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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
四節 ヒュマノファイトに向けて
192/308

第192話 製作に必要な素材とは

予約投稿をミスしていました。すみません。本日もう1話更新予定です。


 ミカミさんが描いてくれた設計図へと目を通してくれた店主の女性は、うむむ……と唸りながら厚手の軍手をした手で顎を撫でた。


「いくら料理に使う道具って言っても、鍋とかそういう類のものは作ったことあるけど……こんな構造の料理道具なんて見たことも聞いたこともないや。」


「で、どうどう?見た感じ作れそう?」


「記述的には全く問題ないんだけど、この曲がったブレードを作るってなると、柔らかい特別な金属が必要だね。」


「その金属の在庫ってないの?」


「いやぁ〜、なにぶん貴重な金属だからさ、入荷したらすぐ武器とか防具に加工しちゃうんだよね。」


 彼女の話によると、どうやら回転するブレードを作るための金属が今ここにはないらしい。


「あの、その金属ってどこで採れるのか、わかりませんか?」


「わかるっちゃわかるけど……その金属って()()()()っていう魔物から採れる金属なんだ。ゴーレムは魔物ハンターでも手を焼くぐらい強い魔物だから、場所が分かっても採って帰ってこれないと思うよ?」


「あっはは、それなら大丈夫さ。なんてったって、ここにいる柊君は、腕利きの魔物ハンターだからね。」


「う〜ん……そういうことならわかった。今地図を持ってくるね。」


 彼女は戸棚を漁ると、くるくると丸められた地図を取り出してきて、俺たちの前で広げた。


「エミルがここで、そのゴーレムが現れるのが、廃鉱山になったこの場所。馬車でも2時間はかかるかな。」


「ほむほむ、なるほどね。」


「あと、ここに行くなら覚えておいてほしいんだけど、この廃鉱山は地盤がかなり脆くなってる。大きな衝撃が加わると、崩落の危険があるから、そこも気をつけてほしい。」


 エミルから少し離れたところにある廃鉱山の場所を指差しながら、彼女はそう危険についても警告してくれた。


「ま、廃鉱山だし、それはまぁしょうがないよね。……じゃあ早速行こっか柊君。」


 そんな傾向を聴いても尚、ケロリとあっけらかんとした様子で言ったミカミさんに、思わず店主の女性はツッコミを入れた。


「ちょっ、話聞いてた!?あの廃鉱山自体がめちゃくちゃ危ないんだよ!?」


「うん、でもそこに行かなきゃ、その鉱石が採れないんでしょ?」


「まぁそうだけど……。下手したらゴーレムが地面を思い切り叩いただけで、崩れる可能性もあるんだよ?」


「大丈夫大丈夫〜、その前に終わるから。」


 まっすぐに目を見つめられて、ミカミさんにそう言われた彼女は言い返す言葉を見つけることができなかったらしく、諦めたように1つため息を吐いた。


「分かった。でも、一応私の方からギルドの人に通達だけは送らせてもらうよ?あそこは本当に危ない場所だからさ。」


「うん、それぐらい別に構わないよ。ミースちゃんに掛け合ってくれれば大丈夫だと思う。じゃ、そういうわけで〜、この地図借りてもいいかな?」


「どうぞご自由に。返してくれたらそれでいいよ。」


「あっりがと〜。じゃあ柊君、早速向かおうか。」


「…………ちなみにどうやって向かうつもりなんですか?」


「わかってるくせにぃ〜、こういう場所ならグレイスちゃん任せたほうが早いでしょ?」


「はぁ、まぁそうなりますよね。」


「自分の出番っすか!?」


 ミカミさんの隣で今の今まで喋らなかったグレイスがいきなり喋った事で、店主の女性は驚きのあまり目を見開く。


「えっ!?そ、その子本物の魔物!?ちっちゃいぬいぐるみかと思ってた……。」


「自分はエルダーワイバーンのグレイスっす!!」


 エルダーワイバーンという魔物の種族名を聞いて、彼女はチラリと店の中に立てかけてあった、緑色の鱗を何枚も張り合わせた盾に視線を送った。


「エルダーワイバーンって防具にすると、凄く強い防具が……。」


「う、鱗はあげないっすよ!?」


「1枚ぐらいダメ?」


「無理っす!!脱皮でもないのに鱗を剥がすのは、めちゃくちゃ痛いんすよ!!」


 素材として鱗をねだってくる店主を、グレイスは俺の背中に隠れながら、全力で威嚇していた。だが、今は体が小さいため、あまり迫力がないらしく、その威嚇は彼女には伝わっていないようだな。


「ん〜、じゃあ、もしグレイスちゃんが脱皮して鱗がポロって落ちたらあげるから、その代わり今回のお代を安くしてもらえないかな?」


 そうミカミさんが提案すると、すぐに彼女はその提案を飲み込んで大きく頷いた。


「その提案は大歓迎だよ!!むしろエルダーワイバーンの鱗がもらえるなら、お代なんてタダでも良いぐらい。」


「あはは、いつグレイスちゃんが脱皮するかはわかんないけどね〜。」


 そんなやり取りをしたあと、俺達は一度鍛冶屋を後にして、外でグレイスに元の大きさに戻ってもらった。


「それじゃあ、シアは危ないからこの中に……。」


「は〜い!!」


 ぴょんとシアがマジックバッグの中に飛び込んだのを確認して、俺はグレイスに跨った。


「グレイス、今日も安全運転で頼む。」


「了解っす〜。」


「グレイスちゃん、念の為言っとくけど、今のはフリじゃないよ?今回は私が地図を柊君と見ながら飛ぶからね。」


「う、わ、わかってるっす〜。」


 ミカミさんからも釘を刺されたグレイスは、ゆっくりと大空へと羽ばたくと、言いつけ通り安全運転で廃鉱山のある方へと飛び始めた。


この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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