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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
四節 ヒュマノファイトに向けて
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第190話 火照る体に冷たいジェラートを

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 今しがた注文が入ったケーキが運ばれていったのを見計らって、俺はミースさんのところにジェラートを運び込んだ。


「お疲れ様ですミースさん。」


「あっ、ヒイラギさん。どうかしましたか?」


「実はさっき、新作のお菓子の試作を終えたところで、良かったら食べてくれませんか?」


「良いんですか!?ぜひいただきますっ!!」


 まずはベリーを使ったジェラートを受け取ると、ミースさんはキラキラと目を輝かせながら、それを見つめていた。


「これは何ていうお菓子なんですか?」


「ジェラートっていうお菓子で、ジャムにした果物を牛乳等と一緒に混ぜて凍らせたお菓子です。」


「ってことは……冷たいお菓子ってことですね?」


「はい、キンキンに冷えてるのが普通のお菓子ですね。」


「ふむふむ、またまた新しいお菓子ですね。で、ではでは早速いただきますね。はむっ……んっ、ひゅめたい。」


 ジェラートの冷たさに一瞬驚いたミースさんは、キュッと目を閉じたが、すぐに蕩けたような表情を浮かべ、体をくねらせ始めた。


「ん〜っ!!これ、すっごく美味しいですね。暑い日に食べたいです。」


 そしてミースさんもジェラートをバクバクと食べ進めてしまう……すると、やはりアレが訪れた。


「いっ!?あいたたた……な、なんか頭がキーンって……。」


「冷たいものを急にたくさん食べると、頭が痛くなる現象が起こるんです。」


「そ、そうなんですね。んっ……な、治りましたぁ。」


「氷のように冷たいお菓子は、一気に食べ進めず、ペースを調整しながら食べると良いですよ。」


「ご助言ありがとうございます。ゆっくり食べます……。」


 先程のアイスクリーム頭痛で懲りたらしく、ミースさんはジェラートが溶けないようにペースを調整しながら、あまりがっつかないように気をつけて食べ進めた。


 数分後、2種類のジェラートを両方食べ終えたミースさんは、ほぅ……と満足気にため息を吐き出した。


「はふ……ごちそうさまでした。ベリーのジェラートも、ポンポンオランのジェラートも両方ともすっごく美味しかったです。」


「それは良かった。これ、一応予定は3日後の営業の日から販売予定です。」


「あ、そうなんですね。……あの、ちなみにいくらぐらいで売り出すつもりですか?」


「ジェラートはこのぐらいのカップに、山になるように盛りつけるんですけど、そうですね材料費も考えて……。」


 俺はジェラートを盛り付ける予定のカップを取り出して、それを見ながら完成形をイメージし、材料費と人件費を加味して頭の中で、値段を割り出した。


「1個あたり、だいたい銀貨3枚ってところですかね。」


「ぎ、銀貨3枚ですか!?さ、流石に赤字になりませんか?」


 ジェラートの値段の安さに驚いて、焦った様子のミースさんは必死に問いかけてくる。


「あ、それに関しては大丈夫です。このジェラートって1回でたくさん作れるんですよ。それを小分けにして商品にするので、全部売り切った時……あ、いや、多分半分ぐらい売れたら収支プラスになると思います。」


「そ、そんなに原材料費かかってないんですか?」


「原材料で高いものって言っても、練り込んでるジャムに使ってるフルーツですからね。やる気になれば銀貨2枚にもできますけど……。あんまり安くしすぎちゃうと、頑張って作ってくれたみんなに申し訳が立たないので……。」


「わ、私個人的には、大銀貨1枚ぐらいならこれに払っても全然良いんですけど……。」


「でも、できるなら安いほうが良いですよね?」


 そう逆に問いかけてみると、痛いところを突かれたといった様子で、ミースさんは胸を押さえながら頷いた。


「う、は、はい……。」


 ミースさんのそんな反応をみて、思わず笑みがこぼれていると、ギルドの入り口から汗だくのドーナさんが見るからに疲労困憊な様子でこちらに歩いてきた。


「あっづぃ……流石に疲れたねぇ。」


「あっ、ドーナさんお疲れ様です。」


「こんにちはドーナさん。」


 ドーナさんは汗粒がたくさんついた顔で俺の方を向くと、何か一瞬考えた後、指を1本立てた。


「ヒイラギ、ケーキ1つくれないかい?出来れば冷たくしてあるのが良いねぇ。」


「あ、それならコレをどうぞ。新作のお菓子の試作品です。」


 ドーナさんはジェラートを受け取ると、皿がキンキンに冷えていたことに驚く。


「冷たっ!?こいつは……氷かい?」


「そんな感じです。暑さを吹き飛ばしてくれると思うので、良かったら食べてみてください。」


「じゃあありがたくいただくよ。」


 ドーナさんは重たそうな上着を椅子にかけて、そこに腰掛けると、早速ジェラートをスプーンで口に運ぶ。その瞬間、カッと目を大きく見開いた。


「美味っ!!こいつは良いねぇ、依頼で激しく体を動かした後にゃ最高だ。」


「あ、ドーナさん、そんなにがっつくと……。」


 ミースさんがさっき自分が経験したアイスクリーム頭痛を危惧して、ジェラートにがっついているドーナさんに声を掛けるが……。


「ん?がっついて何か問題あるのかい?」


「え、あ、頭痛くないですか?」


「全然問題ないねぇ。アタシが痛みにはめっぽう強いのは、ミースも分かって…………あぐっ!?」


 その後無事ドーナさんもアイスクリーム頭痛を発症し、少しの間喉の上の方を押さえて悶絶していた。


 販売する時は、がっつかず、ゆっくり食べてくださいって注意書きが必要かな。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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