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転生料理人の異世界探求記  作者: しゃむしぇる
二節 陰謀渦巻くオークション
131/306

第131話 不正?豪運?

ブックマークやいいね等とても励みになりますのでよろしくお願いいたします。


 その後もボタンを押せば☆の絵柄が勝手に揃うような状況で、いつしか俺の周りには人集りができ始めていた。


 そしてまた3つ☆の絵柄を揃えると、これ以上スロットの台が金貨を吐き出せなくなってしまった。


「あ、打ち止めかな?」


「そうみたいですね。」


「常に大当たりが続いたのは良かったけど、これだけじゃあんまり資金の足しにはならなかったね。」


 ミカミさんは排出された金貨を10枚ずつ重ねて、数えやすいように箱の中に入れてくれていた。


「え〜……全部で白金貨5枚分だね。」


「それでも普通なら、十分多いんですけどね……。」


「まぁね、ただ今回はちょっとばかし状況が違うから少なく見えるだけ。……さ、スロットは遊び尽くしたし、次は違うギャンブルを遊びに行こ〜。」


 そして席を立った途端に、このカジノの従業員の人がこちらに歩み寄ってきた。


「お客様、無礼を承知で伺わせていただくのですが、何か不正等はされていませんですか?」


「え?」


「お客様が席に座られた時から様子を拝見させて頂きましたが、明らかに普通ではない様子でした。」


「はぁ……。」


 そう問い詰められても、俺は何もしてない。ただ自分の運を信じてボタンを押していただけだ。しかし、そう素直に答えたとしても信じてもらえるような雰囲気ではない。


 返答に困っていると、ミカミさんがその従業員に対して言った。


「私達はただ運が良いだけ……って言ったとしても、キミ達は信じないだろう?」


 ミカミさんの言葉に対して、従業員の彼は無言のまま少し頷いた。


「ま、明らかに現実離れしてるし、信じられないのも無理はないね。」


 そう言いながらニヤッと笑みを浮かべたミカミさんは、ピンと人差し指を立てながら、ある提案を口にした。


「1つ賭けをしようか、もし私達が本当に不正をしている証拠を1つでも掴めたなら……この白金貨600枚をキミ達にプレゼントしよう。でももし、私達が本当に不正をしていなかったら……キミ達には白金貨600枚を払ってもらうよ。」


「そ、そんな無茶な……。」


 ミカミさんの提案に思わず尻込みした彼だったが、そんな彼の肩に手を置いて、オーナーらしき人物が一歩前に出てきた。


「その勝負受けたっ!!」


「お、オーナー……。」


「へぇ、なかなかギャンブラーだねキミも。」


「ギャンブラーじゃなかったら、こんなカジノを経営したりはしない。ところで、キミ達の不正を暴く手段は、こちらが決めても良いかな?」


 このカジノのオーナーだという恰幅の良い彼は、こちらにそう質問してきた。


「もちろん構わないよ。」


「では、ここにあるスロット台……全てで☆の絵柄を()()()揃えてくれ。どこのカジノでもそうだが、魔力を使ったりスキルを使ったりした場合、全て不正とする。」


「それだけでいいの?」


「あぁ、これだけでいい。」


「じゃあ()()しようか。」


 ミカミさんが手を上に挙げると、1枚の紙がヒラヒラと舞い降りてきた。それを手に取ってみると、そこにはオーナーの彼が言った条件を満たせなかった場合、俺達が白金貨600枚を支払うこと。逆に条件を満たした場合、カジノ側が俺達に白金貨600枚を支払うことが義務となる……と書いてあった。


「柊君、それちょうだい。」


「はい、ミカミさん。」


 ミカミさんはその紙の名前を書くところに、俺とミカミさんの名前を書き、カジノのオーナーの彼に手渡した。


「はい、キミの名前を書いて?」


 契約と聞いた途端、少し表情が強張っていた彼だったが、ふるふると顔を横に振って何かの思考を振り払うと、ミカミさんから受け取ったその紙に名前を記入した。


 それを確認すると、ミカミさんはニヤリと口角を吊り上げて笑う。


「契約成立だねっ♪」


「じゃ、じゃあ早速そこの端の台からやってくれ。」


「おや、ずいぶん急かすね?それに、少し冷や汗が顔を伝ってるけど……不安かい?」


「そんな訳はない。おい、一挙手一投足……微細な魔力も逃すなよ。」


 余裕そうなミカミさんとは対照的に、少し焦りの表情を見せるこのカジノのオーナーは、従業員を集めて複数の目で俺の行動を監視しようとしていた。


 そんな行動を見てミカミさんはフッと鼻で笑うと、俺の肩にちょこんと腰掛けた。


「さ、お望み通り全部の絵柄を揃えてあげよう柊君。」


「わかりました。」


 早速1つ目の台のボタンを3回押して、☆の絵柄を3つ揃えると、集まっていた野次馬の人々から歓声が上がった。


「良かった……まずは1つ目。」


「柊君、安堵するのはまだまだ早いよ。このカジノにはまだまだスロットの台があるんだから。」


「そ、そうですねミカミさん。」


 それから続く2つ目の台……3つ目の台も連続で☆の絵柄を揃えていく。そして、順調に横一列総計20台のスロット台で全て☆の絵柄を揃えると、いつしかすっかり歓声も沸かなくなってしまっていた。


 チラリと集まった人たちの顔を見ると、信じられないという心境が顕著に顔に出てしまっている。勝負を受けたオーナーの顔からも、大量の冷や汗が流れている。


「さて、残るは2列……数にして40台かな?」


「まだかなり残ってるんですね……。」


「ま、このぐらいすぐ終わるよ。気楽に行こう柊君。」


 結局、全てのスロットの台で☆の絵柄を3つ揃えても、オーナー側は俺の不正を見抜くことは出来ず、最後には魂が抜けたように崩れ落ちていた。



この作品に対する感想、意見などなどお待ちしています。こうしたほうがいいんじゃない?とかそういったものは大歓迎です。単に面白くないとかそういった感想は豆腐メンタルの作者が壊れてしまいますので胸の内にとどめていただければ幸いです。

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