第169話 エルフと築く友好関係
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カリンさん達との宴席を終えて、ニーアさんとバーバラさんから、たくさん野菜と果物をもらったところで、俺達は人間の国へと帰ることとなった。
「改めて言わせてもらうのじゃが、此度は本当にニーアが世話になったのじゃ。」
「いえいえ、こちらこそこんなにもてなしてもらって……ありがとうございました。」
「……最後にワシから1つ、ヒイラギ殿に贈り物を渡しておくのじゃ。」
そう言ってカリンさんは、突然手の中に小さい妖精の絵が掘られた木彫りのペンダントを出現させ、こちらに見せてきた。
「それは?」
「ワシら、エルフの国……パーピリオンへの通行許可証じゃ。これがあれば、自由にこの国へ出入りができる。ヒイラギ殿に預けるのじゃ。」
「こんなものまでもらっちゃって良いんですか?」
「構わぬ。そなたらだからこそワシは許すのじゃ。」
大きく頷いたカリンさんの横で、少し微笑みながら、フィースタさんがコレについて少し話してくれた。
「ヒイラギさん、この通行許可証のペンダントは、特別なものなんですよ。通常、この国への通行許可の許可は私が請け負っているのですが……これはカリン様直々に、友好関係を結びたい相手へと渡されるものですから。」
「うむ、ちなみに更に補足しておくと……現状、これを持っておる者は、現在の獣人国の王と、ワシの好敵手だけじゃ。」
「え……2人だけですか?」
「うむ。そうじゃ。」
「そ、そんな貴重なものもらって良いんですか!?」
「構わん。そなたらに敵意がない事は、酒を飲み交わして良く分かっておる。」
「ん〜、それじゃあ遠慮なく貰っちゃおうよ柊君。いつでもエルフの国に来れるんだから、私達にとってはいい事だらけじゃん?」
「そ、それはそうなんですけど……。」
「ま、これからも友好的によろしく頼むのじゃ。ヒイラギ殿、ミカミ殿。」
ニッコリと笑いながら、カリンさんは強引に俺の手を取って、そのペンダントを手渡してきた。
「う……あ、ありがとうございます。」
「うむっ、またいつでも来るが良いぞ。……ま、そなたらが来なくてもワシが直々に行くがの。」
そう言って今度は口角を吊り上げて笑うと、カリンさんはトントンと地面を足で叩く。すると、俺達の足元に大きな魔法陣が展開された。
「本当であればもっと酒を飲みながら話を根掘り葉掘り聞かせてほしかったものじゃが……。そなたらの時間をこれ以上使わせてしまうのは、ワシとしても忍びないからのぉ。」
少し悲しそうにポツリとカリンさんが言った直後、足元の魔法陣が光を放ち始めた。
「ではまたの。」
「あ、きょ、今日はありがとうございました。」
「ありがとね〜。」
魔法陣から放たれる光で視界が覆い尽くされる直前、カリンさん達は微笑んでこちらに手を振ってくれていた。
そして次に目を開けると、俺達は見慣れたエミルの町の中へと戻ってきていた。
「ん〜っ、意外と今日のうちに帰ってこれたね柊君。」
「ですね、魔法って便利です。」
エルフの国へと行く時は、バーバラさんが持っていた転移石ってやつで一瞬だったし、帰りもカリンさんの魔法で一瞬だった……。
てっきりここに帰ってくるのは数日後になるのかな……って思っていたが、魔法の便利さを改めて実感したな。
そうミカミさんと話していると、手を繋いでいたシアがバッと手を上に挙げた。
「シア、またエルフさん達の国に行きたいっ!!それでね、またヒイラギお兄ちゃんが作ってくれたあのお菓子食べたいっ!!」
「そうだな。また行こう。」
今度はみんなでゆっくりと観光しに行きたいところだな。
そして宿に戻り、ルカに帰ってきたことを報告して、シア達を寝かしつけた後……俺はミカミさんとあるモノを一緒に眺めていた。
「この世界樹の果実の中から出てきた種……カリンさんが記念に持ってけって言ってくれたので、持ってきちゃったんですけど……どうしましょうか?」
「カリンちゃんの話だと、仮に育てようとして土に植えたとしても絶対に生えてこないって言ってたよね。」
「そうでしたね。」
実は世界樹の果実を切っている最中、この種の存在に気付き、カリンさんに説明をしてもらっていた。
話では、この世に世界樹は1本しか生えることができないため、この種を土に植えたとしても絶対に生えてこないらしい。
「ま、確かに世界樹って名前だし、この世に1本しか生えることができないっていうのは、設定として納得ではあるよね。」
「でも、本当に生えてこないのか、試してみたくはなりますよね……。」
「そういう好奇心を満たすなら、やってみるのが一番さ。試しにやってみたらいいよ。もしかすると……この世界が今まで歩んできた歴史の中では生えなかったから、世界樹がそういう風に言われてる可能性も無きにしもあらずだからね。」
自分の好奇心を満たすために、俺は世界樹の種を水で洗い、植木鉢に植えて、日光の当たる窓際に置いた。
「さて、明日は何をしよっかね〜柊君。」
「新メニューの開発もしたいですし、レベルアップもしたいし……やりたいことがたくさんですよ。」
「ふふふ、まぁやりたいことをやっていこうか。きっと、なるようになるからね。」
そんな話を最後にミカミさんとしてから、俺は眠りにつくのだった。
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