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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
四節 ヒュマノファイトに向けて
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第186話 新たな従業員

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 翌朝、カリンさんと一緒に朝食をとっていると、ふとこんなことをカリンさんが申し出てきた。


「んむ、そうじゃ。ヒイラギ殿に一つお願いがあったのじゃ。昨日はそれを伝えるのを忘れておった。」


「お願い?なんですか?」


「ニーアとバーバラの姉妹がヒュマノへと野菜や果物を売りに行っていることは知っておるじゃろう?」


「はい、知ってます。」


「実は昨日付けでその任が別の者へと切り替わるはずだったのじゃ。」


「えっ!?ってことはもうニーアちゃん、エミルにポンポンオランを売りに来てくれないの!?」


 少し動揺しながらミカミさんはカリンさんへと詰め寄った。


「まぁ別な者に変わるだけじゃ。名産品の販売は今後も継続していくつもりじゃ。……しかし、ニーアとバーバラがヒイラギ殿の販売している甘味に魅了されてしまったようでな。ヒュマノへの外交販売の任を他の者に譲りたくないと言っているのじゃ。外交販売の任を解かれてしまっては、なかなかヒュマノに行くことはできなくなってしまうからの。」


「はぁ、それで俺に何をしてほしいんですか?」


「ニーアとバーバラの2人の想いも無下にはできぬ故、ワシの勅令にてヒュマノへの内情調査の任に就いてもらう予定じゃ。そ・こ・でじゃっ、ヒイラギ殿……そなたの甘味を作る従業員としてあの2人を雇ってはもらえんかの?」


「……あの、その提案はこっちにとって良いことだけなんですけど、逆にお手伝いをしてもらっても良いんですか?」


「構わぬ。これもあの2人が望んでおるであろうことじゃ。で、あの2人を雇ってくれぬかの?」


「別に良いですよねミカミさん?」


「うん、あの2人がいればお客さんの層も広がると思うし、従業員も増えるしで、私達にとっては良いことばっかりだよ。」


「ん、では受け入れてもらえるという事で良いのじゃな?」


「はい、大丈夫です。」


 一つ大きくカリンさんは頷くと、パチンと指を弾き、床に魔法陣を出現させた。そこから突然ニーアさんとバーバラさんが姿を現した。


「ありゃっ!?ぞ、族長!?」


「はわわっ、ヒイラギさんもご一緒だったんですね。」


 今の状況を呑み込めずにいる2人にカリンさんが淡々と告げる。


「そなたら2人に、ワシ自らの指令を下す。」


 そう言った直後、2人は思わずビシッと直立してカリンさんの言葉を聞き始める。


「本日付けで、そなたらの外交販売の任を解任する。」


 その言葉にまず2人は少し落ち込んだ表情を浮かべてしまう。しかし次にカリンさんが発した言葉で、表情が一変することになった。


「代わりにそなたらには新たな任を言い渡す。本日よりヒイラギ殿の店に潜入し、ヒュマノの内情を調査せよ。……報告はそなたらが身につけた技術をワシに見せることとする。つまり美味い甘味を作れるようになったらすぐにワシに食わせろという事じゃ。……できるな?」


 にこりと笑いながらカリンさんがそう言った時、2人の目がキラキラと輝いた。


「そ、そんな……い、いいんですか族長っ!!」


「うむ、ヒイラギ殿とはすでに話はついておる。今日から学んでくるのじゃ。」


 すると、すぐにこちらにニーアさんとバーバラさんの2人が歩み寄ってきて、ぺこりと頭を下げてきた。


「ひ、ヒイラギさん、ミカミさん、ありがとうございます!!」


「こらこらニーア、もう()()付けじゃダメでしょ?ね~?ヒイラギ()()?」


「い、いや、普通に呼んでもらえれば大丈夫です。」


「じゃあウチは社長って呼ぶね~。一回こういう風に誰かのこと呼んでみたかったんだよね。」


「わ、私はヒイラギさん……で良いですか?」


 兎にも角にも、2人のことを新たに従業員として雇うことになったので、早速仕事を覚えてもらうために、営業前にギルドに行こうと思う。


「カリンさん、ヒュマノのエミルに俺達を飛ばしてくれませんか?」


「承った。」


 パチンとまたカリンさんが指を弾くと、俺達の足元に魔法陣が展開され、気付いた時には景色が見慣れたエミルの町並みに切り替わっていた。そこから念のため一度宿に戻って、ミハエルさん達の部屋の扉をノックすると、少し眠そうなリタが顔を出してくれたので、一安心した。彼女たちが出勤して来るまで、ルカには護衛についてもらうことにして俺達は宿を出た。


「じゃあ、早速ギルドに行きましょうか。あ、その前にそこの服屋に寄ってエプロンとかを買っていきましょう。」


 ギルドに向かう途中にある服屋でエプロンなどを買いそろえた後、改めてギルドに赴くと、まだ朝早いせいか、ギルドの中は閑散としている。そんな中ミースさんは忙しそうに、お菓子の販売場所のテーブルを布巾で拭いてきれいにしていた。


「おはようございますミースさん。」


「あっ、おはようございます!!きょ、今日はエルフの方がたくさんご一緒なんですね?」


「はい。ニーアさん、バーバラさん、紹介します。こちらの方はミースさんです。お菓子の販売を請け負ってくれています。」


「ミースちゃん、ウチはバーバラ。これからよろしくね~。」


「わ、私はニーアですっ。よろしくお願いします。」


「お、お2人とも人間の言葉がお上手ですね。よろしくお願いします。」


 以前人間の言葉が片言だったニーアさんも、だいぶ言葉が流暢に話せるようになっているらしい。俺の耳に聞こえてきた言葉にも違和感はなかったし、たぶん接客も問題なさそうかな。


 そしてまだ状況を呑み込めずにいるミースさんに軽く補足説明をすると、すぐに納得してくれた。


「なるほど、バーバラさんとニーアさんが新しいお菓子作りの従業員になったんですね。」


「そういう事です。今からお菓子の作り方とか、基本的なことを教えるので……。」


「味見役なら任せてくださいっ!!」


 フンスと鼻息を荒くしてミースさんはそう進言してくれた。


「ありがとうございます。それじゃあお願いしますね。」


 そしてバーバラさん達を連れて調理設備のある地下へと向かったのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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