数人は残り、空いた席にまた他の人が座った。


 それから何回も繰り返してたくさんの人達とポーカーで勝負をしたが、運よくお客さん側にかなり強い役が来ても、俺の手札にはそれをさらに上回る強い役が来るという状況に、思わずお客さんの人達からこんな声が漏れ始めた。


「おい、これイカサマじゃないのか!?」


 そう思われるのも無理はないほどに俺はボロ勝ちしてしまっていたから、この声がお客さん側から漏れてしまうのはしょうがないことかもしれない。


 どう対応しようか悩んでいると、ヘールメースさんがにこりと微笑みながら場に合ったカードをすべて回収し、そのお客さんに手渡した。


「お客様、イカサマを疑っていらっしゃるのでしたら、ぜひカードをこちらのディーラーに触れられないように、お客様ご自身の手でシャッフル、並びにカード配りをしていただいても構いませんよ。」


「っ、それならオレがやってやらぁ……。」


 ヘールメースさんからカードを受け取ると、それを念入りにシャッフルしてこちらにカードを5枚手渡してきた。その手札を見てみると、俺は何もしていないのに、しっかりと強い役……フォーカードが揃っていた。


「それでは手札をオープンしてみましょうか。」


「オープンだッ!!」


 苦情を言っていた男がカードを放り投げるように公開した手札はフルハウス……ポーカーの役の中じゃかなり強い役だ。


「さぁ、アンタの手札も見せてみなっ!!」


「……フォーカードです。」


「はぁっ!?な、なんでだどうやって……。」


「ほっほっほ、信じて頂けましたかな?彼は豪運……いえ、もはやギャンブルの神に愛されていると言っても過言ではありません。」


「ぐ、し、信じねぇぞこんなの……。」


「では今度は、本当に彼に一度もカードを触れさせないようにしたらいかがでしょうか?」


「じょ、上等だ。やってやる!!」


 今度は俺が本当にイカサマ出来ないように、一度もカードに触れることが許されなかった。一度自分の手札を確認するときには、苦情を言っていたお客さんがこちらにカードを見せつけるようにして、カードを交換するか聞いてくる。


「ほら、交換するか?」


「いえ、しません。」


「~~~っ、舐めやがって。」


 男はバン……とカードを叩きつけるように裏面でテーブルの上に置くと、自分のカードを交換していく。


「よし、オープンだ。」


 この時も俺はカードに触れることは許されず、彼が他のお客さんのカードの役を全部確認した後、俺の分のカードを表に返した。すると露わになったのは、ストレートフラッシュという、絵柄が全部揃いながら、数字が階段状になっているというポーカーの中では2番目に強い役だった。それを目の当たりにした彼は愕然としながら、力なく椅子にもたれ掛かった。


「嘘……だろ。」


「お客様、これが現実でございます。彼はイカサマなんてディーラーに非ざる行為は働いておりません。」


 俺の潔白が証明されると、イカサマを疑っていた人達は悔しそうにしながら席を立っていき、運に自信があるというお客さんだけがこのテーブルで、ポーカーをやる……そんな状況となってしまった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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