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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
三節 他種族との交流
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第168話 世界樹の果実のムース

昨日体調を崩してしまい、投稿ができませんでしたすみません。


 世界樹の果実を使って作ったデザートをテーブルの上に並べていくと、カリンさんがキラキラと目を輝かせた。


「おぉ~っ!!来たのじゃ来たのじゃっ、ワシは今のこの瞬間を待ち望んでおった!!この魅惑の甘味を味わえる、この瞬間をっ!!こ、この甘味はどんなものなのじゃ!?」


「今回作ったのは、世界樹の果実のムースです。段階ごとに変わっていく世界樹の果実の味を、一つ一つ層にして流し固めたお菓子ですね。」


 世界樹の果実をジュースにしてそれぞれの味を抽出したとき、濃厚な味の方が黄金色が濃く、さわやかな味わいになっていくごとに、そのジュースの色はグラデーションのように黄緑色へと色も変わっていた。

 だから、今回作った世界樹の果実のムースは上の層が黄金色で、下の層になるほど黄緑色に変化していっているんだ。


「ほぉ~っ!!」


 何層にもなっている世界樹の果実のムースを間近で眺めて、キラキラと目を輝かせるカリンさんへ、お酒で酔いが回り、少し頬が赤くなっているミカミさんが一つ質問を投げかける。


「もしかしてなんだけどさ、カリンちゃんって柊君の作ったお菓子食べたことある?でも、私……エルフのお客さんを対応した記憶が無いんだよね。」


「それも無理はないじゃろうな。あの時ワシは人間の姿に変装しておったからな。こんな感じでの。」


 パチンとカリンさんが指を鳴らすと、あっという間にエルフの特徴の長い耳が人間の耳と同じになった。


「ま、あの時は忍びで人間の国を訪れておった故、顔も変えておった。どんな顔かは適当に魔法で繕ってしまったから思い出せんな。こんな感じじゃったかの?はたまたこんな感じか?」


 魔法でポンポンと顔を変えてしまうカリンさん。魔法ってこんなこともできるんだなぁ……と感心していると、大広間の襖がスッと開いて、先ほどどこかに出て行ったフィースタさんが戻ってきた。


「ただいま戻りました。」


「むっ、ちょうどよい頃合いじゃのフィースタ。あれは用意できたかの?」


「もちろんです。」


 フィースタさんはこちらにゆっくりと歩み寄ってくると、腰に提げていたマジックバッグから重厚な木箱を取り出してこちらに差し出してきた。


「こちら、良ければお納めください。この国で最も腕の良い食器職人が作った妖精用の食器です。」


「えっ、そんなの貰っちゃっていいの!?」


「うむ構わん。ニーアを助けてくれた礼の続きじゃと思ってくれ。」


「わ~っ、ありがと~!!早速使ってみよっかな~。」


 カパッとミカミさんがその木箱を開けると、中には妖精用の小さなフォークにスプーン。それと漆器のような高級感漂う小さなお皿が入っていた。その中からミカミさんはスプーンを手に取った。


「このデザートを食べるならスプーンだよね。」


「ですねミカミさん。フィースタさんの分もありますから、ぜひ食べてください。」


「ありがたく頂戴いたします。」


 正座してこちらに深々と頭を下げると、フィースタさんは自分の分のムースが置かれている前に座った。


「では早速食べても良いかの!?ワシはもうそろそろ我慢ならんのじゃ!!」


「シアも早く食べた~い!!」


「じゃあ早速冷たいうちに食べましょうか。」


 みんな一斉に、スプーンで世界樹の果実のムースを掬い取って口に運ぶと、みんな一様にパッチリと目を見開き、ムースを見つめて固まってしまった。


「せ、世界樹の果実の味は知っておったが、生で食らうよりもこれは……移ろう味の変化を鮮明に感じられるのじゃ。」


「すっごい不思議な味、ムースの層によって味が変わるんだね。黄金色の濃い色の層はマンゴーみたいで、黄緑色の部分はキュンって甘酸っぱい感じ。」


 みんな各々味に驚きながら味わっていると、シアがクイクイと俺の袖を引いてきた。


「ヒイラギお兄ちゃん。」


「ん?どうしたんだシア?」


「このお菓子のおかわりってある?」


「ごめんな、これのおかわりだけは用意できなかったんだ。」


 限られた量だったため、今回世界樹の果実のムースは本当に人数分ギリギリしか用意できなかった。世界樹の果実がもっと大きいものか、複数あったらもっと作れたんだけど……。


「俺の分、一口だけ口付けちゃったけど……これでよかったら食べるか?」


「ヒイラギお兄ちゃんはいいの?」


「あぁ、もう世界樹の果実の味は味わったから。食べちゃっていいぞ。」


「お兄ちゃんありがとうっ!!」


 そしてシアに残りの世界樹の果実のムースをあげて、美味しく食べている様子を眺めていると、あっという間に食べ終えてしまっていたカリンさんが口を開いた。


「そこの童っ子、いいのぉ……。ワシももっと甘味を食べたいのじゃ。」


「あ、それなら、ミカミさん用の食器のお礼によかったらこれをどうぞ。」


 俺はマジックバッグから、みんなのおやつ用に作っておいたケーキを一つ取り出してカリンさんに手渡した。


「おぉっ!!この箱は見覚えがあるのじゃ!!」


「中にはポンポンオランのジャムを使ったシフォンケーキが入ってます。」


()()()()()()()とな?しかもポンポンオランとは……我が国の名産品ではないか。」


「ミカミさんがポンポンオラン大好きなので、こういうお菓子はどうかなって作っておいた、試作品的なものなんですけど……。もし違うのが良かったら、普通のケーキもありますよ。」


「いやっ、せっかく我が国の名産品で甘味を作ってくれたのじゃ。こちらを頂くのじゃ。」


 その後、ポンポンオランのシフォンケーキをカリンさん達に振る舞ったところ、かなり好評でこちらもおかわりが欲しいとせがまれ、その場でもう一つシフォンケーキを焼くことになってしまったのだった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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