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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
三節 他種族との交流
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第176話 エルフが抱える問題

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 カリンさん達を抱えて湯船から上がった後、カリンさんは少し顔を紅潮させながら、こちらにお礼の言葉を述べてきた。


「助かったのじゃヒイラギ殿。あの酒の飲みやすさと美味さに飲まれて、危うく湯船で最期の時を迎えるところだった。」


「いえいえ、とにかく今は安静に……。」


「うむ。」


 濡れタオルを額の上に乗せて、椅子にぐったりともたれかかるカリンさんにミカミさんがふわふわと飛んで近づいていく。


「ねぇカリンちゃん。1つ質問良いかな?」


「なんじゃ?」


「私達が特別な存在なのは事実なんだけど……一国の統治者のキミが、つい昨日までお互いの名前すら知らなかった私達に、ここまでしてくれるのは何か理由があるのかい?」


「……ふぅむ、鋭いのぉ。」


「もてなされるのは好きだけど、今回は少しばかり違和感があったからね。」


 カリンさんはチラリと他のみんながまだ上がっていないことを確認して、ポツポツと語り始めた。


「エルフと世界樹が共に暮らすようになってからじゃ……。世界樹はワシらに莫大な富をもたらす一方で、ある()()をワシらにかけた。」


「呪い?」


「その呪いがなかなか厄介での、エルフ同士で夫婦になり、子を宿した場合……その子供は()()()()()()()()()()()のじゃ。」


「ははぁ〜ん、なるほどね。そういう呪いに悩まされてたんだ。じゃあ質問だけど、エルフと他の種族とでなら男の子は産まれるの?」


「うむ。じゃが、他種族と交わり産まれてくる子は、()()()()()()となるのじゃ。」


「普通のエルフじゃないってわけだ。」


「肌の色と寿命が少々純粋なエルフよりも短い程度で、大差はないがの。じゃが、この国にも色々なエルフがおる。ダークエルフを忌み嫌う者が少なからずいるのも事実じゃ。」


 少し残念そうにカリンさんは言った。


「そして、悩み悩んでおるところに、そなたらが現れた。天恵持ちの特別な存在がな。」


「カリンちゃんの狙いがわかったよ。つまり、キミ達の言う天恵持ちの柊君とエルフの間にできる子供は、どんな子供が産まれてくるのか……って感じじゃない?」


「……うむ。あわよくば、そなたらを酒で酔い潰させた後、すこしばかり遺伝子を貰うつもりじゃった。まぁ、今の通り……見事に失敗してしまったわけじゃ。」


「興味本位で聞くんだけどさ、ちなみにそれ……誰で実験するつもりだったの?」


「無論ワシじゃ。ワシ以外のエルフには、ちゃんと自分が愛した者と子を成してほしいからの。」


「ふぅん、そっか。」


 カリンさん達、エルフの抱えている問題を聞いたところで、ミカミさんがピンと指を立てながら、カリンさんへとある提案をした。


「ねぇ、カリンちゃん。その呪い……柊君なら解けるかもって言ったらどうする?」


「なんじゃと!?」


 カリンさんは驚きのあまり、勢い良く立ち上がった。


「あくまでも、できるかもしれないってだけの話だけどね。でもさ、可能性があるなら試してみたいよね?」


「……ちなみにどんな方法じゃ?場合によっては許可できぬ故、聞いておきたい。」


「ん〜、カリンちゃんもエルフの事情について詳しく教えてくれたし……じゃあ、柊君の持つ天恵ってやつを1つカリンちゃんに教えてあげる〜。」


 ミカミさんは確認のため、こちらに視線を向けてくる。その視線の意味を理解した俺は、1つ大きく頷いた。


「ありがとう柊君。さて、柊君が持ってる天恵……それは、毒及び呪いの無効。この世界にあるどんな劇物でも、どんなに酷い呪いでも、柊君には効かないんだ。」


「それだけでも十分規格外じゃ。しかも、天恵はそれだけではないのじゃろう?」


「ま、そうだね。今教えられるのはコレだけってだけさ。でも、だいたい私の言いたいことはわかったでしょ?」


「うむ。世界樹の呪いの根源をヒイラギ殿に受け持ってもらい、その天恵の効果で打ち消す……。そうじゃな?」


「あったり〜!!さっすがカリンちゃん。話が早くて助かるよ。で、どう?やってみない?」


「やる価値は十二分にある。……じゃが、問題はヒイラギ殿の方じゃ。仮に世界樹の力が天恵を上回っていたとしたら……。」


 そのカリンさんの言葉に、ミカミさんが素早く反応して、キッパリと即答した。


「無いね。()()()()()。」


「おぉぅ、即答するかの。」


「うん。」


「……わかった。では今夜、皆が寝静まった頃、ワシがそなたらを迎えに行こう。今夜はこの国に泊まっていくが良い。」


「わかったよ、じゃあ待ってるねカリンちゃん。」


 一つ頷きながら目を閉じたカリンさんは、再びゆっくりと目を開けながら、今度は俺の方に視線を向けてくる。


「ヒイラギ殿、振り回してばかりで申し訳ないのじゃ。」


「全然大丈夫ですよ。寧ろ、力になれるならできるだけ力になりたいですし……。」


 そう言うと、カリンさんは嬉しそうにクスリと笑う。


「くく、やはりそなたはワシの見込んだ通り、普通の人間ではないのじゃ。」


 その後体調が良くなったカリンさんは、こちらに別れを告げると、夜に迎えに行く……と言葉を残して消えてしまった。


 

この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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