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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
三節 他種族との交流
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第170話 世界樹の芽?

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 翌朝、俺は焦る様子が伝わってくる口調で、ミカミさんに体を揺さぶられ、眠りから覚まされた。


「ひ、柊君っ、起きてっ起きてっ!!」


「んんっ……どうしたんですかミカミさん。」


「あれっ!!あれ見てよ!!」


 ミカミさんが必死に指差す窓際の方向に目を向けると……。


「ん……ん?えぇっ!?」


 驚くことに、昨日の夜自分の好奇心を満たすために、世界樹の果実の種を植えた植木鉢から、大きな若葉が生えていたのだ。


「ここ、コレってもしかして……。」


「た、多分間違いないと思うよ。」


 思わず植木鉢を持ち上げて、間近で観察してみると、若葉だというのに葉は厚く、凄く生命力に満ち溢れている……ように見える。


「これ、どうしましょうか……。」


「一先ず厳重に管理しつつ、カリンちゃんに相談じゃないかな?」


「ってことは、本当に近々またエルフの国に行かなきゃですね。」


「そうだね。でもさ、これはあくまでも私の勘なんだけど、柊君がカリンちゃんに会いに行くのより、カリンちゃんの方からこっちに会いに来てくれそうな感じがするんだよね〜。」


「可能性は無くはないですね。」


「まっ、何にせよ、一先ずこれは一番安全なマジックバッグにしまっておいてちょうだい?」


「わかりました。」


 世界樹らしき若葉が出た植木鉢を、そのままマジックバッグの中へとしまい込む。その後、みんなが起きてきて朝食を食べた後、いつものようにギルドへと向かう。


 それからは、ミハエルさん達はケーキの販売……俺は魔物の討伐依頼などを見ながら、新作のお菓子の案を考えることにした。


「う〜ん、な〜んか報酬の良い依頼も見当たらないね。」


「多分そう感じるのは、今金銭感覚がおかしくなってるからだと思うんです。」


 実際、普通に金貨5枚とか、そういう依頼はいくつかある。1日で日本円にして5万円も稼げたら、かなり報酬的には良いと思う。


「ま、それは間違いないね〜。ここ最近白金貨が報酬として入ってくることが多かったし。」


 そうミカミさんと話していると、1階からミースさんがパタパタと駆け下りてきた。


「あ、ヒイラギさん。」


「ミースさん?どうしました?」


「あの、ケーキを買いに来たお客さんがヒイラギさんに会いたいって……。」


 ミースさんがそう言った直後、彼女の背後から1人の少女がひょっこりと姿を現した。一見知らない子のように見えるけど……体のある部位を確認して、俺はその人が誰なのかを察した。


「あぁ……ちょうど良かった。ミースさん、その人は俺の知り合いです。」


「あっ、そうだったんですね!!それじゃあ、後はお願いします。」


 そしてペコリとこちらに一礼すると、ミースさんはまた忙しそうにパタパタと階段を登っていく。


 その姿を見送った少女は、くつくつと笑いながらこちらへと歩いてきた。


「くっくく、宣言通り……()()自ら会いに来たぞ?」


「やっぱりカリンさんなんですね?」


「そういえば途中で気がついておった様子じゃったな?どこでわかったのじゃ?変装は完璧なはずじゃが……。」


()です。」


「む、眼を見ただけで判別したのかの?」


「はい、カリンさんの眼って宝石みたいに綺麗だったので……結構印象に残ってたんです。」


「むむぅ……。」


 カリンさんは自分の眼の下辺りをポリポリと人差し指で掻きながら、少し頬を赤らめさせた。


「ワシの眼が綺麗じゃった……か。ふむ、綺麗と面と向かって言われたのは数百年ぶりじゃな。」


「あらあら?カリンちゃん、もしかして照れてる?」


「照れておらん!!…………と言えば嘘になるのじゃ。」


 素直に認めると、カリンさんは変装していた姿から、元の姿に戻った。そして俺の向かいの席に腰掛ける。


「ふぅ、ただひたすらに無駄に時間を食う事は慣れておるはずじゃが……そなたらの売る甘味を買うために、順番を待っている時間は、どうにも慣れぬ。」


 そうぼやきながら、カリンさんは買ってくれたケーキをテーブルの上に置いた。


「ヒイラギ殿、今これを食べながら話をしたいのじゃが……食べやすいように切り分けてはもらえんじゃろうか?」


「もちろん大丈夫ですよ。」


 カリンさんの要望通り、俺はホールのケーキを6等分にして、お皿に盛り付けて彼女に手渡した。


「はい、どうぞ。」


「うむ、感謝するのじゃ。」


 こちらに一言お礼を言った後、カリンさんはケーキを頬張った。すると、まさにご満悦……と言わんばかりの表情を浮かべ、何度も頷く。


「うむ……うむうむ!!これじゃ、ワシを魅惑して離さぬこの甘味。至福のひと時じゃ。」


「喜んでもらえたようで何よりです。」


 そして、あっという間にお皿に盛り付けたケーキを平らげると、お茶を飲み大きく幸せそうにため息を吐いた。


「ぷはぁ……美味かった。残りは屋敷で味わうのじゃ。」


 パチンと指を弾いて、残ったケーキの入った箱を一瞬にして消してしまうと、カリンさんはこちらをジッ……と見つめながら、また口を開いた。


「そういえば、先ほど()()()()()()()()と言っておったな。何かワシに用でもあったかの?」


「あ、そのことなんですけど……。」


 一段落ついたところで、俺はカリンさんに例の世界樹の芽らしきものを見てもらうことにした。




この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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