第184話 開催迫るヒュマノファイト
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エミルへと戻ってきた後、すぐにギルドに向かうと、ミースさんがギョッと驚きながら、こちらに駆け寄ってきた。
「お、お疲れ様でしたヒイラギさん。も、もう終わったんですか?」
「一応マンドラゴラの生息地にいたオークは、一匹残らず倒してきましたよ。」
「相変わらず、人並み外れた速度で依頼を終わらせてきちゃいますね……。結構数があると思いますから、こちらにどうぞ。」
ミースさんに受付の裏に案内された。すると、そこには奥へと続く扉がある。
「この奥が実は解体場になってるんです。大量の魔物の買い取り依頼とかは、こちらで行ってるんですよ。」
「そうだったんですね。」
「あ、ちなみに……全部マジックバッグに入りました?もし現地に残ってたら、調査員を派遣したときに回収してもらうこともできますけど。」
「大丈夫です。全部この中に入ってます。」
「マジックバッグもすごい容量のものを使ってるんですね……凄いです。で、では、こちらへどうぞ。」
解体場の中へと案内されると、そこは凄く無機質で広い空間で、解体に使う道具と思われる鋸やハンマーなどが壁に立てかけてあるだけだった。
「ここで出しちゃって良いですか?」
「はいっ、ここなら大きな龍種でも入りますので、思う存分出しちゃってください。」
「じゃあまずは普通のオークから……。」
オークをイメージして、マジックバッグを逆さまにすると、まるで濁流のように既に解体済みのオークの肉が溢れ出して、すぐに大きな山を作ってしまう。
「あ、あれ?もう解体済み……なんですね?」
「普通のオークとオークエリートは解体済みです。」
次にオークエリートをイメージしてマジックバッグを逆さまにすると、またしても解体されたオークエリートの肉が積み上がる。
「で、最後にオークキングですね。これは解体してないです。」
大きな袋に入れていた真っ二つになってしまっているオークキングを取り出すと、それをすぐにミースさんが開けて確認した。
中は相当グロいことになってそうだが、ミースさんは慣れているのか、そんなことは一切気にしていないようで、なかを覗いたあと1つ大きく頷いた。
「やっぱりオークキングも……。」
「やっぱりってことは、ミースちゃんは予見できてた感じ?」
「目撃情報こそなかったので、確信はなかったんですが……オークとオークエリートが軍団を作っているなら、更にそれを率いているオークキングがいても不思議じゃなかったんです。」
「な〜るほどね〜。」
「確実な情報をお渡しできなくてすみません……。」
「いやいや良いんだよ。こっちとしてはボーナスが出てくれたようなものだから……ねっ、柊君?」
「まぁ、間違いないですね。」
「ミースちゃん、このオークキングはオークエリートとかよりもお金になるんだよね?」
「もちろんですっ!!オークキングはお肉こそ硬くて筋っぽくて価値がないんですけど……この皮膚の下の脂にすっごく価値があるんです。」
「脂がですか?」
「はいっ、オークキングの脂は高級なアロマオイルに加工できるんです。」
「アロマオイル……この脂が。」
「加工にはすっごく時間は掛かるんですけど、出来上がると、甘くて上品な香りがする、超高級品になるんです。」
少し興奮気味にミースさんは語る。
「あっと、すみません……。それじゃあ早速検品の方やっていきますね。全部買い取りで大丈夫ですか?」
「あ、オークエリートとオーク1体分の肉だけもらえれば……。」
「わかりました。それでは検品していきますので、酒場の方でお飲み物でも飲みながらお待ち下さい。」
そして後のことはミースさんに任せて、俺達は酒場のテーブルを囲み、飲み物を注文した。するとそこへドーナさんがやってくる。
「よっ、調子はどうだい?」
「あ、ドーナさんこんにちは。」
「やっほードーナちゃん!!」
軽いあいさつを済ませたあと、ドーナさんも俺たちと同じテーブルの椅子に座った。
「ヒュマノファイトの開催まで20日を切ったよ。そっちの方はレベリングとか順調かい?」
「今日の依頼でだいぶ上がりました。」
「何の依頼を受けたんだい?」
「オークの討伐依頼です。あのマンドラゴラの生息地に群れで居座ってたらしくて。」
「あぁ、あの依頼か。この後受けようと思ってたんだけど、先を越されちまったねぇ。」
少し残念そうにドーナさんは頭を掻いた。
「まっ、そっちの方も順調みたいで良かったよ。あっさりヒイラギが負けるなんてことはないとは思うけど、出来れば決勝の舞台で戦いたいからねぇ。」
そう言ってニヤリと笑いながら、ドーナさんはコチラに視線を送ってくる。その目は、凶暴な肉食動物のようにギラギラとしている。
「まっ、残り時間は短くはなってきたけど、アタシもできる限りスキルアップと、レベリングに時間を費やさせてもらうよ。」
そしてドーナさんは立ち上がった。
「ありゃ、もう行っちゃうの?」
「今日はもう一件依頼を受けてんだ。そいつを片付けてくるよ。じゃ、またね。」
ひらひらとこちらに手を振って、ドーナさんはまたギルドの外へと出ていってしまった。
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