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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
三節 他種族との交流
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第162話 ニーアとバーバラとの再会

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 ギルドから宿へと帰っている途中、俺の肩に座っていたミカミさんが、1つ大きなため息を吐いていた。


「はぁ〜……な〜んか上手いこといかないなぁ〜。」


「どうしたんですか?そんなため息ついちゃって。」


「今回ね、ウォークマッシュを倒してレベルアップとか、スキルの獲得とかができれば良かったんだけど……全然レベルアップもしなかったし、何かしらのスキルも入手できなかったからさぁ……。向こうの世界みたいに、上手くいかないなぁ〜って思っていたところだったのさ。」


「あはは、俺からしたらこっちの世界のほうが、人生上手くいっているような気がしますけどね。」


 向こうの世界にいた時よりもよっぽどお金も稼げているし……何より今は生きていて楽しい。


「柊君がそう言ってくれると、私も救われるんだけどさぁ。」


 少し表情を明るくしたミカミさんは、こちらを見上げて微笑んだ。落ち込んでいたミカミさんさんを宥めながら、宿へと向かって帰っている途中……突然後ろから声をかけられた。


「あっ!!そ、そのひ、ヒイラギさんとミカミさんですよね?」


「あれ、その声は……。」


 後ろを振り返ってみると、そこには以前この町で、たくさんエルフの国の野菜や果物を売ってくれた、ニーアさんと、その姉バーバラさんが立っていた。


「あっ!!ニーアちゃんに、バーバラちゃん!!」


「ご無沙汰してました。あの時のお礼をしたくて、お2人をずっと探していたんです。」


「別にいいのに〜、ねっ?柊君?」


「はい、別にお礼なんて……。」


「いやぁ〜そう言わないでよ〜。可愛い妹のお願いってのも勿論なんだけどさ〜……。」


 バーバラさんは、ずいっとこちらに顔を近づけてくると、コソコソと耳打ちしてくる。


「じ、実は族長がキミ達の顔を見てみたい〜って、言って聞かなくてさ……。」


「な、何でまたそんな事になってるんです?」


「まぁ勿論、ニーアを助けてくれたキミたちの顔を見てみたいっていうのが、族長としての本心なんだろうけど……その本心の隣に、何か違う思惑がありそうなんだよね。」


「ちなみにさバーバラちゃん、その族長の人って私達に会いたいっていう事の他に、何か違うこと言ってなかった?」


 ミカミさんがそう問いかけると、バーバラさんはその族長の人の言葉を思い出して口にした。


「あ、何かキミ達の作る()()()()()食べたいって言ってた気がする。」


「甘味?……もしかしてお菓子のことですかね?」


「何かキミ達自身も心当たりある感じ?」


「寧ろ心当たりしか無いよね柊君。もしかしてその族長って人、お客さんとして来てたのかな〜?」


「その可能性は全然ありますね。」


 そうミカミさんと話していると、ニーアさんとバーバラさんに両腕をガッチリと掴まれてしまう。


「まっ、そういう訳だから、これからエルフの国に来てもらうね?」


「えぇ!?い、今からですか!?」


「勿論、族長が癇癪起こしちゃったら怖いし……ウチらもお礼をしたいし……ねっ?」


「お、お願いします。一緒に来てください。」


 絶対に俺達を逃がすつもりのない2人……。


「わ、わかりましたから、行く前に準備しないといけないので……1回宿に戻らせてください。」


「そ、そうしたらついてきてくれますか?」


 うるうると涙目になりながら、上目遣いでそう問いかけてくるニーアさん。こんなの断れるわけがない。


「はい、約束します。」


 約束する……と言った瞬間、ニーアさんはパァっと笑顔になって微笑んだ。


「あ、ありがとうございます!!」


「そ、それじゃあそういうわけで1回宿に……。」


 そんなこんなあって2人を連れて宿に戻った後、ルカに事情を説明し、俺達がエルフの国から戻って来るまでの間、ミハエルさん達の護衛を務めてもらうこととなった。

 最初は渋っていた彼女だったが、ミカミさんがお給料に色を付けることを約束すると、ビシッと敬礼して役目を全うすると言ってくれた。


 そして留守の間をルカに任せることになり、シアとグレイスを連れて宿を出ると、宿の前でニーアさんとバーバラさんがこちらを待っていて、俺達の姿を見るとホッと安心したように、胸を撫で下ろしていた。


「準備はもう大丈夫かな?」


「はい、大丈夫です。」


 その答えに満足したのか、バーバラさんは大きく頷くと、腰に提げていたマジックバッグらしき物から、雫のような形をした、緑色の宝石を取り出した。


「バーバラちゃん、それは何?」


「これは()()()。族長から直々に任務をもらったエルフだけが借りられる、エルフの秘宝だよ。これに魔力を流すと……。」


 バーバラさんがその転移石に魔力を込めると、転移石に小さな魔法陣が映り、それと全く同じものが俺達の足元に現れた。


「じゃあ行くよ〜っ。転移(テレポーテーション)っ!!」


 バーバラさんが天に掲げた転移石がキラリと光り、足元の魔法陣が光り輝いたと同時に、一瞬フワリと浮いたような感覚を感じた。


 その次の瞬間……俺達は先ほどまでエミルの町中にいたはずなのに、爽やかな緑の森の中へと移動してきてしまっていた。


この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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