第195話 倒したロックイーターは……
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またしてもギルドへと赴くと、書類仕事をしていたミースさんが笑顔で駆け寄ってきた。
「お疲れ様でしたヒイラギさん。聞きましたよ、廃鉱山に行っていたとか……。」
「はい、実はその事でちょっとお願いしたいことがあって。」
「あ、わかりますよ〜。多分ゴーレム以外の魔物を倒したんじゃないですか?」
「あはは、正解です。じゃあちょっとこれを調べてほしいんですけど……。」
倒したロックイーターをマジックバッグから取り出して床に置くと、ミースさんがギョッと目を丸くして驚いている。
「こ、この魔物はロックイーター……ですよね?でも普通の個体とは少し違うような。」
「はい、ロックイーターだと思うんですけど、なんか背中の鉱石が綺麗だったので、もしかしたら宝石を食べてたロックイーターなんじゃないかな〜って、持ち帰ってきたんです。」
「ちょ、ちょっと宝石の専門家を呼んできますから、少々お待ち下さいっ!!」
焦ったような表情になったミースさんは、パタパタとギルドの外へと急いで駆けて行った。それから数分すると、見覚えのある老人を連れてミースさんが戻ってきた。
「お、お待たせしましたヒイラギさん。」
「久しぶりだなお前さんら。」
「あ、えっと……ライルさん?」
ミースさんが連れてきたのは、質屋の店主のライルさんだった。しばらく彼のもとに何かを売りに行くことがなかったため、久しぶりの再会な気がするな。
「初めて会った時から大物になる予感はしてたが、お前さんらのとんでもない噂は、この老いぼれの耳にも届いてたぜ。」
「そんな大層なことはやってないですけど……。」
「カッカッカ、若いのに謙遜すんもんじゃない。っと、さて今回はジュエルイーターの疑いのある、ロックイーターの鑑定だったな。アレがそうか。」
ポンと俺の肩に手を置いてから、ライルさんはロックイーターに歩み寄り、虫眼鏡のようなもので体表を確認していく。
「ほぅ、コイツはすげぇな。」
ロックイーターを間近で観察しているライルさんは、興味深そうに一言そう呟いた。
「ど、どうなんですか?」
ライルさんのもとに歩み寄ったミースさんがそっと問いかける。すると、ライルさんは虫眼鏡をポケットに入れて、ロックイーターの体表を指さしながら説明を始めた。
「まず結論から言わせてもらうと、コイツはロックイーターの変異種のジュエルイーターで間違いない。体表には不純物となる鉄や銅なんかの鉱石が一つも見当たらない。これ全部が宝石だ。」
「ってことはこれめっちゃくちゃ高いんじゃないの!?」
ミカミさんが鼻息を荒くして、興奮しながらライルさんのところへと飛んでいく。
「それと、一つ残念なお知らせだが、コイツは価値が高すぎて儂んとこじゃ買い取れん。おおよその査定額は出すから、あとはミース嬢と話し合って売るかどうか決めると良いさ。」
そう言ってライルさんは苦笑いすると、サラサラと紙に査定額を記入してミースさんに手渡した。それを見たミースさんがぎょっと目を見開く。
「し、白金貨120枚!?」
「それでも安いほうだ。このジュエルイーターの背中には希少な宝石がいくつも散りばめられてる。だがその中でも、中心に生えてる一際大きな黄金色の宝石……。コイツはヒュマノの国王に代々受け継がれる王冠に使われてる、キングスゴールドって名前の超希少な宝石だ。コイツの価値がとにかくヤバい。これだけで白金貨100枚以上の価値がある。」
「そ、そんな大金はギルドでも流石にすぐには……。」
「それならこうすりゃあいい。」
ライルさんはこちらを向くと、一つある提案をしてくれた。
「このジュエルイーターを王都のオークションに出す。そうすりゃあ見合う金額が用意できるだろうぜ。あのオークションに出る貴族共は金を有り余らせてるやつばっかりだからな。」
「でもそれにはヒイラギさんの許可が……。」
「別にいいですよ。ただ、そのジュエルイーターの肉が食べてみたいので、体表の宝石だけ買い取ってもらえれば……。」
「カッカッカ、ジュエルイーターの肉にゃ価値はねぇ。美味いって話は良く聞くがな。メインは宝石だ。肉が食いたいなら体から皮を剥がしてしまえばいい。ギルドには腕のいい解体師がいるだろ?」
「い、いますけど……。こんなとんでもない金額の魔物は……。」
ミースさんが困っていた時、突然マジックバッグからレヴァが飛び出てきて、俺の手に納まった。
「……任せろってことか?」
俺のその質問に答えるようにドクンとレヴァが脈打った。
「わかった。」
レヴァを手に俺はジュエルイーターに近づくと、その刃をトン……と内臓を取り出すために開いたお腹に切れ込み部分に触れた。すると、ビッ……と一瞬音が鳴り響く。それと同時にジュエルイーターの皮と肉の間に隙間ができたような気がして、皮を持ち上げてみると、つるんと綺麗に皮と肉が分離出来ていた。
「あ、できました。」
「えぇっ!?で、できちゃったって……。」
「こいつは解体師泣かせもいいとこだな。」
そんなこんなあって、ジュエルイーターの宝石がついてる皮は王都のオークションに、ギルド名義で出品することとなり、肉の方は無事俺が受け取ることになったのだった。
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