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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
三節 他種族との交流
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第179話 友達の距離感

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 朝から大変な出来事があったものの、とりあえずみんなで朝食をとった。その後、ミハエルさん達ヴェイルファースト一家には、エルフの国……パーピリオンの観光をしてもらうこととなった。

 今日はケーキの販売はお休みだから、観光を楽しんで、気持ちのリフレッシュをしてもらえればいいな。


 かくして俺はというと、ミカミさんやシア達と共に、カリンさんの屋敷へと招かれていた。しかし、今朝友達になることを約束してから、どうもカリンさんの様子がおかしい。


「うむむ……。」


 俺の隣に座りたい意思は伝わってくるけど、どうにも友達の距離感がわからないらしく、悩んでいるようだ。


 そんなカリンさんの様子を見たミカミさんがクスリと笑う。


「あははっ、カリンちゃん。初心だね〜……。とてもじゃないけど、580年間も生きてきたとは思えないよ。」


「し、仕方なかろう。わ、ワシ……友達というものを作ったの初めてじゃし……。」


「え゛っ?今まで友達とかいなかったの?」


「若い頃、他のことを全て放り出して魔法の研究に精を出していたせいで、気が付いたときにはエルフの族長となっておったのじゃ。故に、友達などという対等な者がいたことがないのじゃ。」


「わぉ……やっぱりエルフって特殊だね。寿命の概念が薄いからかなぁ。あ、そうだ!!」


 ミカミさんは何かを思いつくと、カリンさんへとある提案を出した。


「それなら、人間の国に行って、友達の作り方〜みたいな本とか買いに行けば良いんじゃない?」


「おぉ、それは名案じゃ!!エルフの書庫にはそういった本はないからのぉ……。」


 パチンとカリンさんが指を鳴らすと、俺達は一瞬にして、エミルへと移動させられた。そしてミカミさんの案内で本屋に赴くと、カリンさんとミカミさんの2人は、恋愛とかそういう系の本を探しに中に入って行ってしまう。


「ヒイラギお兄ちゃんは、読みたいお本ないの?」


「う〜ん、せっかくだから、料理の本とか見てみようか。」


「お料理の本っ!!シアも見たい!!」


「料理の本とか見てたらお腹減ってきそうっすね〜。」


「さっき朝ごはん食べたばっかりだろ?規則正しい食生活を心がけないと、太っちゃうぞ?」


「うっ、それは困るっす。自分、昔に1回太りすぎて飛べなくなったことがあるんすよ。あのときは大変だったっす。」


 苦笑いしながら、グレイスは自分の体験談を語った。


「ちなみに、その時はどうしたんだ?」


「ガリガリになるまで、10日くらい絶食したっす。あれは本当にキツかったっすよ。」


「…………一応ワイバーンについて書いてある本とかも探してみようか。グレイスの体重管理は結構大事かもしれないからな。」


「た、体重管理って何するつもりっすか?」


「もし、ワイバーンについて詳しく書いてある本があったら、それに従って、体重の維持とか……それぐらいかな。」


「そ、それをやるってなったら、も、もういっぱいご飯食べれないっすか?」


「はは、冗談だよ。」


 みるみるうちに顔を青ざめさせたグレイスの頭を撫でてから、俺も書店の中へと足を踏み入れて、料理本のコーナーで足を止めた。


「えっと……おぉ、色々種類はあるな。」


 料理本のコーナーに置いてある本で、多く目につくのは『簡単な自炊飯100選』とか、そういう系の手軽な料理が載っている本だ。本格的な料理本は少ないな。


 本格的な料理本を探している途中、とある作者の名前を発見し、思わず俺はその本を手に取ってしまった。


「作者……()()()()()()()。これ、もしかしてマイネさんの本なんじゃ……。」


 その本の題名は『家庭で作れる、お手軽宮廷料理』。王都であれだけ知名度があった人だから、本を出していたとしても何も不思議じゃない。


「も、もし本当にマイネさんが書いたものだったら申し訳ないけど、少しだけ立ち読みさせてもらおうかな。」


 パラパラとページを捲ってみると、本の中に書いてあったのは誰でも簡単に作れるように、簡略化されながらも、押さえるべき要点はしっかりと押さえられている、わかりやすい料理のレシピだった。


「うん、確かに題名通りわかりやすい。これなら素人の人でもちゃんとレシピ通りに作るだけで、美味しい料理ができるだろうな。」


 少し中身を読んだところで、俺はその本を棚に戻した。


「あれ、買わないっすか?」


「今の本はあくまでも一般家庭向け。俺が探してるのは、プロの料理人とかそういう人達向けの本だからな。本当にマイネさんが書いてるかもわかんないし……。」


 あとでマイネさんに、この本を書いたかどうか聞いてみよう。もしマイネさんが書いたものだったら買おうと思う。


 それからまた料理本を探すが、見つかるのは一般家庭向けの本ばかりで、プロの料理人向けの本はなかなか見つからない。そうこうしているうちに、何冊も本を買った、カリンさんとミカミさんがこちらに歩いてきた。


「待たせたのじゃ。」


「あ、そっちの方は良いのありました?」


「うむっ!!ワシは満足じゃ〜。」


 どうやらあちらは満足できるようなものがあったらしい。俺の方はまた今度、もっと大きな本屋で探してみるとしようかな。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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