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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
三節 他種族との交流
159/305

第159話 練習の成果は……

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 昼食を食べ終えた後、またグレイスに跨ってエミルまで戻り、ギルドへと向かう。関所を抜けて、少し歩いたところで、ある異変を俺は感じ取った。


「あれ?なんかギルドの前……たくさん人集りができてませんか?」


 この時間のギルドには人はある程度集まっているが……今日は普段の倍以上の人集りができているのが遠目で分かる。


「ん?確かにいつもよりも人が集まってるねぇ。」


 疑問に思っていると、ギルドの方から見知った人物が、両手に箱を持ってスキップしながらこちらへと向かってきていた。


「ん〜?ありゃ〜、ヒイラギ君達、こんなところにいたんだねぇ〜。」


「マイネさん?」


「いやぁ〜、何かギルドでケーキの告知なしの販売が始まったから、おばさん急いで買ってきたんだよぉ〜。」


「あ、ってことは……ルカちゃんっていう関門をミハエル君達が突破したんだね。」


「ギルドで食べてる人達も、みんな美味しいって絶賛してるみたいだよぉ〜。」


「それは良かったです。」


 ホッと胸を撫で下ろしていると、マイネさんが1つ質問を投げかけてきた。


「ちなみに1つ疑問だったんだけど〜、このケーキを作ってるのは、ヒイラギ君達が雇った人達なの〜?」


「そうです、つい最近新しく従業員として働いてもらうことになったんです。」


「うへ〜、なるほどねぇ〜。教えるのが上手いと覚えるのも早いんだねぇ〜……。」


 感傷に浸ったようにポツリとそう言ったマイネさんは、すぐに首をふるふると横に振って、またけろりと笑った。


「じゃあ、おばさんはお店で仕込みが残ってるから失礼するねぇ〜。」


「マイネちゃんばいばーい。」


 そしてマイネさんと別れた後、行列に流されながら、俺達もギルドの中へと入ると、中ではお腹をぽっこりと膨らませたミースさんとルカが、行列の整理に勤しんでいた。


「あっ!!皆さんおかえりなさい!!」


「お、おかえりなさいませご主人様、お嬢様……。」


「ミースにルカ……なんだい?その腹は。」


「あはは……じ、じつは私もルカさんと一緒に味見役を……。」


「さ、最終的にご主人様の作るケーキと、遜色のないケーキが作れるようになっていました……わ、私からのご報告です。」


 重いお腹を支えきれずに、ルカは近くにあった椅子に腰掛けた。あんなお腹になるまで、いったいどれだけケーキを食べたんだろう?


 まぁ、でもそれだけ厳しい目で見てくれたってわけだし、ケーキの味は期待して良さそうだな。


「さてと、じゃあルカはここでもう休んでて良いぞ。あ、でも怪しい奴がいたら、すぐに報告に来てくれると助かる。」


「かしこまり……ました。」


 ぐったりしているルカをその場で休ませておいて、俺達はミハエルさん達がケーキを作っている地下へと向かう。

 するとそこでは、3人が分担作業で必死にケーキを仕上げている最中だった。


「あっ!!ヒイラギさん、お戻りになられましたか。」


「皆さんお疲れ様です。順調そうで何よりでした。」


「あはは……る、ルカさんにはだいぶダメ出しをくらいましたが、それでも何とか販売まで漕ぎ着けました。」


「それじゃあ、最終チェックといきましょうか。」


 俺は椅子に腰掛けると、指を3本立てた。


「ケーキを3()()お願いします。」


「承りましたっ!!フレイア、リタ、ヒイラギさんからのご注文が入ったぞ!!」


「ふふ、お任せくださいませ。」


「最高のケーキを作りますわっ!!」


 俺の意図を汲み取って、ミハエルさん達は一人一人、お互いに教え合ったことを活かして、ケーキをあっという間に仕上げていく。


「お待たせしました、こちらは私ミハエルが作ったケーキです。」


「こちらはフレイア作でございます。」


「も、もちろん最後は私が作ったケーキですわっ。」


「忙しい中、ありがとうございます。じゃあみんなで食べてみましょう。」


「やった、ケーキっ!!」


「食後の甘いものっす〜!!」


 そしてドーナさんとミカミさん、シア、グレイスへとフォークを渡していくと、ドーナさんが首を傾げながら問いかけてくる。


「アタシも貰っちゃっていいのかい?」


「もちろんです。ドーナさんも俺のケーキを何回か食べてくれてますから、微細な味の変化とか、何か気づいたら教えてください。」


「わかった、じゃあありがたくもらうよ。」


「それじゃあ早速、いただきます。」


「「「いただきます!!」」」


 他のみんなが美味しいと喜んでいる間に、俺は3人がそれぞれ作ってくれたケーキを一口ずつ味わった。そして、不安そうにこちらを見つめるミハエルさんたちの方に視線を顔を向けて微笑んだ。


「3人とも合格です。とっても美味しいですよ。」


 そう言った瞬間、3人の体の力が抜けて、ヘニャヘニャと床に崩れ落ちた。


「はぁ〜〜〜……あ、ありがとうございます。」


「今までの人生で1番緊張しましたね貴方、リタ。」


「ほ、本当ですわ。息をするのも忘れてましたのよ。」


「ちょっとでも気づいたことがあれば、言おうかなって思ったんですけど……スポンジケーキの柔らかさも、生クリームのキメの細かさと甘さも完璧で、言う事無しです。」


 そう絶賛していると、ミカミさんがこちらを向いてあることを問いかけてきた。


「柊君、それじゃあこれからミハエル君達にお店を任せても大丈夫かな?」


「大丈夫ですね。」


「オッケー!!じゃあそういう事で〜……。」


 ふわふわと、ミカミさんはミハエルさん達のところに飛んでいくと、ニコリと笑いながら言った。


「明日もよろしくねミハエル君、フレイアちゃん、リタちゃん?」


「「「よ、よろしくお願いします!!」」」


 その後のミハエルさん達との話し合いで、ケーキの販売は2日営業して1日休むという固定休方式で、これからギルドで販売してもらうこととなった。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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