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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
三節 他種族との交流
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第177話 呪いを断ち切るスキル

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 夕食を済ませ、みんなが寝静まった頃……俺達が泊まっている宿に突然魔法陣が現れた。


「んっ、柊君。来たみたいだよ。」


「約束通り、迎えに参ったのじゃ。」


 魔法陣から姿を現したのはカリンさんだった。約束通り、みんなが寝静まった夜遅くに、迎えに来てくれた。


「さて、音を立てないように、このまま魔法で世界樹のところまで飛ぶぞ。」


 コツコツと、控えめにカリンさんは床を足で叩くと、俺の足元にも魔法陣が展開された。そして次の瞬間、景色が切り替わり、俺とミカミさんは世界樹の麓まで移動してきていた。


「あれ?夜中でも、世界樹って不思議と明るいですね。」


 不思議なことに、夜中にも関わらず、世界樹の葉はまるで発光しているかのようにくっきりと見える。


「それは、世界樹の葉に含まれる濃密な魔素が原因じゃな。さて、ここから世界樹の上へと向かって登っていくぞ。」


 カリンさんが歩いていった先には、世界樹の幹に人1人が通れるぐらいの幅の階段が設置されていた。手摺りなど、そんな便利なものは設置されておらず、ただ世界樹の幹に分厚い板が突き刺してあるだけ……。


「こ、ここを登っていくんですか!?」


「うむ、ここを登ることを許されておるのは、ワシとフィースタだけ……故に大した補強もされておらんが、登るにはこのぐらいで十分じゃろ?」


「い、いや……これ普通に落ちませんか?」


「安心して良いぞ。落ちたとしても、ワシが魔法で受け止めてやるからの。」


 にやりと笑いながらカリンさんは、早速その階段に足をかけた。


「世界樹の呪いの核となっている部分までは、結構登るからの。気を引き締めたほうが良いぞ?」


 くつくつと笑いながら、カリンさんは階段を登り始めた。置いていかれる前に、俺も恐る恐るその階段を登ってカリンさんの後についていく。


 普段カリンさんは登り慣れているから、多分もっと速く登れるんだろうけど……俺のペースに合わせて、ゆっくりと階段を登ってくれてる。


 そして約10分ほど……いや、体感的にはもっとかかってる気がする。とにかく時間をかけて、ようやく俺達は世界樹の呪いの核となっている部分まで辿り着いた。


「着いたぞ、これが世界樹の核じゃ。」


 カリンさんは世界樹に埋め込まれている、巨大な紫色の宝石のような物に触れた。


「はぁ……はぁ……こ、コレが例の……。」


 息を切らしながら、その宝石のような物へと目を向けた瞬間……背中に何かがべっとりと張り付く、嫌な感覚を感じた。


「……これ、凄く嫌な感じがします。」


「ね、私も嫌〜な感じがする。」


「最初世界樹が若い頃は、この核の色は琥珀色で透き通っておった。しかし、ある時から突然紫色に変色し、呪いを撒いたのじゃ。」


「そうだったんですか。……試しに触っても?」


「うむ、ワシが許可するのじゃ。」


 カリンさんの許可を得て、俺は世界樹の核へと手を触れた。その瞬間、バチバチと黒い稲妻が走り、目の前に大量のメッセージ画面が表示される。


『呪いを無効化しました。』


『呪いを無効化しました。』


『呪いを無効化しました。』


     ・

     ・

     ・


「……す、すごい数のメッセージが。」


「うん、でも全部無効化されてるね。体に異常はない?」


「大丈夫です。」


「今触れてわかったと思うのじゃが、これに直接触れるだけで呪いがかかる。そして触れていなくても、この国に長く住み、世界樹の魔素を体に取り込んでいたワシらエルフは、呪いを受けてしまったのじゃ。」


 カリンさんが説明してくれている間に、『呪いを無効化しました。』という大量のメッセージの一番上に、新たなメッセージが表示された。


『スキル自動回避・反撃が発動します。』


「え?」


 そのメッセージが表示された瞬間、バチバチと走っていた黒い稲妻が、段々と白くなり、光り輝いていく。


『呪いの抵抗力……70%……60%……40%…………。』


 自分でも訳がわからないまま、勝手に物事が進んでいく。


『20%……10%……2%……0%。呪いが崩壊します。』


「あっ!?」


「むっ!?」


 『呪いが崩壊します。』というメッセージが表示された直後、紫色の核が粉々に砕け散った。


「な、何が起こったのじゃ!?ヒイラギ殿っ、いったい何を……。」


「お、俺にも何が何だかサッパリで…………。」


 世界樹の核が粉々に砕け散り、世界樹にポッカリと穴が開いたと思ったら、その直後穴の奥から小さい赤い玉が姿を現した。


「ん〜……カリンちゃん。どうやら呪いの無効化は成功したみたいだよ。」


「なんじゃと!?」


「確認してみて?」


 そしてカリンさんは自分の体と、新たに出現した赤い玉を交互に見つめると、声を震わせながら言葉を絞り出した。


「の、呪いが……無くなっておる。世界樹からも、ワシ自身からも…………。」


「あ、本当ですか!?」


「う、うむ。ワシ自身、今の現実が信じられん。ほ、他の者も確認するのじゃ。」


 パチンとカリンさんが指を弾くと、カリンさんの頭上に魔法陣が展開された。そしてそこからパジャマ姿のフィースタさんが姿を現す。


「はへ?こ、ここは……。」


「フィースタっ!!速やかに自分のステータスを確認するのじゃ!!」


「す、ステータスですか?」


「うむっ!!」


「わかりました。ステータスオープン。」


 フィースタさんも自分のステータスを確認すると、思わず両手で口元を覆い、驚きを隠せずにいた。


「の、呪いが消えてます。」


「フィースタ、明日早朝……全エルフへと通達じゃ。世界樹の呪いは打ち祓われた。速やかに自分のステータスを確認せよ。とな!!」


「か、かしこまりましたっ!!」


 かくしてエルフが抱えていた世界樹の呪いという問題は、ミカミさんからもらったスキルが勝手に解決してくれたのだった。

この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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