第158話 ポイズンナーガとキノコのバーガー
手違いで一度書いたものを全て消してしまい、書き直していたため投稿が遅れてしまいましたすみません。
無毒化したポイズンナーガの肉を焼いた後、少し休ませている最中に、次に使う食材の調理に取り掛かる。
「次に使うのは、ウォークマッシュからもらった美味しいキノコ。」
そう言いながら先ほどウォークマッシュからもらったキノコを一つを取り出すと、ドーナさんが素っ頓狂な声を上げながら驚いた。
「な、なんだって?ウォークマッシュからもらったぁ?」
「はい、無毒なウォークマッシュが美味しいキノコをたくさんプレゼントしてくれたんです。」
「もう本当に何が何だか訳がわかんないよ。」
「まぁまぁドーナちゃん。そこは私が説明するよ。柊君は調理に集中してちょうだ~い。」
「ありがとうございますミカミさん。」
ミカミさんがドーナさんに、ここに来るまでにあったことの経緯を話してくれている間に、ポイズンナーガの肉を焼いたフライパンに残った油で、ウォークマッシュがくれたキノコをソテーする。
そして、キノコをソテーした後、以前購入していたバターロールのようなパンを半分にカットして、未だキノコの香りが強く残るフライパンで断面に軽く焼き目をつけた。
「よし、そしたら次はモルネーソースを作るぞ。」
モルネーソースは、ベシャメルソース……いわゆるホワイトソースにたっぷりとチーズを加えたものだ。今回キノコの香りが強い料理にはこのソースが合うだろう。
「モルネーソースを作ったら、準備は完了。」
準備が整ったところで一気に料理を仕上げていく。
まずは半分にカットしたパンの下部分にスライスしたマトマとパリパリーフ、先程焼いて休ませていたポイズンナーガの肉をカットしたものと、ソテーしたキノコを重ね、その上からたっぷりとモルネーソースをかけてパンの上部分で挟んだ。
「はいっ、完成しました。ポイズンナーガとキノコのバーガーです。」
「ふぉぉぉっ!!なるほどね、ハンバーガーにしたのかぁ~。これは昼食にはぴったりだね。」
「焼いたポイズンナーガの肉とか、モルネーソースを使ってますから、カロリーはちょっとあれですけどね。」
「あっはっは、柊君。私がそんなカロリーなんて気にすると思ったかい?この体は、どれだけ高カロリーなものを食べようが太らないようにできてるのさっ。さぁさぁ、そういわけでがぶっと食べ……。」
バーガーの目の前に飛んでいったミカミさんは、あることに気付き愕然とした。
「こ、この体じゃハンバーガーにがぶっとかぶりつけないっ!?い、一番美味しい食べ方ができないよぉ~!!」
嘆くミカミさんを宥めようとしたとき、俺はある方法を思いつき、それをミカミさんに提案してみることにした。
「ミカミさん、俺の魔法を使えば体を大きくできたりしないですかね?」
そう提案すると、ミカミさんもその可能性にハッと気づき、こちらにものすごい勢いで詰め寄ってきた。
「やろう柊君っ!!キミの魔法なら私の体を大きくすることぐらいできるはずだっ!!」
そしてミカミさんは俺の前でバッと大の字に体を広げると、俺の目をじっと見つめながら口を開いた。
「さぁ、私に美味しいハンバーガーを食べさせてくれ柊君っ!!」
「じゃあ、い、いきますよミカミさん。」
ミカミさんの方に手を翳して、あるイメージを頭の中で抱いた。するとミカミさんの体が俺のイメージ通りに変化していった。
「おぉっ!!魔法は大成功だよ柊君っ!!」
俺がイメージしたのは、日本で一緒に過ごしていたミカミさんの姿。ほぼ原寸大となったミカミさんは、喜びながらも自分の身長に疑問を抱いているようだった。
「ところで柊君、私ってこんなに身長低かったかな?」
ミカミさんはシアのところに歩み寄っていくと、自分と身長を比べていた。どうやらわずかにミカミさんの方が身長が高いようだな。
「まぁいっか!!これでハンバーガーは美味しく食べられるもんね~♪。」
ミカミさんはバーガーを手に取ると、ぺろりと舌を出した。
「ドーナさんもどうぞ。おかわりも作れますから、物足りなかったら遠慮なく言ってくださいね。」
「あ、あぁありがとう。」
目の前で起きている現象に困惑しながらもドーナさんはバーガーを受け取ってくれた。すると、まだバーガーを配られていないシアとグレイスがこちらに詰め寄ってきて、必死におねだりを始めた。
「ヒイラギお兄ちゃん!!シアにもちょうだいっ!!」
「自分にもほしいっす~!!」
「はいはい、ちゃんと全員分あるから焦らない焦らない。」
全員にバーガーを配ったところで、いよいよ実食の時間だ。
「それじゃあいただきます。」
「「「いただきま~す!!」」」
そしてみんなで一斉にバーガーに齧り付いた。齧り付いた瞬間、地鶏のような濃厚な旨味を持ったポイズンナーガの肉汁がほとばしり口の中を満たした。その後に豊潤で複雑なキノコの香りが鼻を抜けていく。
「ん~っ!!美味しいねこれ~、キノコが香る、高級フレンチバーガーって感じ。」
「えへへ~、やっぱりヒイラギお兄ちゃんの作るご飯が一番美味しいっ!!」
「ヘビの肉は初めて食ったっすけど、鶏肉みたいで美味いっす~。」
みんなが夢中になって食べているのを眺めていると、ちょんちょんと優しく肩をドーナさんにつつかれた。そっちの方を見てみると、すでにバーガーを食べきってしまったようで、お皿が空になっていた。ドーナさん自身の口もリスのように膨らんでいる。彼女は口に入っているものを全部飲みこんだ後、申し訳なさそうにあるお願いをしてきた。
「お、おかわり貰ってもいいかい?」
「もちろんです、すぐに作りますね。」
自分の分のバーガーを口の中に押し込んで、おかわりのバーガーを作り始める。その最中にどんどんバーガーを食べ終えた面々がおかわりをお願いしてきて、俺はせっせと調理に勤しむことになったのだった。
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