第145話 2回目の予約注文では……
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翌朝、ケーキの予約がどれぐらい入ったのかを確認するために、ミカミさんと一緒にヴェイルファースト一家を連れてギルドに向かうと、ちょうどミースさんが受付のところで書類をまとめていた。
「あっ、おはようございます皆さん。」
「おはようございますミースさん。予約の方はどうですか?」
「前回よりもたくさんの注文が入ってますよ。えっと、全部でですね……110件の予約注文が入ってます。」
「「「110件!?」」」
その数に思わずミハエルさん達は驚いてしまっていた。正直、もう少し多く注文が入ると思っていたんだけど、前回の2倍とまではいかなかったか、ちょっと残念だな。
「実は今回予約をしてくれた人の中には、ミルタさんもいらっしゃるんですよ。」
「あ、そうなんですか?」
「はいっ、商会の方々にも振る舞いたいらしくて、ミルタさんだけで20個も注文していきました。」
「わ~お、ミルタ君太っ腹だね~。さっすが商会のトップ……たくさん買ってくれたお礼に、腕によりをかけないとね柊君っ。」
「そうですねミカミさん。」
ミカミさんとお互いに頷き合ったところで、ミースさんに昨日使わせてもらった、地下の酒場を今日も使わせてもらえないか聞いてみることにした。
「ミースさん、今日も地下って使っても良いですか?」
「全然大丈夫ですよっ、寧ろヒイラギさん達が使ってくれないと、私達も使わないので、物置きになっちゃうかもなんです。」
苦笑いしながら、ミースさんは言った。
「それじゃあ、遠慮なく使わせてもらおうじゃないか柊君っ。あそこを物置きにするのは勿体ないもんね。」
「ですね、ミカミさん。じゃあ、ミースさん。今日も使わせてもらいます。」
「どうぞどうぞ!!思う存分使っちゃってください。」
ミースさんからの了承も得たところで、ギルドの地下に降りて、早速ケーキ作りを始めることにした。
ミハエルさん達がエプロンに着替えたところで、俺はみんなに声を掛ける。
「良し、じゃあ早速昨日教えた、土台となるスポンジケーキを110個作りましょう。今日は俺も混ざってやりますから……そうですね、ミハエルさん達は1人20個を目標に作りましょうか。」
「で、ではヒイラギさんは?」
「俺は1人で50個作ります。大丈夫ですよ、俺にはコレもありますから。」
触手召喚で2本触手を呼び出し、それでミハエルさん達に手を振った。
「まっ、今日も昨日と同じく自分の作業に没頭してもらって大丈夫ですから、分からないことがあったらすぐに声をかけてください。」
「わかりました。」
「じゃあとにかく怪我には気をつけて、調理していきましょう。よろしくお願いします。」
「「「よろしくお願いします!!」」」
そして昨日と同じく、またスポンジケーキ作りが始まったのだが、昨日あれだけ予習したかいあって、昨日までの彼等とは見違えるほどスムーズに調理に臨めている。
それを横目で眺めながら、俺も触手を動かしてスポンジケーキの生地を作っていく。すると、ウネウネと動くその触手の上に、ちょこんと座ったミカミさんが、こちらを見上げて言った。
「だいぶこの触手の扱いにも慣れてきたんじゃない?」
「そうですね。なんか体で覚えてることなら無意識にでもできるみたいで、生地を混ぜたりとかそういう作業なら、一回命令すればやってくれるんです。」
「ほへぇ〜、便利だねぇ〜。」
ツンツンとミカミさんが俺の触手を突くと、突然ミカミさんが触れたところから、ビリっと背筋に電流が走った。
「〜〜〜ッ!?」
「あれ?何か変なとこ触っちゃった?」
「い、今どこを触ったんですか?」
「え?この吸盤の真ん中……。」
もう一度ミカミさんが、今度は優しく触手の吸盤の真ん中に触れると、くすぐったいような変な感覚が伝わってきた。
「な、何か分かんないですけど、そこ触られるとくすぐったい感じがしますね。」
「弱点ってこと?」
「かもしれないです。」
もともと、この触手の感覚は敏感ではあるものの、どうやら触手の中心部分だけは、さらに敏感らしい。
「なんかさ、この吸盤ってちゅぽって吸い付いてきて、何とも言えない気持ちよさがあるんだよね〜。何回でも触りたくなる?みたいな感じ。」
「ちなみに、そうやって吸い付いてるのは俺の意思じゃないですよ。勝手に吸い付いちゃってるみたいです。」
調理中の触手を弄られるのは危ないので、新たに細めの触手をもう一本召喚して、ミカミさんにはそれで遊んでもらうことにした。
念の為、くれぐれも吸盤の中央は弄らないように……って釘は刺しておいた。
そして、スポンジケーキを作り始めてから30分ほど経ち、みんな1回目の焼き上げに移り始めていた。そのタイミングで俺はみんなに声を掛ける。
「スポンジケーキをオーブンに入れたら、焼き上がるまで少し休憩しましょうか。お茶菓子とかも持ってきてるので、オーブンの温度と加熱時間だけは、きっちり確認しておいてくださいね。」
「「「はいっ!!」」」
こちらの声に返ってくる返事は、まだまだ元気そうだ。ま、これだけ人数がいるし、焦る必要はないからゆっくり気楽に作業は進めよう。
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