第191話 鍛冶屋へ
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本日の営業も無事に終わったところで、一度みんなに集まってもらい、その場で俺はミハエルさん達に白金貨を1枚手渡した。
「はい、ミハエルさんこれをどうぞ。」
「えっ!?こ、これは……。」
「柊君の宿題覚えてるでしょ〜?自分達で材料とか買って試作を繰り返すと思うから、まぁこのぐらいあれば足りるよね?あ、余った分は宿題をちゃんと終わらせられたら、みんなで分配しちゃっていいから。」
「あ、ありがとうございます。」
「お父様っ、早速参りましょう!!まずは食材の調達からですわ。」
「あ、あぁ。それではヒイラギさん、私達はお先に失礼します。」
「はい、お疲れ様でした。」
ものすごいやる気を出しているリタに手を引かれて、ミハエルさんとフレイアさんはこの場を後にした。
彼らの後に続いて、足音も立てずにルカが護衛についていく。
「さてと、それじゃあバーバラさん達はジェラートづくりの練習をしましょうか。」
「お願いしま〜す。」
「お、お願いします!!」
「それじゃあ、まずは果物を切るところから始めましょう。」
それからバーバラさん達にジェラートの作り方、工程を1から教えていくが、やはり2人とも飲み込みが早く、あっという間にジェラートを教えた通りに作れるようになってしまった。
だが、ここまでは予想通り……。問題はこれからだ。
「流石ですね2人とも。もうジェラートの作り方は完璧ですね?」
「うん、もうバッチリだよ。細かいところまでメモも取ったし、間違えることもないと思う。」
「私も、もうバッチリ覚えました。」
味に関しても、俺とミカミさんに、カリンさんにまで合格をもらっている。もう今の状況に関しては言う事無しなのだが……ここで、ミハエルさん達のようにバーバラさん達にも宿題を出そうと思う。
「それじゃあ、今学んだ知識を活かして、バーバラさん達の国で今まさに旬を迎えてる果物を使って、1種類ジェラートを明日までに作ってきてください。……できますか?」
「はっはぁ〜ん、なるほど……ミハエル先輩達と同じような宿題をウチらもやるってことだね?」
「いや、本当はジェラートの作り方を覚えてもらうだけのつもりだったんですけど、2人の飲み込みがあまりにも早くて……だから次のステップまで進んでしまおうかなって思ったんです。」
「なるほどね〜、じゃあニーア、早速帰って社長が認めてくれるようなジェラートを作ろっか。」
「はい姉さん!!」
すると、バーバラさんは懐から転移石を取り出して、ニーアさんの手を握った。
「それじゃ、明日社長のところに自信作を持ってくるからね!!」
「はい、期待してます。」
「おいおいバーバラ、ワシを忘れてもらっては困るのじゃ。ヒイラギ殿に食べさせる前に、ワシから合格点を引き出すのじゃぞ。」
転移石がキラリと光る瞬間、カリンさんもバーバラさんの体に触れて、一緒にエルフの国へと帰っていってしまった。
それを見送ったミカミさんがポツリとつぶやく。
「ありゃ、行っちゃったね。バーバラちゃん達にも試作費用あげようと思ってたんだけど……。」
「後でその辺は聞いて補填しましょうか。」
「ん、そだね~。私達もこれから行かなきゃいけないところがあるしね。一旦バーバラちゃん達のことはカリンちゃんに任せよ。」
それからギルドを後にした俺達は、この町に一件だけある、鍛冶屋へと赴くことにした
「えっと鍛冶屋、鍛冶屋……あ、ここですね。」
この町唯一の鍛冶屋は、町外れにポツンと佇み、今も煙突から黒い煙がモクモクと立ち上っている。
「さっそく中に入ろうよ柊君。」
「そうですねミカミさん。」
さっそく中に入ると、店内にはズラリと武器や防具などが展示されていた。しかしながら、店内に人はいなく、誰も接客をしに来ないので、展示してある武器や防具を眺めていると、店の奥の方からバタバタと慌ただしく煤まみれの作業着を着た女性が姿を現した。
「いらっしゃい!!待たせちゃってごめんね。どうしても手が離せない工程があって……って、自分のことは一先ず置いといて〜、お客さん何をお探しかな?」
「あ、実はちょっと作って欲しいものがあって。」
「ふむふむ、製作依頼ね〜。武器かな?それとも防具?」
「武器でも防具でもなくて、調理器具なんですけど……大丈夫ですか?」
「調理器具!?りょ、料理の道具の製作依頼は初めてだなぁ……。設計図があれば一応作れないことはないと思うけど。」
「設計図ですか……。」
設計図って言われても、工学系のことはちっともわからないんだよなぁ……困ったぞ。
「じゃあ設計図は私が描こうか。ペンと紙を貸してくれるかい?」
「えっ、ミカミさん描けるんですか?」
「流石にミキサーの設計図は描けないけど、市販されてる単純な構造の微塵切り器なら、ある程度構造と原理はわかるからね〜。それでも良いでしょ?」
「十分です。」
「オッケー、それじゃミカミさんにおっ任せ〜。」
ミカミさんは店主の女性から紙とペンを受け取ると、素人とは思えないほど精巧に設計図を描き上げてしまったのだった。
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