第193話 ゴーレムを探して廃鉱山へ
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グレイスに廃鉱山の近くで着陸してもらい、そこから徒歩でミカミさんのナビゲーションに従って廃鉱山を目指すと、すぐに地下へと続く廃坑が目の前に現れた。
「……思ったよりもボロボロですね。」
「管理もきちんとされてないみたいだし、そりゃあ崩落の危険があるのも頷けるね。」
ぺちぺちとミカミさんが廃坑の壁を手で叩くと、既にボロボロと石が崩れてくる。
「これ、入んないほうが良いですかね?」
「柊君の危険察知スキルは、何か危険を感じたりしてないかい?」
「これと言って何も……。」
「じゃあ大丈夫さ。先に進もう。」
「わかりました。」
シアと手を繋ぎ、俺は廃鉱山の中へと足を踏み入れる。するとすぐにある問題に直面した。
「ミカミさん、暗くて一寸先も見えないんですけど……。」
廃鉱山の中は暗く、まったく先が見えないのだ。
「柊君、こういう時こそ魔法さ。明かりを灯す魔法とかを使えば良い。」
ミカミさんに言われた通り、頭の中で魔法をイメージすると、俺の目の前に魔法陣が現れて、そこから光を発する球体が突然現れた。
「うん、この光量ならかなり向こう側まで見えるね。それにしても、光の球とは……一体何を思い浮かべたんだい?電球とか?」
「あ、大正解です。」
「電球っていう身近なものでよかったよ。太陽とか思い浮かべてたら、とんでもないことになりそうだからね。」
ケタケタと笑いながら、ミカミさんは冗談交じりで言った。確かに太陽なんかをイメージして魔法を発動していたら、きっと今頃とんでもないことになっていただろう。
想像して思わず背筋に悪寒が走ってしまった。
光源を確保したところで、奥へ奥へと進んでいくと、道の奥の方からボリボリと硬いものを咀嚼しているような音が響いてきた。
「なんか奥の方からボリボリ音がしてるね。」
「音の方を照らしてみましょうか。」
光の球の放つ光を強くしてボリボリと音のする奥の方を照らすと、そこにはメタリックでごつごつとした岩で体ができている魔物が座り込んでいて、地面から岩を手で掘り上げては、それを口に放り込んで咀嚼していた。ボリボリと音を立てていた何かの正体はアイツだったらしい。
「あっ、柊君。アレがゴーレムだよ。食べた鉱石で体を構成する魔物らしいね。崩落して生き埋めになるのは不味いから、スマートに倒しちゃおう。」
「わかりました。」
マジックバッグに手を伸ばすと、すぐに俺の思考を読み取ったかのようにレヴァが飛び出してきて、手の中に納まった。そしてすぐさま日本刀のように刀身を長く伸ばす。
「グレイス、シアのことをちょっと頼む。」
「了解っす!!」
グレイスのシアのことを預けて、俺はレヴァを手に一気にゴーレムへと向かって駆けだした。そしてレヴァを振るおうとする直前、ミカミさんが声を上げた。
「柊君、ゴーレムは体の中心に核があるみたい、それを壊さないと倒せないみたいだよ。」
「体の中心……。この辺かっ!?」
あてずっぽうでレヴァを振るいゴーレムが立ち上がる前に、体を一刀両断する。すると両断されたゴーレムの体が一つ一つの岩となってガラガラと崩れ落ちる。
「倒せた……んですかね?」
「どうかな?念のため粉々になるまで切り刻んでおくかい?どうせ鉱石を取り出すなら、融かして取り出すわけだし。」
「じゃあ念のため……。」
もう一度レヴァを振り下ろそうとした瞬間、危険察知のスキルが崩れたゴーレムに反応する。それとほぼ同時、俺はゴーレムをさらにバラバラに切り刻んだ。
「あっぶな……最後の最後危険察知が反応してました。」
「ってことはやっぱり生きてたのかな?」
「かもしれないです。切り刻んで正解でしたね。」
そして、切り刻んで破片になったゴーレムの残骸を手でかき集めて、マジックバッグの中に放り込んでいく。一通り集め終えたところで、シアとグレイスのところへと戻る。
「お待たせ。」
「ヒイラギお兄ちゃんカッコよかった!!」
「ありがとうシア。怖くなかったか?」
「グレイスが守ってくれたから大丈夫!!」
「ヒイラギさんのお願いっすからね。シアちゃんのことは何が何でも守るっすよ~。」
廃坑の天井に頭を擦りつけそうなほど体を大きくしていたグレイスは、シアを包んでいた翼を広げると、その中にいたシアがこちらに駆けよってきて、俺の腰にぎゅっと抱き着いてくる。それと同時にグレイスも体を小さくして、こちらに飛んでくるとミカミさんと一緒の胸ポケットに納まった。
「さて、じゃあ帰ろうか柊君。こんな崩落の危険がある場所に長居は無用だよ。」
「そうですねミカミさん。」
そして帰ろうとしたとき、スキルの危険察知が反応し、廃鉱山の奥の方から何か危険が迫ってきていることを知らせてきた。
「なんだ?」
また奥の方を照らすが、何も危険が迫ってきているようには見えない。少しの間その場にとどまって、奥を照らしながら目を細めると、高速で何かがゴロゴロとこちらに転がってきているのを目視できた。
「なっ!?岩が転がって……。」
咄嗟にシアのことを抱きかかえてその場から飛びのくと、俺の真横を丸い岩が高速で転がり抜けていった。
「なんだったんだ今の。」
疑問を抱えながらも、俺達は来た道……つまりさっき岩が転がって言った方向へと引き返したのだった。
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